【第四十話】当日、おしたく・小道具編 |しがない勤め人、国立文楽劇場で藤娘を舞う
開演時刻を過ぎているからか、小道具さんがなかなかつかまりません。
しばらくしておっしょはん、
小道具さん来てくれはったで!はよ確認させてもらお。
と、息を弾ませて戻ってこられた。
廊下の端っこでまずはメイン小道具、藤の枝を持たせてもらう。
あれぇ?藤の枝、こんなに細かったっけ?
こんなに短かかったっけ?
藤の花、こんなに長かったっけ?
あんなに情熱と時間をかけて自作した藤の枝はなんやったんや・・・<再現度の低さに愕然
まあ、今さら言ってもな。
決めの格好だけやっとこ。
あー、ずいぶん違うな〜あかんな〜。
でももう直せないよう、もういややー帰りたいー
小道具さん待たせたらあかんし、これくらいでいいにしとこ<諦めたら試合終了ですよ。いいのかそんなことで?!
小道具は他にもあるんだ!時間はない。
気を取り直して次、行ってみよう!
黒い塗り笠。
片手で持って腕を高くあげてみる。
うん、これは大丈夫。
三段笠・・・お稽古で使ってたのより小さいな。
大は小を兼ねる、ヨシ!
小道具さん、ありがとうございました〜!
この後、化粧さんに呼び止められ手先まで白くしてもらうと、
いよいよ出番間近となりました。
(続く)
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