コロナ禍以降に持ち上がる働き方改革が進まない
社内情シスに属する自分の身近な話をする。「働き方改革」「新しい日常」などという言葉が昨年の春頃から断続的に飛び交っていたが、徐々にトーンダウンしていき、いつのまにか誰もその言葉を口にしなくなっていった。うまくいかなかった理由と、どういう道筋で考えるべきだったかをまとめてみる。今後の課題として、自分のためにメモした内容である。
うまくいかなかった理由
うまく話が進まなかったのは、大きく2つの理由があったと考えている。
1.目指すべきゴール(Why)が実は共有できていない
各階層(縦)や各部門(横)毎に、ゴールもそのための実現手段も異なる。それをまず理解することから始めて、最終的に利害関係者でゴールを共有する(1つの大きなプロジェクトとしてくくる)必要があったができなかった。
2.難課題を解決するためのメンバー不足
この課題を解決するためには複数の部門をまたぐことになるが、部門をまたいで解決するという課題解決を、特定の1部署のボトムアップでどうにかしようとするには限界があった。
働き方をどうやって改革していくか
以下、どうやって改革していくかをWhy-What-Howで整理しました。
(Why)働き方改革とは何を目指すものか?
・従業員のゴール:
「働きやすくなった」と実感できる。従業員満足度(ES)が上がる。
※在宅勤務ができることだけで従業員満足度が上がるわけでもないところが難しい。(集中してorコミュニケーションして)働きたい時に、その働き方ができる手段(しかけ)があるかどうかが重要であり、人によっては在宅勤務よりも会社が用意した場所で集中して仕事がしたいと願う社員もいる。従業員満足度という指標で語る必要がある。
・経営層のゴール:
「働き方の改革以降、従業員の生産性が向上した(売上が上がった)」「(人事側面で)離職率が下がった」など。
(What)働き方改革とは何を対象に手を入れるものか?
・組織改革
・就労規則改定
・評価制度改革
・ツールの配備(IT他)
・業務プロセスの改革(デジタル化等)
(How)働き方改革をどうやって実現するか?
・組織改革:
命令をトップダウンで一直線に落としていく軍隊型の命令系統を、自律型に寄せていく検討がいるのではないか。責任と権限を各人に与えずに、離れて働いて成果を出し続けるのが難しいし、(管理する側・される側双方にとって)働きにくい。
・就業規則改定:
働く場所と時間の再定義。働く場所を選べるようになることと、働く時間が細切れになることが同時に起こる。それらをふまえ、新しい就業規則として再定義する必要があるのではないか。
特に、クリエイティビティの高い仕事の場合、働く場所の変化により脳に刺激が与えられ、新たなアイデアが思いついたり集中して仕事ができるようになったりと、アウトプットの質が高まることを期待でき、そここそが、経営層側への訴求ポイントになる。
・評価制度改革:
メンバーシップ型からジョブ型へ?
・ツールの配備(IT他):
コミュニケーションツール、端末、社内システムのネットワーク設計見直し、システム基盤のロケーション変更(クラウド化、ゼロトラスト化)。
・業務プロセスの改革(デジタル化等):
業務プロセスの分析とデジタル化。
まとめ
働き方を変えるというのは、コロナ禍においては絶対条件になっていたりしたわけだが、ワクチン接種後、通常のインフルエンザ状態になった世界では売上や生産性が以前のように求められるようになる。「安全のために在宅勤務」という理由がなくなった世界だ。
それでも「新しい働き方」を勝ち取りたいとも思うし、そうなるためにも「何をすればどういう結果になるか」をきちんと説明でき、その実現するための部門同士で思いを共有する必要があるだろうと思う。
今後は「働き方改革」=「コミュニケーションをどう取るか」の話に具体的に向かうと思う。パソコンを社員に配布しインターネットでつなげてzoom会議ができるようにしたからといって、それは恒久的な解決にはなっていない。そんな意識だと、集まって仕事したほうが生産性が高いとなってしまう。
「オンラインコミュニケーションで欠損する情報が何か」を考え、今の時代はオフラインのほうが速いものはそちらを選びつつ、オンラインでも十分可能なものはオンラインでやればいい。そういう議論をやれる会社かやれない会社か、大きく分かれることになるだろう。
以上。
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