木蘭の夜
「木蘭」で夜。
思い出深いお店です。タナカくんとよくきたお店。店の造りは古ぼけていて、どこかスナックみたいな感じさえある。
けれど料理は丁寧。しっかりしていて上品ですらあるのにいつも感心してた。
ボトルキープは縛られるような感じで好きじゃない…、といってた彼がこの店には紹興酒をキープしていた。
それほど好きな店だった。
だから逝ってからしばらく間はくるのが怖くて来なかった。
いろんなことを思い出すから辛くてネ。
でも最近は気持ちがかなり落ち着いて、いい思い出に浸りに来てる。
一歩前に進めた感じ。
夜に気軽な定食があるのもうれしい。南昌飯店は定食提供をやめてしまってひとりで気軽にいけるお店じゃなくなったから、ここはいろいろありがたい。
豚肉と野菜炒めの定食たのみ、春雨サラダと春巻2本。
春雨サラダと春巻で紹興酒のオンザロックを飲むのが好きで、これにイカ揚げ団子があれば無敵の組み合わせ。
そういえばこの前にきたときもこれと同じ組み合わせだった…、って思って笑う。
好きなんだからしょうがない。
いつもは春雨サラダがまず来るんだけど、今日は定食と春巻が最初にできた。
見ればボクの直前に来た人が同じ料理をたのんでて、ふたつまとめて作ったんでしょう。中国料理はたくさん作れば作るほどおいしくなるからよしとする。
炒め物は中国料理の華と言ってもいいでしょう。強火で仕上げた素材はその持ち味を失わぬまま料理に仕上がる。ピーマンはパリパリ、香り華やかでキュッキュと奥歯をくすぐるような玉ねぎは甘くてなめらか。豚肉はふっくらやわらか、脂の部分はカリッとしてる。
ご飯がお皿にこんもりキレイに盛り付けられてて箸で持ち上げることができるんですよね…、こういうところの丁寧がこの店ならでは。
硬めに炊けたご飯の状態もオキニイリ。
そうこうするうち春雨サラダがやってくる。硬く戻した春雨と細切りにしたハムときゅうり、錦糸卵を芥子酢醤油であえたもの。
すべての素材が同じ長さに整えられているのがこれまた丁寧。春雨がサクサク歯切れてキュウリがカリッ、ふっくらとした錦糸卵がタレをしっかり吸い込んで、口の中がひんやりするのがたのしい一品。
春巻の生地はパリパリ、餡はぽってり。
オイスターソースの風味、うま味が濃厚で細切りにしたタケノコ、豚肉がたっぷり詰まって食べごたえがある。
餡がたっぷり、しかも味が濃厚だからご飯のおかずにぴったりなのもありがたく、夜のお腹がしっかり満ちる。
オゴチソウ。