竹内謙礼の「栄町はどうしたら住みよい町になるのか」コラム

大学卒業後、出版社勤務を経て、成田ゆめ牧場に転職。ネット通販事業を立ち上げて楽天市場に…

竹内謙礼の「栄町はどうしたら住みよい町になるのか」コラム

大学卒業後、出版社勤務を経て、成田ゆめ牧場に転職。ネット通販事業を立ち上げて楽天市場にて2年連続ショップオブザイヤーを受賞。2007年に経営コンサルタントとして独立。ビジネス書は60冊以上、日経MJで「竹内謙礼の顧客をキャッチ」を10年間にわたり長期連載中。栄町竜角寺台在中。

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「ドラムの里」大改造計画

栄町の令和4年度の決算状況をみると「歳出の部」で2番目に多いのが「総務費」の17.8%というのが分かります。14億8,000万円の支出は、総歳入約86億円しかない栄町にとって、かなりの比率を占めています。 総務費というのは、 全般的な事務や総合計画策定、財産管理などの事務にかかる経費のことです。栄町の総務費は、定住・移住促進事業、循環バス運行事業などの費用に充てられており、町の活性化や利便性を図るための予算といえば、イメージが付きやすいのではないかと思います。 その総務費

    • 役場の公務員を住民がめちゃくちゃ大好きになる方法

      自治体の職員の仕事というのは、住民に理解されにくい業務がほとんどです。裏方の仕事が多いため、頑張っている姿が一般の人には分かりにくいところがあります。 褒めてくれたり、感謝されたりする仕事はほんの一握りしかなく、多くの業務が「やって当たり前」と思われてしまうために、なかなか住民から評価されにくい立場の仕事だったりします。 今まで多くの自治体の職員の仕事を取材してきましたが、いつも思うことは「こんなに大変な仕事を毎日しているんだ」という思いでした。企業を誘致するために挨拶回

      • 少ない予算で栄町の英語教育を変える!

        2023年に私が執筆した「翔んだ!さいたま市の大逆転 “選ばれる都市”には理由がある」(PHP出版)で、最も印象に残っているのはさいたま市の英語教育への取り組みでした。 小学1年生から中学3年生まで、全国平均よりも多い英語の授業をこなし、中学3年生で英検3級相当の英語力に達している生徒は77%、全国平均の44%を大きく上回る英語力が身に付けられることで、教育水準の高い政令都市として全国から注目を集めました。 英語教育が充実すると、さいたま市の近隣の市町村の子育て世代が「子

        • 栄町にコワーキングスペースを作ろう!

          世代を超えた住民同士で「交流を深める」というのは、思いのほか難しいテーマだったりします。 お祭りや清掃活動に積極的に参加してくれるのは、時間を持て余している高齢者が多く、子育てや仕事に追われている30~50代の住人は、町のイベントや自治体の活動に参加することが難しい状況だったりします。 町で交流する人は非常に偏った年齢層に限られてしまうところがあり、世代を超えてコミュニケーションをとることができず、結果的に自治体の活動に対して、若い世代が“他人事”になってしまうのです。

          月額「26万5000円」で死ぬ気で働いてくれる議員はどれだけいるのか?

           全国各地の自治体で、議員の高齢化が問題になっています。御多分に漏れず、栄町でも町議の高齢化は深刻な問題になっており、令和6年4月に行われた町議選で、当選者の平均年齢は65歳、千葉県の自治体の議員の平均年齢の62.4歳を上回っており、議員の高齢化がいかに進んでいるかを伺い知ることができます。  なぜ、栄町の議員は高齢化してしまうのでしょうか? ひとつに議員報酬の低さが問題として挙げられます。  栄町町議の月の報酬は265,000円。この少ない月収だけで、働き盛りの30代、

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          子どもが病気になった時に、親が「休ませてください」と言える町を作る

          2024年の都知事選に立候補したタレントの清水国明氏が、公約のひとつとして「病児保育の強化」を挙げていました。親が仕事と育児の両立ができないことが少子化の最大の要因と考えているらしく、体調が悪くなった子どもを預ける施設を充実させることができれば、親は安心して仕事に臨めるという発想のもと、この公約を掲げたようです。 このマニフェストを聞いた時、「本当にそれって親が幸せなのか?」ということを考えてしまいました。 体調が悪くなった子どもを施設に預けてまで働きに出ることは、親とし

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          若い人が「故郷に帰りたい」と言ってくれる町にしたいんです。

          地方自治体の「人口が減る」という現象は、出生数の減少だけでなく、その町で生まれ育った人が「故郷に戻ってこない」というのが、思いのほか影響が大きかったりします。 特にその地域に大学がなかったり、働く場所がなかったりすると、若い労働人口が急速に減少していきます。 当然、その地で生まれ育った人が少なくなれば、その自治体に対して愛着を持つ人も減ることになります。そうなると、伝統的なお祭りの維持や地域の防災、自治会の活動も、その地域に残った高齢者たちが請け負うことになるので、地域の

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          人口1万人の小さな町が、起業家でにぎわう理由

          先日、埼玉県比企郡ときがわ町で、起業家の育成事業に取り組む関根さんにお話をお伺いにしてきました。 ときがわ町は町内の約7割が森林となっている、人口1万人の小さな町です。当然、人口減が悩みの種になっているのですが、この町に移住してきた企業研修のコンサルタントの関根さんが、2018年から「比企起業大学」という起業家育成の事業を立ち上げて、今まで60人以上の起業家を世に輩出し、約2割の人がときがわ町に移住して、町の活性化の一助となっています。 関根さん自身は私と同じ経営コンサル

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          栄町「ふるさと納税」で一発逆転を狙ってもいいですか?

          町の財政を改善させることは容易ではありません。一般企業と同じで、売上を伸ばしてコストを削減する必要があるので、どうしても改善させるには長い時間を要してしまいます。 無駄なコスト削減は、すぐにできると思っている人も多いですが、行政の場合、数字だけは判断しにくいサービスも多いので、削減の手を付けることが非常に難しい案件だったりします。中小企業のワンマン社長のように、鶴の一声で経費が削減できるような、そんな簡単なものではありません。 一方、税収のアップは、住民を増やし、企業を誘

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          栄町が目指すべき「女性が住みやすく、働きやすい町」とは?

          2024年5月の週刊エコノミストの記事によると、2023年に全国の自治体で、転入者が転出者を上回った「転入超過」の都市は、東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、福岡の6都道府県しかなかったそうです。そして、この6つの自治体には「男性よりも女性を多く集めている」 という共通点があります。 一方、社会減となった41都道府県のうち、35道県が男性よりも女性の数が減少しているそうです。つまり、地方自治体の人口を増やすためには、「女性の定着」が非常に重要であり、女性にとって住みやすい町を作

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          栄町「人口増やすぞ!」大作戦

          2024年4月に発表された「人口戦略会議」の報告書で、千葉県内22市町が2020年から50年の間に若年女性が半分以下に減ることが指摘されました。その中に、人口2万人弱の我が町、栄町が見事にランクインしました。 栄町の住民からすれば「やっぱりな」という感じです。明らかに町の中には空き家が増えていますし、ここ数年で、急速に高齢者の姿が目立つようになりました。 一方で、若い家族や子ども姿は、年々、見かける機会が少なくなっています。お隣の成田市や印西市に比べれば、明らかに活気がな