寒い日の肉うどん。できたてのいなり寿司
ひさしぶりに「四国屋」のうどんを食べたくて、丸ノ内線にのって新中野。
実は四国屋は二軒あって、新中野駅の近くが本店。
けれどタナカくんとふたりで来ていたのはちょっと歩いたところのお店。
タナカくんが住んでた中野富士見町と新中野のちょうど中間くらいにあって、その駅からだとゆっくり歩いて5分ほど。
古いマンションの一階部分。
はじめて来たのは20年ほど前。そのときにも随分、年季の入った店だったけど、その年季の入り具合にますます拍車がかかって、暖簾なんかもうボロボロ。
でもこのしおれ具合がなつかしくって、ずっとこのままでいてほしいなぁ…、って思ったりする。
お店の一番奥に厨房。うどんを茹でる大きな釜が置かれてて、客席部分は大きなコの字のカウンター。蒸気で空気は潤って、出汁のおいしい匂いがしてる。
うどんを待ってる間にどうぞと、キャベツの漬物がたっぷり最初にやってくる。昆布のうま味とゆずの香り・きっぱりとした塩味でシャキシャキ、前歯がくすぐったくなる心地よさ。
カウンターの上には七味に一味、すりごま、塩、讃岐の醤油に胡椒に山椒と調味料がズラリと並ぶ。
いつも注文するのは牛肉うどん。
一緒にお稲荷さんもお願いしますって言ったら、「今、作ってるからちょっと待ってね」って。厨房を見るとまさにシャリを切ってる最中。
うどんが出来上がるのとほぼ同じタイミングでお稲荷さんも出来上がり「まだ出来たてですからちょっとやわらかいのでご注意ください」って。
牛肉たっぷりの牛肉うどん。
出汁で筋がホロホロになるまで炊いた牛バラ肉に刻んだお揚げ、たっぷりのネギ。
茹でたたけのこ、分厚いかまぼこ。
出汁の香りが湯気と一緒に湧き上がり、あぁ、この匂いが好きなんだ…、ってニッコリとなる。
角のたったうどんはツルンと唇なでて口の中へとすべりこんでやってきて、ざっくり歯切れる。
コシが強くて噛みごたえたのしく小麦の香りも力強い。
最初はキリッと男性的だったうどんが徐々にやわさを増してたおやかになる変化もおいしい。
なにより汁がオキニイリ。関東の節の酸味とかえしの風味を味わう出汁とはまるで違う。昆布の甘みをたのしむ関西や九州の汁とも違ってイリコと昆布、そして塩。
それそのものがおいしい上にネギや牛肉のうま味や風味をしっかりうけとめ食べすすめるに従って、どんどんおいしくなっていく。
刻んだ油揚げが汁を吸い込み口の中を潤す感じもオゴチソウ。
油揚げといえばいなり寿司。
油揚げはしっとりみずみずしくて、すし酢をたっぷり吸い込んだしゃりもしっとり。甘辛に煮込んだごぼうにニンジン、しいたけを混ぜた酢飯がはらりとお皿に散らかっていく。
まさに四国のお稲荷さん。
うどんの汁とお稲荷さんとの相性がこれまたよくて、お揚げの甘さと酢飯の酸味が汁をおいしくしてくれる。ご満悦。
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