おいしい寄り道、とんかつ山さき
夜、お腹いっぱいをたのしみたくて家の帰りにちょっと寄り道。「山さき」にくる。
曙橋の駅近く。とはいえ路地に面したお店。
白いのれんにお店の名前を書いた看板。ガラリと開く引き戸がいかにも昭和のとんかつ専門店って感じでステキ。
入り口脇にはテイクアウトの売り場があって、隣がスーパーということもあってでしょう…、夕方どきには夜のおかずにと買って帰る人が結構いたりする。
10人ほどが座れるL字のカウンター。
中に厨房。職人さんがふたりいて、調理補助とサービス担当の人がふたり。
テーブル席が12席。どこに座っても料理を作る様子がみえるほどよき大きさ。専門店って景色になんだかホッとする。
ミックスフライ定食とわさび昆布を選んでたのむ。
注文すると湯呑みにお茶、大根の浅漬けにわさび昆布がやってくる。わさびの辛味がおいしい昆布の佃煮で、これがあればビールが飲める。
カツが揚がる間をのんびり飲んで待つのも粋で、タナカくんはそうして待つのが好きだった。
カウンターの上に土瓶。
自由にどうぞという気軽がステキ。
カラコロ、カツを揚げる音。おいしい匂いと一緒にミックス定食がやってくる。
ご飯少なめでってお願いしたからでしょう…、ご飯を装った茶碗を手にもち「このくらいでいいですか?」って確認してから提供するのね。
ありがたい。
お皿の上はにぎやかです。
アジフライにエビフライ、それから串かつ。千切りキャベツが山盛りで、お皿の縁には芥子がべっとり。
おいしい景色。
千切りキャベツがちょっと粗めで食べ応えがある。
向こうが透けてみえるほど細く薄く千切りキャベツを作るお店もあるけれど、そういう千切りキャベツはドレッシングを必要とする。
ここのはソースをかけても負けぬ逞しさ。ドレッシングなんて用意もないのが潔い。
まずは千切りキャベツをひたすら食べて、そしてフライを食べ進む。
串カツ、エビフライにはソースをかけてアジフライには醤油を少々。
そうそう、ここにはタルタルソースなんていうのもございません!分厚いアジは味も濃くってフワッとほぐれる。醤油の香りがパン粉衣の香ばしさが一際引き立ち、後味スッキリしてくれる。
串カツはひと口大の豚肉3切れ、タマネギ3切れ。
このタマネギがおいしいのです。シャキッと最初はみずみずしくて衣と混じってとろけてく。甘くて軽い辛みもあって、ご飯のおかずにちょうど良い。
エビは加水をしない正直なエビ。ムチュンと食感、力強くて甘くてエビ独特の香りも強い。尻尾もキレイでバリバリ食べる。
汁の中にはしじみがたっぷり。しじみは実まで食べないとタナカくんに叱られるからゆっくり時間をかけてせせって食べた。腹いっぱい。