第35回社会福祉士国家試験解答・解説(午後科目)
社会調査の基礎
問題84 社会調査に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 社会調査は、個人ではなく、組織や機関が実施するものである。
2 社会調査は、市場調査や世論調査を含まず、行政調査と学術調査を指している。
3 国勢調査の対象者は、日本に居住する日本国籍をもつ人に限定されている。
4 社会問題の解決のために実施する調査は、社会踏査(social survey)と呼ばれる。
5 社会調査の分析対象は、数量的データに限定されている。
正解 4
解説
選択肢1は、✖
社会調査は、組織(国、自治体、民間企業)や機関(研究機関など)だけでなく、個人などによって幅広く実施されています。
選択肢2は、✖
本問は、社会調査の種類に関する問題ですが、社会調査には、行政調査や学術調査のほかにも、市場調査(企業が市場の動向や競合関係または消費者ニーズを調査して、マーケティングにおける情報を得るために行われる調査)、世論調査(政党などへの支持といったある社会集団の世論の動向を明らかにすることを目的に行われる調査)などもあります。
選択肢3は、✖
国勢調査の対象者は、日本国内に居住している者として政令で定める者となっていて、外国籍の者も含まれます。
選択肢4は、〇
社会踏査の例としては、ブースのロンドン調査、ラウントリーのヨーク調査などがあります。
選択肢5は、✖
本問は、社会調査の方法に関する問題です。社会調査の方法には、数量的データを収集し、統計学的に把握する調査と質的調査、つまり数値化できない言語や文章などの調査対象者の主観的なデータ(質的データ)を収集し、記録にまとめる調査があります。
問題85 統計法に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 行政機関の長は、一定の要件を満たす学術研究に対して調査票情報を提供することができる。
2 行政機関の長は、基幹統計調査のデータを加工して、匿名データを自由に作成できる。
3 個人情報の秘密漏えいに関する罰則は定められていない。
4 厚生労働省が実施する社会福祉施設等調査は、基幹統計調査である。
5 一般統計調査には、基幹統計調査も含まれる。
正解 1
解説
統計法とは、公的機関が作成する統計全般を対象とした法律になります。
選択肢1は、〇
統計法第33条、統計法施行規則第11条第1項第2号に規定されています。
選択肢2は、✖
行政機関の長又は指定独立行政法人等は、その行った統計調査に係る調査票情報を加工して、匿名データを作成することができます。しかし、行政機関の長等が基幹統計調査のデータを加工して匿名データを作成する場合は、あらかじめ総務省の統計委員会の意見を聴く必要があります(統計法第35条第2項)。
選択肢3は、✖
懲役と罰金の罰則があります(統計法第57条から第62条)。
選択肢4は、✖
厚生労働省が実施する基幹統計調査は、9つあります。
人口動態統計
毎月勤労統計
薬事工業生産動態統計
医療施設統計
患者統計
賃金構造基本統計
国民生活基礎統計
生命表
社会保障費用統計
しかし、社会福祉施設等調査は含まれていません。社会福祉施設等調査は、一般統計調査(基幹統計調査以外の行政機関が行う統計調査)になります。
選択肢5は、✖
一般統計調査は、基幹統計調査以外の行政機関が行う統計調査になります。なので、一般統計調査には、基幹統計調査は含みません。
問題86 標本調査に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 標本調査では、非標本誤差は生じない。
2 標本抽出には、性別や年齢といった母集団の特性を基準にする抽出法がある。
3 標準誤差は、質問の意味の取り違え、回答忘れなど、回答者に起因する。
4 系統抽出法では、抽出台帳に規則性がない場合、標本に偏りが生じる。
5 確率抽出法では、標本誤差は生じない。
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