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飲食店を好きであり続けたいから

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外食産業はかつて憧れに満ちた産業でした。 日本において最大の雇用産業。日常的なレジャー産業でもあり、働く人もお客さまも期待と憧れをもって飲食店に接していた。 最近、外食産業が輝き…
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記事一覧

マクドナルドのお勉強①

先日、マクドナルドでダブルチーズバーガーを買う人は価格に鷹揚なよい消費者、チーズバーガーのおたのむ人は安い選択肢を探す消費者…、というような内容の論文をみた。 そこそこ人気の経済評論家の戯言で、消費者の選別が事業を成功させる鍵という持論を、マクドナルドという誰にもわかる例を引き合いにして披瀝したのに違いなく、ただこの人は「人が消費すること」の深淵にして複雑な世界に真摯に向かい合ったことがあるのだろうか…、と思った。 マクドナルドはダブルチーズバーガーを売りたくってしょうがな

たよりにならないものをたよりにする不幸

銀座に「瑠之亜珈琲」というお店がありました。 ルノアールが開発した新業態で、それで「ルノアコーヒー」。 ルノアールの主要顧客は男性サラリーマン。 彼らの休憩の場であったり打ち合わせの場所として重宝されていたのだけれど、女性にもアピールしないと生き残れないかもしれないと思って開発されたのでしょう。 ルノアールが喫茶店的であるとするならば、瑠之亜珈琲はカフェ寄りコンセプト。 お店の雰囲気もモダンでちょっとフェミニンで、メニューもルノアールとは一線を画したオシャレ路線をとっていた。

ダイナーってなに?

今日、とびきりのチリドッグを食べにいったファイヤーハウス。 アメリカ的です。 気軽で合理的にできていて、飾り気があるわけじゃないのに居心地がよい。 そういう店がボクは好き。 ダイナー的とたまに表現することがある。 あの店ってダイナーっぽいから好きなんだよなぁ…、ってそんな感覚。 ところでダイナーってどんなお店のことをいうのか。 今日はダイナーのお話です。 ダイナーを説明してくれたAIくんは南部出身かもしれない(笑)

ステーキととんかつ、あるいは鰻

今日のとんかつと蕎麦の店。 もともとステーキレストランとして開業した店。 ステーキファーストっていう名前で、昼はステーキとご飯、夜はステーキでワインというコンセプトだった。 だから立派なワインセラーが設られてて、サルバトーレグループとしてはイタリア料理の次のコンセプトに仕立てようと考えていたのでしょう。 何軒か支店も作った。 ステーキファーストっていう名前は「ステーキで1番」っていう意味と「最初にステーキ」ってダブルミーニング。 ステーキをいきなり提供するコンセプトのチェー

丼と御膳はどっちが上等で高価なんだろう…?

インバウンドの人たちが日本にくる目的の多くが「食事をたのしむこと」をあげる。 そのほとんどの人たちが日本料理をはじめてたべるわけじゃないのが面白いとこ。 世界中に日本料理を名乗るお店があってそういう店で「日本料理のようなもの」を食べた経験のある人たちがやってくる。 日本で本物に遭遇してびっくりする。 見た目に味わいの違いに驚き、店が清潔であることに感動する。 お店の人はやさしくて、しかも驚くほどに料理が早く提供される。 しかも安さにびっくりします。 なにしろ日本より経済力も

資さんうどんと丸亀製麺

12月に資さんうどんの関東1号店が千葉県の八千代にできる。 今年の夏に神田で期間限定ポップアップ営業をし、その終了日に東京進出決定しました…、と告知がされた。 のちに1号店の場所は両国と発表されて、そこから関東進出をはじめるんだなと思っていたら、なんと関東1号店が八千代にできるってことがわかった。 すかいらーくグループの主戦場、郊外立地で勝負をしかける。 本気なんだなぁ…、と思うと同時に、その1号立地の八千代のことを調べてみたら、八千代じゃなくちゃいけなかった理由を発見。

サブウェイとワタミ

「ワタミ」が「サブウェイ」を買ったというニュースにはビックリしました。 サブウェイといえば世界最大規模のファストフードチェーンです。 アメリカでは店舗数が断トツに多いチェーンでもあって、にもかかわらず日本のサブウェイは現在たった178店舗。 マクドナルドは3000店舗ほど。 モスが1300店、ロッテリアが300店規模で、フレッシュネスバーガーが130店舗ほどだから、決して大きいとはいえない規模です。 世界的に大きなチェーンが日本でなぜだか数が少ない。 それは「やり方に問題が

サイゼリヤはなにを相手に戦っているんだろう…

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ファミリーレストランの役目は終わったのか②

日本の外食産業の黄金時代を支えていたのがファミリーレストラン。 外食経営者を目指す人たちが作るお店と言えば和洋中を問わずファミリーレストランタイプの店でした。 けれど今ではファミリーレストランを作ろうとする人は少なくなった。 飲食業が好きな若い人たちはコーヒー専門店やカフェを作る。 一旗揚げたい人たちはラーメン店を開業するし、大きくなってやろうと野心を持つ人はバルや居酒屋に手を出す。 つまりそれらが成功しやすく見えるからでしょう。 ファミリーレストランが産業の主役だった時代

チョコレートチップクッキーとアイスドリップ

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ファミリーレストランの役目は終わったのか①

先日、ブログにS・フランキーさんという方からこんなコメントをいただきました。 たしかにファミリーレストランの現実は決して明るいものではありまません。 すかいらーく、デニーズ、ロイヤルホストというファミリーレストラン御三家が外食産業をリードしていた時代があったなんて、今の人にはおそらく想像できないんじゃないかなぁ…。 すかいらーくはファミリーレストラン事業から定額食べ放題ブランドへ事業の軸足を移しているし、ロイヤルホストは気軽な洋食ビストロへと舵をきった。 デニーズはイトーヨ

てんやは郊外とんかつ専門店の生みの親②

1980年台の後半といえばマクドナルドが「サンキューセット」を販売し、人気を博した頃でした。 ハンバーガーにフレンチフライとソフトドリンクのSサイズがついて390円というわかりやすい安さの値段の商品で、マクドナルドの社史にも「社会現象を起こした」と書かれているほど話題になった。 1971年にやってきたマクドナルドは決して安い印象はなかった。 単品ひとつ一つは安かったけど、ハンバーガーひとつでお腹も心も満たされるわけはなくあれやこれやとたのむと結局、高い買い物になっちゃった。

てんやは郊外とんかつ専門店の生みの親①

てんやの期間限定商品を食べたくって食べに来る。 「いか旨天丼」という商品。 天丼大賞という社内のコンテストで優勝したという商品で、販売期間が2週間。 しかも予定数を販売したら終売というので急いできました。 てんやに来るのはひさしぶり。 そしたらテーブルの上にタブレットメニューが置かれていました。 自社開発なんでしょう…、他のどのチェーン店とも違った操作体系。 使い勝手が悪くて注文するのにもたもたしました。 とは言え一人一台だからこころおきなく時間を使って注文し終える。

回転寿司の魅力

先日、友人と話をしていたら回転寿司の話題になった。 ひさしぶりに実家に帰って、ご両親と一緒に寿司でもつまもうか…、ということになったんだそう。 ご両親の年齢は80半ば。 食も細くなっただろうから、うまい寿司を食べようと昔馴染みのたちの寿司に行こうと誘った。 そしたら「近所にできたくら寿司がいい」というんだという。 お金のことは気にしないでいいからと言っても、くら寿司がたのしくていいという。 それに、くら寿司はネタが薄くて食べやすい。 あぁ、そういう考え方があるのかとびっく