
北斎から突きつけられた謎を解く。
葛飾北斎の浮世絵版画シリーズ「富嶽三十六景」の「甲州三坂水面」の謎についてはご周知の方も多いと思う。

この絵には、河口湖の湖面に反射して逆さに見える富士が描かれている。
しかし、この絵には違和感がある。
それはまず湖面に反射している富士の位置が左にずれていることだ。
そして最大の違和感は、富士の岩肌が見え、明らかに夏の景色を描いているのに、湖面に映る富士には雪が積もっていることだ。
北斎はこれを意図的に行なっている。
一般的には「虚と実の対象を描いた」と言われているが・・・・何か、違う気がする。
あらためて、北斎の真意は?と考えてみた。
そもそも浮世絵とは何か?を考えてみたら答えが見えてくる。
私の結論。
北斎の意図は、見る者に「謎を推理させること」にあったのだと思う。
だから、違和感を二つ用意した理由も見えてくる。
つまりこの絵は「推理を誘発する絵」であると、私は結論づけた。
なぜならば、北斎の意図にまんまとハマり、楽しんでいる自分がいるのだから。
和文化デザイン思考 講師
成願義夫
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