黒毛経産和牛60日熟成肉+阿蘇の放牧あか牛と十勝折笠農場さやあかねで作ったコロッケ
お伝えしたいことが2つあります。長いですがまずはお読みください。そして、ご購入いただければ幸いです。
4月27日に京都のGOOD NATURE STATION(高島屋さんの隣)にて、料理マスターズ倶楽部のイベント(なかひがしさんとリストランテミヤモトさんのコラボ)が開催される予定でした。このイベントのために、東海大学のあか牛一頭を屠畜したことは以前にお伝えしていますが、営業自粛中のシェフがテイクアウトで使ってくれたり、ミンチやステーキとしてみなさんにご購入いただいたり、一瞬BSEの悪夢を思い出してゾッとしましたが、みなさまのおかげさまで、ほとんどの部位がなくなりました。改めて感謝申し上げます。
ところで、この仕事をしていく上で、僕のポリシーというか、意地というか、自分のなかで守っていることがあります。
BSEのときもそうでしたが、
①買うと約束した牛は理由がどうであれ何があってもキャンセルしない。
②売りたいがための安売りはしない。
この2つです。
コロナ前に出荷のお願いをしていた牛はすべて予定通りに出荷して納入されています。取引先が休業中で肉の行き先がなくなっても安売りはしませんでした。かなり前に読んだ本に、「嵐の日でも大雪の日でも客が来ないのは社長の責任」みたいなことが書かかれてたのですが、このフレーズが頭から離れなくて、台風の日にお客さんが一人も来なかった日も、震災の影響でお客さんが激減したときもすべては僕の責任。災害であれ天災であれ、コロナであれ、すべて僕の責任だと思うようにしているのです。何かのせいにすることは簡単ですが、それを暇の理由にしたくないですしね。
あとね、僕は安く売ることにすごく抵抗があります。生産者にも牛にも悪いような気がするんです。なにもカッコつけてるわけじゃないですよ。売れなくて在庫になれば困るのは僕ですからね。でも、プライドかも知れませんが、安売りするような自信のない牛なら最初から仕入れないですし、安売りしてまで買ってもらうということに気が引けてしまうのです。
さて、あか牛の話に戻ります。おかげさまでほとんどの部位がなくなった(売れた)のですが、ステーキや焼肉にカットして残った端肉やバラ肉などは結構な量を残してしまったのです。あか牛だけ売ってれば残らないのですが、他にも売らなければいけない肉がたくさんあるなかで、あれやこれやと考えたのですが、セジールの溝口シェフに、十勝の折笠さんのじゃがいも(さやあかね)でコロッケを作ってもらうことにしたのです。ちょうどセジールは時間短縮の営業やキャンセルも相次いでいたので、良いのか悪いのかコロッケ作りに集中できるというわけです。
※無肥料・自然栽培で作る折笠さんにさやあかねについて
セジールでは、開店当初から折笠さんのさやあかねを使っていますが、このじゃがいもがどれほどすごいのか。8年前にやまけんさんが書いた記事ですがぜひ読んでいただきたいです。
結構長くなってきたので、ざっくり割愛しますが、要は、あか牛と折笠農場さんの無肥料・自然栽培の「さやあかね」で最強コロッケを作ったという話です。
お伝えしたいことその2
前回、ラフィナージュ高良シェフのZOOM講習付き熟成肉を販売させていただき、予想以上の好評をいただきました。あれから、さらに熟成が進み、普通ならアウトになるところを、優秀な菌のおかげで、おそろしくうまく仕上げることができたのです。試食段階で厚みを変えて何枚か焼いてみたのですが、やっぱり分厚いのを焼かないと、この肉のうまさを感じていただけないということがわかりました。なので前回同様300gでカットしています。焼く自信がなかっても根性で焼いてください!ぜったいうまいですから!
いままでいろんな店で熟成肉を食べて、「熟成肉はもういいかな」「熟成肉っていったいどれが正解なの」と思っている方、ぜひ、食べてください。知り合いに肉を焼くのが上手なシェフがいたら、無理言って焼いてもらってください。本当にうまいですから!
コロナはたくさんのことを考える時間を与えてくれました。お篭り中、いろんなところからお取り寄せしていると思いますが、おそらくですが、知らない店から取り寄せるということはないですよね。信頼できる人から、店から、信用できる人の紹介。僕の友人たちはスーパーで売ってるミステリアスなミンチは買わないです(よね)、たまにスーパーで国産豚を買って、やっぱり愛農ポークのほうがおいしいと再認識することもあると思います。別の機会に書きますが、国産牛とか国産豚とか、背景がまったく見えないものはこの仕事長くやってると怖いです。もちろん同業の方でもそうじゃない方はたくさんいらっしゃると思います。僕がジビーフや愛農ポークなど、生産から販売まで一気通貫した食肉ばかり扱っているからなおさら強烈に感じるんだと思います。
今後、背景が見えない黒毛和牛や国産牛のメニュー表記は疑ってください。飲食店の方は、配達してくる業者にどこの産地ですか?、生産者はだれですか?月齢は?雄ですか雌ですか?加工会社はどこですか?、、いっぱい質問してください。おそらく答えられないです。でも、そのやりとりの蓄積が必ず料理に反映します。ほかの世界のことはわかりませんが、肉の世界は今後こうあるべき、こうなるべきだと思っています。
さて、お待たせしました。本題です。すいません長くて。今回販売の熟成肉は黒毛経産和牛のリブロースとサーロインです。熟成期間は僕としては最長の60日、自分でいうのもなんですが完璧に仕上げました。60日も熟成させると強い香りがつくと思われがちですが、「熟成肉=香」じゃないという仕上げ方をしています。とにかく食べてください。
そして、あか牛と折笠農場さんの無肥料・自然栽培のさやあかねで作ったコロッケ(4個入り)ですが、1000円で販売の予定をしていたのですが、熟成肉をお買い上げいただいたみなさんにプレゼントすることにしました。300セット限定販売なので売り切れたらお終いです。
なぜプレゼントにしたのか。東海大学で長年あか牛の飼育、研究に携わってこられた服部先生が4月で退官されました。服部先生のあか牛に対する功績は大きく僕もたくさん勉強させていただきました。今回お肉になってくれた「なでしこ」が服部先生最後の出荷だったのです。そんなこともあり、肉片の一欠けらも残さず商品にしたかったのです。なので、服部先生お疲れさまでした、ということもあり、なでしこ最後の商品となったコロッケは、個数も多くないので、販売するより、みなさんに食べていただければと買っていただくより、プレゼントにさせていただくほうがいいかなと思いまして。それでいいですよね、服部先生。
正真正銘、これで、あか牛のなでしこ、最後になります。
ご購入皆様、ありがとうございました。服部先生、おつかれさまでした。
熟成肉は売るほどありますがコロッケがたくさんないので、300セット売り切って終了とさせていただきます。冷凍でお届けしますので、解凍方法は下記をご参考にお願いします。
※熟成肉の解凍方法
1枚づつ真空パックにして冷凍していますので、解凍するときは、24時間前にパックから出して、別容器に入れてふわっとラップしてください。そして、チルド室ではなく、前日に冷蔵庫へ移してください。