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おいしい思い出がある限り、ボクは元気でがんばれる…。

今年最初の月命日。渋谷の「ウーピーゴールドバーガー」にくる。

聖地のようなお店です。
渋谷にふたつある大きな坂道、道玄坂と宮益坂の片方…、宮益坂を登り切る直前の路地に入るとあるお店。
道玄坂の周辺は再開発が目白押し。飲食店も多く、それに比べて宮益坂は昔から飲食店が続かぬ場所として有名な場所。「じゃない方の坂道」なんて言われてる。
夜になると特にひっそりとしていて実はゲイバーが一軒あった。
長屋ビルの半地下で、ボクがしばらくバイトしていたお店の隣がこのお店。
だから今でもここにくると学生時代のことを思い出してキュンッとする。
それにくわえてタナカくんがこの店のことを大好きで、世界で2番目においしいハンバーガーって言ってよく来てた。1番目においしいハンバーガーはニューヨークにあってネ…、だから実質上、ここが1番なんて言っていたのを思い出す。

半地下の入り口前を使ったテラス席がいつもの席。どんなに暑くても、どんなに寒くてここに座って食べていたから今日もそこに座って食べる。
ウーピーゴールドバーガーって名前のチーズバーガーにサイドはマッシュポテト、辛口のジンジャエールがいつもの組み合わせ。メニューにハラペニョってトッピングを見つけてそれも選んでちょっと待つ。
まずジンジャエールとおしぼりがくる。
タオル生地のしっかりとしたおしぼりでしかも熱々。ハンバーガーが手づかみするのがおいしい料理。だから思う存分手を汚し、汚れた手をこれでキレイにして帰ってね…、っておいしくやさしいメッセージ。

お店の方から肉が焼けるおいしい匂いがやってきて、お腹をぐーぐーさせて待ち、10分ほどで料理が到着。

いつもながらにうつくしい。
さて、食べる準備をと上のバンズを持ち上げる。
溶けたチーズがバンズをパティをくっつけて、だからパティも一緒に持ち上がる。
ひっくり返してお皿に置きます。

下半分にはレタスにトマト、レッドオニオン、ピクルス、ハラペニョ。
ピクルスとハラペニョをパティの上に移して残りをまず食べる。甘いトマトにシャキシャキレタス。

お腹を潤し、下側のバンズをパティの上にのせてピュアなチーズバーガーの出来上がり。

そしてバクッと頬張ります。
がっしりとしたパティはまるでステーキのよう。肉汁がしっかり肉の中にとどまっていて、噛み締めはじめて滲んでバンズや口を潤していく。焼けた脂の香りもおいしく、この肉肉しさが好きだったんだよね…、って思う。

ソースなんかつかわない。チーズと肉の持ち味だけで整うおいしさ。
そこにピクルスの酸味、ハラペニョの辛みが混じってパティの旨みや甘みがひきたつ。ゴツンゴツンと奥歯を叩く牛ひき肉の食感に、バリバリくだけるハラペニョが混じって口をにぎやかし、バンズと一緒にとろけて消える。
おいしいなぁ…、本当においしい。なつかしい。

マッシュポテトがまた独特で、茹でたじゃがいもを潰して塩と胡椒で味をととのえただけ。

みずみずしくてなめらかで、なのにホツホツ、壊れたじゃがいもの食感がときおり混じるオゴチソウ。

さみしくって気持ちが挫けそうになるとタナカくんと一緒に食べた好物をこうして食べる。おいしい思い出がまだある限り、ボクは元気でがんばれる。


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