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古今東西本邦一の炒めスパゲッティなり!
築地に来てみる。
友人にあってちょっと話をし、せっかくだからフォーシーズンっていうスパゲティーの専門店にくる。
場外市場の中でも静かな通りに面したビルの二階。
コーヒー&スパゲティーって書かれた看板がくるくる回って出迎える。朝早くからやっていてけれど朝は飲み物だけの喫茶店。9時半からはスパゲティーが注文できるというのがなかなか築地的。
築地の朝は早起きで、だからランチタイムが10時前にははじまっちゃう…、ってことなんでしょう。
今日のお店は静かです。入口前にカウンター。中に厨房。大きな窓をながめるようにテーブル4つ。
厨房の中ではスパゲティーの下ごしらえが粛々と行われてる。
茹で上げた麺をざるにとり、冷ましておいたのをドサッと大量にカウンターの上に置き、野菜をひたすら刻む音。
「和風スパゲティーをお願いします」といつもの注文。タバスコに塩、粉チーズ。胡椒に楊枝の入った器がずらりと並び、そこにサラダがやってくる。
トマトにレタス、千切りにしたニンジン、それから切った茹で卵。ちょっと甘めでけれどシャキッと酸味の強いドレッシングをかけたサラダで、みずみずしさに目が覚めてお腹の入り口がパカンっと開くような味わい。
厨房の方からは、ずっとひたすら鍋を振る音。
ガシガシガンガン、レンジの上を鍋が軽く叩きつけられジャジャッジャジャッと麺や具材が焼かれる音が混じって聞こえる。ときおりジューッと水が爆ぜるような音もしてきて、そのたび、おいしい匂いが強まる。何かが焦げるような音。こうばしい香りがおいかけやってきて、ずっとジャジャっと10分近く。
おまたせしました…、と料理が到着。お皿の上にはおびただしい量の大葉と海苔。これがここの和風スパ。
麺がすっかり隠れてしまうほどの大葉はほぼ生。
どかすと下にはスパゲティー。
細めの麺で、醤油のタレで煽られていてこんがりとした色がついてる。
大葉と海苔で蓋され麺は熱々で、麺が吐き出す大量の蒸気で蒸されて大葉の香りが立ち上がる。
大量の大葉に圧倒されてしまうけど、他の具材も案外たっぷり。
シャキシャキ感を残した玉ねぎ。細めのソーセージにしいたけ、それから赤唐辛子。
マッシュルームじゃなくてしいたけというのがなんとも和風。
沢山パスタの間にまじり込んでいるはずなのに、フォークで麺をクルンとまとめて持ち上げると具材がみんな取り残される。
とはいえこのスパゲティーは麺が主役で、ただただ麺だけをずっとひたすら食べていたくなるほどにおいしい。
時間をかけて焼き切られているから、麺の噛みごたえがよく、大葉のモサモサした食感と一緒になると口の中の水分を一切合切もってきそうな感じが独特。
味はやさしい。麺そのものに下味が入ってないから醤油の風味に自然な甘み、油の旨味でまとまった味。途中でちょっと塩をパラリ。途端に油の甘みが引き立つ。タバスコばしゃっとたっぷり注ぐと、辛味と一緒にタバスコならでは酸味が醤油の風味にくっきりとした輪郭作る。
ただただひたすら無心に食べる。麺がどんどん少なくなって取り残された具材をおかずのように食べ、再び麺をハフハフ食べる。あっという間にキレイに完食。
焼いて仕上げるスパゲティーの、ここのこれがボクにとっては最高峰。オキニイリです、おゴチソウ。