月命日の吉宗
月命日のお昼に「吉宗」。
長崎センタービルの地下一階にあったときには月に1度くらいの頻度で来てた。
長崎出身のタナカくんが故郷を思い出すのにぴったりな田舎風情のあるいい店で、いつも名物の夫婦蒸しをひとつづつたのんで皿うどんを分けて食べてた。
ビルの不具合で閉店したのが2019年。場所を変えて営業を始めるってニュースを聞いて、また行けることを心待ちにしていたけれど間に合わなかった…、そのお店。
ひとりでくると茶碗蒸しに蒸し寿司に、それに皿うどんまで食べることはできなくてそれで茶碗蒸しと小さなサイズの皿うどんのセットをたのむ。
まず茶碗蒸しがやってきます。
蓋をあけるとその振動で茶碗蒸しの表面がフルンと揺れる。
レンゲを入れるとレンゲの重みで沈んでしまうほどになめらか。
スープが下から湧いてくる。
溶き卵がこれ以上飲み込めないまでスープを吸って固まった。
そんななめらか、トゥルンと喉に滑り込みお腹の中に一直線に降りていくのを感じるゴチソウ。
そしてスープがこの上もなくおいしいの。
ただ熱々で、そのおいしさに集中できる温度に冷めてくれるのに時間を要する。
代わりにこれを召し上がれ…、って言ってるように皿うどんがやってくる。
太くてやわらかなちゃんぽん用の麺を使った皿うどん。
東京の皿うどんはほとんどが極細パリパリ麺だったから、太麺皿うどんは珍しかった。それがここを選んで来ていた理由のひとつ。
テーブルの上には金蝶ソース。
皿うどんにはお酢じゃなくってウスターソースをかけて食べるのが長崎流って教えてくれたのはタナカくん。
お酢にはないスパイシーな風味やコクがたしかに甘めの餡をおいしくしてくれる。
今でもうちには金蝶ソースがございます。
ぽってりとした餡。もやしにキャベツ、ネギにひき肉、かまぼこ、キクラゲ。具材も豊富。
茹でて炒めた太麺はところどころに焦げ目がついて香ばしく、むっちりとした食感が餡のおかげで一層むっちり、肉感的になるのがおいしい。
茶碗蒸しの具材も豊富。
かまぼこ、穴子、白身魚に鶏肉にお麩。しいたけ、キクラゲ、それから銀杏。タナカくんと椎茸と鶏肉を交換して食べてたんだよなぁ…、って思ってなつかしむ。
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