秋の名残りと冬のはじまり、雅味近どう
岐阜に来ました。ひさしぶりに雅味近どう。前回来たときは鮎の季節で、それからなんと半年経った。秋の名残りと冬のはじまりを感じる季節にそういう料理を今日はたのしむ。
まず前菜。
ごま豆腐にトマトの出汁漬け、柿の器に柿の白和え。
だし巻き玉子に真鯛の小袖寿司。
イワシの甘露煮、鯛の肝。
どれも滋養に満ちた味わい。特にイワシのホロッとほぐれてとろける感じにウットリします。
続いて松茸の土瓶蒸し。
秋の名残りのゴチソウで車海老まで仕込まれていた。香り豊かでシャキシャキとした食感軽快。
出汁のうま味と風味が季節の香りを引き立てる。
マグロにヒラメ、甘エビ、イカの刺身の盛り合わせ。
土瓶蒸しと一緒に味わう刺身のなんとも贅沢なコト。気づけば笑顔になっている。
そして焼き物。
大きなカマスがやってくる。
今が旬の魚で脂がのって香りも強い。
出汁をまとわせこんがり焼いて、皮はねっとり、身はしっとり。
焼いた栗とイチョウの形に整えたくわいの素揚げがお皿にちらかる。
今の季節をお皿の上に飾ったようで、粒皮付きのほろ苦い栗のしみじみおいしいこと。
出汁を浸した千切り大根はカリコリ歯ざわり軽快で、揚げた稲穂の弾けた米の香ばしいことにまたニッコリ。
今日の蒸し物は玉子のフランの上に揚げたタラの白子。銀あんをかけて味わう冬の一品。
スルンとなめらかな出汁を含んだ玉子の蒸し物。
こんがり揚がった白子はぽってり。
体に悪いものってなんてこんなにおいしいんだろうって思いながらハフハフ食べる。
最後の料理はアワビと海老芋の揚げ浸し。
衣をつけて揚げたアワビはふっかりとしてやわらかで、噛めば磯の香りがフワッと鼻から抜ける。
海老芋を食べると冬を感じます。
家の雑煮には揚げた海老芋が入ることが多くて、ねっとりとした食感、そして自然な甘みに冬の体が癒される。細かく包丁を入れた茄子にししとう。出汁のおいしい汁まで飲んだ。
いつもように湯葉のあんかけご飯で〆る。
出汁のしっかり効いた醤油をかけまわしぽってりとした湯葉餡が絡むご飯がコロコロ、口中転がりまわる感じをたのしむ。
りんごのコンポートとわらび餅でお腹に蓋してごちそうさま。やはりおいしい、雅味近どう。