![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/171892509/rectangle_large_type_2_fd91448c28284e76bc85de9e24757527.jpeg?width=1200)
【上田】巨大とんかつ 六文銭
ちょいと用事があって、またもや上田へ出向いた。
高速道路から下りて、馴染みのある上田の街並みを見ると、なにやらほっとする。
北関東から3時間半もの道のりだけど、堂々の日帰り。
![](https://assets.st-note.com/img/1737977093-nWAcCGbeY7auxNRMyZt1XlJ6.jpg?width=1200)
巨大なとんかつが食べられる〔六文銭〕が本日の目当てで、地図アプリで調べると、別所温泉の麓あたりに位置していた。
扉を開けると、厨房の中に立つご主人らしき年配の男性の姿が、目に飛び込んできた。
洋食屋らしく白いコック帽にコックコートを着ていて、いかにも厳しそうな風貌だった。
(あ、これは自分の仕事に妥協しない職人肌の人なんだな……)
そう感じながら、カウンター席へ。
このご主人のたたずまいだけで、もう、このお店の味に期待できることがわかった。
カウンター席だから、調理の手つきをじっくり観察できる。
手際よく、分厚い肉を処理し、油へ投入。
揚がったものへ、さっと包丁をいれて、てきぱきと皿へ持っている。
その目つきは、鋭い。
待っている間、新たにお客さんが来てカウンターへ導かれたので、
「あ、一つ隣にずれますね」
横の席へ移ると、ご主人、ふっと嬉しそうに微笑んでくれた気がした。
◯
![](https://assets.st-note.com/img/1737977196-2JBeN6vaVPLQ3tDjAYhkwCEc.jpg?width=1200)
メニューには、
・フィレカツ……脂が少なめで柔らかい
・ロースカツ……脂が多めで濃厚
迷うことなく、ロースにした。
待っている間の時間も幸せ。
ご主人の手際を見ていて、飽きない。
![](https://assets.st-note.com/img/1737977187-HAfzjhqV6sLQaDtw70K9nYSc.jpg?width=1200)
いざ、わたしのロースカツが出てきた。
大中小と選べるから、当然、大を選んだ。
キャベツが高いご時世だけど、それをケチっている様子もないほどの盛りっぷり。
衣はとても薄く仕上げてある。
塩をかけて、まずは味わう。
美味しい。
肉と脂が調和していて、塩がその旨味を引き立ててくれる。
つづいて、ツボに入っているソースをたっぷり掛けまわす。
夢中でむさぼり喰った。
![](https://assets.st-note.com/img/1737977315-cuIvgrDWC9y0pRjw2zkOe1dF.jpg?width=1200)
やがてご飯とお味噌汁も出てくる。
さらに、
「はい、アイスティーです」
なんとレモンティーも出てきた。
(このお店、わかってる……!)
脂の濃厚な肉料理には、アイスティーが圧倒的に合う。
あらゆる飲み物の中で、これほど肉につきづきしい飲み物はない、とわたしは思っているのだ。
焼肉屋さんで、もしドリンクバーにアイスティーがあったなら、迷わずそれを飲むことにしているくらいだ。
![](https://assets.st-note.com/img/1737977341-Oxp2wduWZrbIqhDAX81UeHk9.jpg?width=1200)
やがて……。
隣の男性が、
「ご飯、おかわり」
「あいよ」
店のおばさんが笑顔でおかわりを持ってきた。
ご飯、おかわりができたのか……トンカツはかなり減って、残り3切れほどとなっていたけれど、
「すみません、わたしもおかわり……あああ行っちゃった」
少ししょんぼりしていると、ご主人が、
「こちらのお客さんも」
とおばさんを促してくれた。感謝。
もっと早くおかわり制度を知っていたら、もう一杯くらいご飯を食べられたのに……少し悔しがりながらも、
「まんぞくまんぞく」
アイスティーを飲み干して、口の中をすっきりにした。
お店に敬意を表して、お皿にはかけらひとつ残さなかった。
![](https://assets.st-note.com/img/1737977688-LnApvcRj53YbDy0Su4UTsizl.jpg?width=1200)
◯
上田城の近くにある教育会館にて、本日の主目的である「赤松小三郎講座」を受講する。
幕末に活躍した、郷土の偉人だ。
上田民以外の知名度は、今のところないに等しい。
けれど、だからこそ、いつかわたしの手で赤松小三郎を書いてみたいと考えて、何年も前から研究している。
まあ、その前に、歴史小説でのデビューも必要なんだけどね……。
会場へ顔を見せると、会長さんの奥さんが、
「来てくれたんですね、お久しぶり!」
こちらが照れてしまうくらい、喜んでくれた。
今回は赤松小三郎と西洋科学の関わりについての講義内容で、とても充実した。
いざ、帰途につくも、
「せめて別所温泉で、日帰り湯にでも……いや、無理せず帰った方が……」
悩みながら、車のエンジンをかけたのだった。