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ボクにとって一番おいしい焼き鳥丼。伊勢廣の五本丼
銀座の昼。無性に焼鳥丼が食べたくなった。
実は焼鳥ってあまり得意な料理ではない。鶏らしい鶏肉の匂いや味の癖が苦手で、だからすすんで焼鳥を食べに行こうとは思わない。
だから焼鳥丼を食べたくなるのは稀なこと。
唯一、たまに食べたいと思い出すのが京橋にある「伊勢廣」というお店の丼。銀座にたしか支店があった。何度も店の前を通ったことがあり、試しにそこに行ってみようと思って訪ねる。
ビルの2階にある店です。階段口にランチのメニューがたっていて、みるとなるほど。京橋の本店とほとんど同じ内容のよう。タンタンタンタン、階段上がってあがった先に黒いドア。暖簾がかかった白木の引き戸のような景色を想像してのだけど、予想と違ってちょっとびっくり。
おそるおそる近づいてくとスッとドアが自動で開いた。即座に「いらっしゃいませ」と明るい声。お一人様ですか?と聞くのでそうですと答えると、カウンターにどうぞと案内されて落ち着く。
10人ほどで焼き場を囲むように座る、コの字型のカウンター。
炭がおこった焼台の上に大きなダクトが設えられてて、白い煙を吸い込んでいる。煙の量の凄いコト。焼いてる職人さんの手元がすっかり隠れてしまうほどの勢い。
串に塩を打ち、炭の上に並べて転がし強火でガンガン焼いていく。脂が滴りおちてそれが炭にあたって煙になる。煙は串に刺された鶏や素材を燻してこんがり仕上げる。焦げたところが炭化していく。そこを指でつまんでとったりハサミで切ったりしながら焼きあげそれを丼に仕立ててく。
煙の向こうにくりひろげられる見事な手際にうっとりしながら料理を待ちます。
カウンターの上には朱色の四角い平盆。
最初は青菜の漬物にお茶におしぼりがやってきて、まもなく丼が出来上がるタイミングにてスープが到着。
鶏ガラスープを塩と三つ葉で味や風味を整えたもの。
鶏らしい匂いがしてきて、すばやく山椒をパラリとたっぷり。
香りも収まり、どっしりとした旨味でお腹がじんわり温まったところで丼。
五本丼を注文しました。
串が5本で五本丼。串の種類はささみ、葱巻、皮身にもも肉。それから団子。ご飯は半分にしてもらいます。
ささみは塩焼き。わさびたっぷり。ふっくらとした食感で炭の香りが口の中で爆発するような風味がおいしい。
ここの名物のひとつが葱巻。薄くそいだ鶏むね肉でネギをクルンと巻いたまま焼く。サクッと歯切れる胸肉とザクッと砕けるネギの繊維の相性抜群。ししとう、しいたけと挟んだ具材までおいしく仕上がり多彩な食感にうっとりします。
団子の中には軟骨と山椒の実がしこまれていて、コリコリとした食感に軽いしびれが鶏ひき肉をおいしくさせる。ひき肉自体はジューシーで肉汁たっぷり。脂がおいしくどっしりとした旨味が特徴的なもも肉は、焦げたタレの風味とコクに負けぬ持ち味。これぞ焼鳥…、って味わい堪能。
中でも感心するのが「皮身」。
肉をたっぷりつけた鶏皮をカリカリになるまで焼き上げたもの。自分の脂で揚がったように仕上がってサクサク歯切れて、弾力のある肉の食感引き立てる。鶏皮嫌いのボクも完敗。堪能します。
タレは自然な甘みと醤油の風味がくっきりとしたさっぱりとした味わいで、鶏の味わいを引き立てこそすれ邪魔しない。ご飯の上には海苔が敷かれて風味がなんともおゴチソウ。
それにしてもここの丼。口が広くて浅い形状。焼き鳥をズラリ並べてうつくしよう工夫されてるオリジナル。いい店だなぁ…、魂こもった料理はおいしい。また来ましょうと思ってニッコリ、席を立つ。