川のせせらぎ、鮎三昧
夕方、群馬の渋川にくる。利根川のほとりに「落合簗」と言う鮎料理の専門店があってそこで夕食。鮎喰らう。
門をくぐると鮎生簀に大きな窯が並んでる。
生きたまま鮎に串を売って窯にズラリと並べじっくり、炭火で焼き上げる様子がすでにおいしい。
案内された店内は川床仕立ての板間。ござに座布団。
間近に川を眺める設え。
上流で数日雨が続いたからか、水量多くて流れる音も力強い。
お冷はセルフサービスでどこかドライブインのような風情があるのがなつかしく、鮎のあらいときゅうりの酢の物、茹でた枝豆を食べつつのんびり料理を待った。
鮎の塩焼きがやってくる。
太って大きな鮎が二尾。
塩をたっぷりまとってこんがり焼き上がり、体をよじった姿があたかも川を泳いでいるがごとき。
カプッとひと口。
緑の香りが口から鼻へと抜けていく。
ヒレや皮はサクサクしあがり、身はふっくらと焼けている。
しっかりとした旨みが塩とであって甘さをよそおいながら、ハラリと口を散らかりゆっくり消えていく。
おいしいなぁ…、今の季節のオゴチソウ。
なによりワタがしっかりしてる。ほろ苦くって、苦さが終わると強い旨みに変わってく。
ウットリしながら骨までしゃぶって食べてると、鮎の田楽がやってきた。
焼いた鮎に甘辛味噌を塗って仕上げた鮎の田楽。
手でつまみあげカプッと食べると、なんと子持ちでらっしゃった。
しっとりとした身に混じり魚卵がホツホツ、散らかるように奥歯に当たって潰れてく。味噌の旨みと香りも上等。
焼き鮎と出汁と一緒に炊き上げたご飯が出てきて、〆の一品、鮎フライ。
がっしりとしたパン粉をまとって揚げた鮎。
背骨は抜かれて丸ごとパクッと食べると壊れる。パン粉が散らかり身やワタが一緒くたになっていくのがなんとも痛快。
味噌汁の実も鮎としっかり鮎尽くし。梅雨明け直後の夏のゴチソウ…、堪能す。