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食べるト楽しむ

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ホガラカな視点で食べるということを考えてみる。 ホガラカな視点でたのしむということを考えてみたら、こんなたのしいコンテンツになりました。 例えば「食べログ」のたのしみ方。例えば「…
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エビの料理のあれこやこれやを話してみましょう①

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味噌汁の実

先日、友人たちと「味噌汁の実はなにが好き?」って話でちょっと盛り上がった。 集まったのは7人。 これから一生、味噌汁にいれることができる具材を一種類だけ選べと言われたら何を選ぶのかという、まさに究極の選択。 みんな悩んで応えを出します。 一番多かった応えは「豆腐」。 3人が選んだ。 油揚げと油揚げが一票づつ。 しじみという答えには「それはしじみ汁であって味噌汁じゃないんじゃないか」と物言いがつき、ならばと彼はわかめを選ぶ。 サカキはなに?って聞かれて「じゃがいも」と答えた

湯豆腐をおいしく食すにはどうすればいいのでしょう

40年ほど前のこと。 アメリカから日本の外食事情を見に来た視察団を京都に案内したことがありました。 正確には大阪から京都に入った彼らを案内するはずの人の都合がつかなくなって、急遽ボクが駆り出されたのネ。 どこで合流すればいいのか聞けば、湯豆腐で有名な店だという。 悪い予感しかしませんでした。 案の定、案内されて入った部屋の空気は凍りつくが如し。 みんなイライラしているのがひと目でわかる: そしてこういう。 「前菜が終わってメインディッシュを待っているのだけれど、なかなか出て

椿屋で朝。今日もお皿の上でサンドイッチを作ってみる

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北のカレーと南のカレー

仕事柄、料理の勉強はよくしてきました。 食いしん坊で食べるものに対する好奇心が旺盛だったから勉強がまるで苦にならなかったのでしょうね。 食べておいしかったら作ってみることも多くて、それでますます知識は増えた。 とはいえ勉強しようにもキッカケがつかめなかった料理もまだまだたくさんあって、たとえばインド料理がそういう料理のひとつでした。 日本のカレーをどんなに食べてもインド料理を食べたことにはならない上に、スパイスひとつとっても他の料理体系とまるで違った世界が目の前に立ちはだか

粥粥リゾット、そしてかゆ

新宿駅の西口地下街。「粥餐庁」で中国粥の朝ごはん。 朝10時まで手軽な値段の朝粥定食をやってて10時で一旦閉店。11時からランチ営業というのが独特。 10時55分に来た人が朝食メニューをたのみ、その5分後に来た人が同じようなランチセットを倍近い値段で横で食べている。 そういうバツの悪さを無くしたい…、ってことなんだろうか。 それほどここの朝食メニューは魅力的。 選んだお粥に肉まんに杏仁豆腐、セルフサービス、おかわり自由の飲み物までついてワンコイン前後。 搾菜と干しエビの

あまじょっぱいものってなぜかおいしい…。

好きな料理を挙げてみなさいって聞かれたらまず思い浮かぶのがグリルドベーコン こんがり焼けた上等なベーコンを食べると半日、ウキウキできる。 ハムよりも肉感的で、ソーセージよりも力強い。 脂でつやつやしたベーコンが唇を撫でるだけでシアワセの予感にウットリしちゃう。 ベーコンの、中でも好きな食べ方がパンケーキにグリルドベーコンを添えること。 そして添えられたベーコンにメープルシロップをひたひたになるまでかけて、甘じょっぱくして食べること。 ベーコンの塩気とメープルシロップの甘みが

日本のお魚料理のちょっと退屈で窮屈なところ

日本の魚料理は世界一…、なんて言う人がいる。 なにしろ寿司という魚料理文化を産み、育んだ国であります。 日本の魚河岸は世界一の水準ともいう。 周りをぐるり海で囲まれ、寒流、暖流入り混じり、緑豊富な陸地から滋養を含んだ川が絶えず流れ込む。 干潟に灘、入り江に海岸、崖と沿海地形も多様で多彩。 瀬戸内海という内海までも抱える国です。 魚の種類も多様でなにより、漁場と消費地が近いことなど、美味しく魚を食べる環境がととのっている。 だから日本の魚はおいしい。 けれど日本の魚料理が世界

ホテルの朝食バフェはなんで高くなっちゃったのか?

行かなくなったと言えばホテルの朝食バイキング。 コロナ前には月に1、2度、ホテルで朝食バフェをたのしんでいた。 一人でのんびりするのもたのしく、ふたりで違いがとってきた料理の内容な盛り付けを自慢しあって過ごす時間は格別でした。 食べ放題…、というのじゃないのね。 好きなものを好きなだけ。 いろんな料理を組み合わせ、お皿の上で最終調理をする感覚もたのしくて、なにより他の人が贅沢しない時間の贅沢っていうのが格別、贅沢だった。 でも最近は行ってない。 理由は多くの朝食バフェが馬鹿

イギリスのサンドイッチと回転寿司

サンドイッチがいつ、どこで生まれたかを調べようにも調べようがないほど歴史は古い。 パンで料理をはさんで食べればカトラリーを使う必要もなく、なにより手っ取り早くお腹が満ちる。 日本のおにぎりがいつ、どこで生まれたのかって調べように答えがでないのと同じように、自然発生的に生まれた合理的な食べ物だったに違いない。 ただ料理の体もなさない庶民の食べ物だったサンドイッチを洗練させて、上流階級の人たちも食べるに値する「料理」として完成させたのはイギリス人。 なにしろ名前のサンドイッチは

イギリス料理はまずいと思い込むのはもったいない②

イギリスの本当の良さはカントリーサイドにある。 そう言われます。 シティーは金を稼ぐために人間性を犠牲にする場所。 カントリーサイドは豊かな自然の中で人間性を取り戻す場所。 貴族が所有する城はもれなくカントリーサイドにあり、資産家や企業家も週末を過ごす邸宅をカントリーサイドに好んで作る。 なだらかな丘陵地に川が流れ木々が茂り、牛や羊が草をはむ。 なんとものどかでうつくしく、しかもここにあるものはすべておいしい。 おいしいイギリスはレストランの厨房ではなく、こういうとこ

イギリス料理はまずいと思い込むのはもったいない①

…、とタイトルで書いておきながら、確かにイギリスに行くとなんでこんな料理をみんな当たり前のように食べているんだろうって思うことがよくあります。 イギリス人は素材の味を台無しにする天才。 イギリス人は料理の味を一瞬にしてなくす魔法を知っている。 料理は「破壊と再構築」と言われるけれど、イギリス人は再構築の仕方を知らず破壊する。 まぁ、いろんなことを言われます。 たしかに多くの料理がもうふた手間くわえればもっとおいしくなるのに…、と思う水準。 ひと手間じゃなくてふた手間と

ロールキャベツってどういう料理?

昼、ロールキャベツを食べながら、これは一体、なにものなんだろう…、と思うと書いてみたくなった。 「ロールキャベツを思い浮かべてください」。 そう言われて頭の中に思い描くロールキャベツは何色なのか? ボクの家ではトマト仕立てだったからロールキャベツは赤いもの。 だから新宿アカシアではじめて白いロールキャベツに出会ったときには驚いた。 なるほど、これは「ロールキャベツシチュー」であってボクが知っているロールキャベツとは別の食べ物なんだと落とし所を見つけるも、同じ新宿には「和風

茄子と油とトマトとパスタ

今年のお盆も終わります。 精霊牛にのってのんびりどころか、帰りたくないからか新幹線も飛行機までも止めちゃった(笑)。 家に返ってくるときは大急ぎで戻れるようにときゅうりの馬。 帰るときにはたくさんのお土産をのせてゆっくり帰れるようにとナスで牛を作る風習。 日本の文化はしみじみやさしい。 さて今日はナスとパスタの話。 スパゲティのお店の多くに「メランザーネ」ってメニューがある。 ナスを具材にしたトマトソースのスパゲティであることがほとんどで、料理の名前にあえてするなら「Spa