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国、都道府県、市町村の役割 社会福祉士国家試験受験対策 福祉行財政と福祉計画 NO.2 完全編

目次
1.地方自治体とは
2.行政の事務について
3.国、都道府県、市町村の役割について

では、今回は、国と都道府県と市町村の役割について触れていきます。

1.地方自治体とは


地方公共団体(地方自治体)とは何か。
国民の福祉に直接関わりのある自治体は、地方公共団体です。
地方公共団体には、普通地方公共団体と特別地方公共団体があります(地方自治法第1条)。
普通地方公共団体というのは、広域自治体である都道府県と基礎的自治体である市町村を指します。みなさんも、馴染みがあるのでイメージができますよね。
では、都道府県はいくつあるかご存知でしょうか?
そう、47都道府県になります。
普通地方公共団体のうち、基礎的な自治体は、市町村になります。
この市町村ができることは、市町村がする。これが基本になります。で、市町村ができないことは、これは都道府県がサポートするということになっています。基本的には、このように地方公共団体の役割は分けられています。
ただ、普通地方公共団体には、都道府県と一般の市町村以外に、中核市、政令指定都市というものがあります。
中核市というのは、政令で指定する人口20万人以上の市を指します。それから、政令指定都市というのは、政令で指定する50万人以上の市を指します。
これら中核市や政令指定都市は、一般の市と事務配分が異なりますが、これは、規模や能力などが比較的大きな都市の事務権限を強化し、都道府県ではなく、できる限り住民の身近なところで行政を行なうことができるようにするための工夫になります。
そして、市町村、中核市、政令指定都市、都道府県という順に権限が大きくなっていきます。

それから、特別地方公共団体というものがあります。例えば、地方公共団体の組合、組合としては、一部事務組合や広域連合ですね。その他の特別地方公共団体として特別区などがあります。
普通公共団体だけでは不都合がある場合があるんですね。そこで、特別地方公共団体が必要となってくるわけです。要するに、行政効率を考えてできた団体ということになります。例えば、市町村の中には、1万人しか人口がいない等の人口の少ないところがあります。このような市町村では、税収が少ないなどから、単独では行政サービスができないわけです。したがって、みんな近所の市町村が一緒になって一部事務組合を作って、水道とか、消防とかをやる必要があるわけです。
逆に、人口が多すぎて、単位を分けないと話にならないという場合に、特別区を設けます。例えば、東京都は、渋谷区、新宿区とかという東京23区という特別区というものがありますよね。特別区は、基礎的な地方公共団体として、都が処理するものを除き、一般的に、市町村が処理するものとされている事務を処理しています。
で、特別地方公共団体のうちの地方公共団体の組合の一つに、広域連合というものがあります。例えば、後期高齢者医療広域連合。これは聞いたことはありますよね。これは、75歳以上の高齢者の方を主な加入者とする後期高齢者医療制度の運営主体です。都道府県ごとにすべての市町村が集まって、後期高齢者医療制度のための広域連合を作っています。

2.行政の事務について


次に、行政の事務を見ておきます。ここはとても大事です。これまで何回か国家試験に出題されています。
地方公共団体の事務というのは、今、法定受託事務と自治事務。この2つになります(地方自治法第2条第8項、第9項)。いいですかね。この2つです。他の事務はありません。かつては、国に頼まれて都道府県知事等が代わりに行うという機関委任事務、それから地方の実情を反映するために地方公共団体に委任する団体委任事務というのもありました。しかし、これらは、1999年に廃止されています。要するに、1999年に地方分権一括法で変更されました。
で、法定受託事務には、第一号法定受託事務と第ニ号法定受託事務があります。
第一号法定受託事務は、国が本来やるべきことを地方自治体(都道府県、市町村、特別区)に委託した事務になります。この事務は、国において適正な処理を特に確保する必要があるわけですが、それを都道府県や市町村又は特別区がするというものです。本来、国がやるべきことですけれども、それを都道府県、市町村、特別区にやってもらうというような事務を第一号法定受託事務と言います。例えば、①生活保護法に基づく保護の実施、②児童手当、児童扶養手当、特別児童扶養手当等の支給、③社会福祉法人や社会福祉施設の認可、④国政選挙、⑤旅券の発券などになります。
それから、第二号法定受託事務は、都道府県が本来すべき事務を市町村や特別区に委託した事務になります。例えば、都道府県議会選挙などです。この第二号法定受託事務には、福祉行政に関するものは、ほぼありません。

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