あらあらしいほどにおいしい音威子府のそば
4年近く前のコトになりましょうか。
家の近所に行ってみたいお店ができたんだよネ…、とタナカくんがいう。
北海道の小さな村の独特のそばの専門店で…、と続ける彼に「音威子府ってお店じゃない?」って、ボクも行ってみたいからとブックマークをかけてたページを彼に見せた。
そうそう、ここココ。
同じお店を行ってみたいと思うこと。今ふたりでいけばはじめての店で一緒に行って一緒にいろいろ感じることができるよネ…、ってその足ででかけて食べた。
…、と、そんなことを思い出しながらひさしぶりに今日やってきてみる。
荒木町、杉大門通りに面して小さな入口。奥に奥にと広くなりカウンターの中に厨房。小上がり3卓。信州仕立ての白いそばもあるけれど、やはりここは黒い音威子府そば。
ランチのサービスの炊き込みご飯。
あまくてしっとり仕上げたおからがお通し代わりにやってきて、それを食べつつそばができるのをのんびり待ちます。
二人できたときはせいろと熱いたぬきを分け合い食べた。
どちらもそれぞれおいしいのだけど、熱いたぬきの力強さにノックアウト。
断然のオキニイリになったのを思い出し、今日は熱いたぬきそば。
どっしりとした丼に茹で上がったばかりのそばをたっぷり。固めに茹でてしぼったほうれん草に刻んだ白ネギ。わかめにちくわを一枚乗せて天かすどっさり。熱々の黒いかけ汁をかけて完成。
丼の顔は見事に色黒で、ソバの実を甘皮ごとひいて製麺した麺は黒くてつやつやして、昆布と煮干しを使った汁も蕎麦の風味に負けぬ味わい。
甘い。そして塩辛い。出汁は荒々しいほどに力強くてそこにどっしりとした油のコクが混じって整う。
冬になるとマイナス30度にもなる極寒の地。寒いところで足踏みしながら食べる熱々の蕎麦っておいしいだろうねぇ…。食べてるうちに体が芯からあったまっていく。湯気までおいしいおごちそう。音威子府って場所でこそ生まれた食べ物だんだろうねぇなんていいながら、汗だくになって食べたことを思い出す。
日本で一番小さな村の小さな駅にあった「常盤軒」。お店の人がなくなって今年の2月に廃業された。四谷の街で分かれがこうして生き残ってる。それもステキと思う午後。