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成りすましの自称噺家
数年前のことです。
あるパーティーで、主催者の計らいで食事の前に真打の噺家さんの古典落語を聴かせていただきました。
久しぶりに生で落語が聴けるのを楽しみにしていた私は、
話半ばで失礼ながらガッカリしておりました。
落語が終わり、食事タイムになって、主催者が挨拶していると、先ほどの噺家がパーティーに加わる為に着替えを済ませて再び会場に入ってきました。
私はその姿を見て、驚きました。
なんとラフな洋服の私服姿だったのです。
百歩譲ってパーティーのドレスコードが洋服なら、仕方ないかもしれませんが、客席に着物姿の人もいるのに、あろうことかラフな私服とは・・・・。
私は彼の姿を見て、先ほどの落語に何の魅力もなかった理由を理解しました。
そして、彼が徳利とビール瓶を持って各テーブルを回る姿が何とも「絵にならない」
私のテーブルに来るタイミングで、私はトイレに立ちました。
私は予々、伝統芸能やクリエイティブな表現する世界にいるプロには四段階あると思っています。
1、成りすます:
これは、まだ技術や経験が伴っていない段階で、プロの真似をする、あるいはプロのフリをすることを指します。
2、演じる:
ある程度技術や経験が身についてきた段階で、プロの型やスタイルを意識的に再現しようとすることを指します。
3、成り切る:
技術や経験が十分に身につき、プロとしての自信や自覚が出てきた段階で、自然とプロの風格やパフォーマンスを身にまとうことを指します。
4、体現する:(本物)
プロとしての技術、経験、自信、自覚をすべて兼ね備え、さらにその人自身の個性やオリジナリティが加わり、唯一無二の存在として、その道において具体的な結果や影響を残すことを指します。
伝統芸能やクリエイティブな表現を仕事にする人は、常に自分を俯瞰で見られないと、一流にはなれないと思います。何のためか?は「言わずもがな」
以下もお読みください。
「古典落語が日本から消えるかもしれない」です。
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感動価値の作り方講師
成願義夫
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