劇場版「荒野に希望の灯をともす」

2022年9月27日

劇場版「荒野に希望の灯をともす」
医師 #中村哲 現地活動35年の軌跡
撮影・監督：谷津賢二

この写真の場面もそうですが、
本当に色んな作業を一緒にやっている中村先生の姿。

見ていて、ああ危ない！そんな場所に立って！
ああ重機からそんなふうに飛び降りて！
と過保護ママみたいな気持ちになる程、
小柄な先生のフットワークの良さにハラハラする。

他の人に言わせると、
ショベルカーをグイグイ動かす時なんて、危なっかしく傾いちゃって、
もし先生が見てる方なら「危ない！」と怒りそうな様子だ、と(笑)
これは #水を招く に載っていたエピソードです。

そして、後ろにいるアフガン人の男性達の顔を見てください、
白い歯を見せて笑いながら働いてる。
みんな嬉しくて仕方ない様子で働いてる、
書きながらあの様子を思い出すだけで涙が出ます。

NHKでも放映した映像もあるのは予め理解していましたが、
当然大きく上回る作品で、
先生がこうなるに至った経緯が、
きっかけから順に丁寧な時系列で、
観ているものを置いて行くことなく、
素晴らしくまとめられていて、
皆さん沢山先生の本を読まれている観客であってもきっと、
十分に見応えのある映画。敬服します。
イヤイヤ、なに上から言ってんだって感じですけどw
そう思いまして。

あと有難かったのが、
用水路計画の全貌を分かりやすく図にしてくれた場面があり、
私、文字と写真では理解しきれなくてモヤモヤしていたので、コレコレ！
と喜びました。
だって、クナール川から用水路を…とか文字で読んでも、
アフガニスタンの土地のことも分からないし、
河川の整備とか水路を作ることとかなんて、
知らなかった分野すぎて！

で、それがイメージできると、
水路が完成した時の喜びも、
天候や戦争に阻まれる悔しさも、
少しだけこちらも共有出来る気がして嬉しいのです。

9.11アメリカ同時テロ後の混乱の時の先生の忙殺された様子、
そして時を同じくして先生の息子さんに起きていた事、

その話になりそう…と思った刹那
少し後ろでシクシクしていたご婦人の涙腺が決壊しました。

もう、本当に息が苦しそうで、
私も、それにももらい泣き状態で、
私の横にいた女性と同時にハンカチを目にやったりして、
なんかもうたまらなかったです。

この頃の場面のナレーションでウッとするのは
テロへの報復戦争を始めたアメリカに対し、
小泉政権だった日本はすぐに支持を表明した、ということ。

先生が、日本の国会に呼ばれた時の様子は悔しかったです。
国会議員には先生の語ることの意味が理解できない者も多かったようだし、
「今のアフガニスタンにとって、
日本からの自衛隊の派遣は有害無益」
と断じた言葉も虚しく響き、結局自衛隊は派遣された。
(有害無益、について発言撤回まで迫られたという)
(映像では分からなかったが、ヤジも飛んでだと聞く)
#澤地久枝 さんとの対談の本に、このスピーチの文脈が文章で載っていました。
伝わらないのだろうなぁ…風もない部屋の中でウトウトしている議員“センセイ”達には…

パンフレットに #安田菜津紀 さんもコメントを寄せていました。
“この映画を観て、ともに考えよう。
「中村さんよくやったね」「大変だったね」の、その先を。”

「その先を」
本当に。
こんな人がいたなんて凄い！
人生観変わった！良い映画だった！
の、
その先こそが大事なのではと、
私も自分にこの言葉を向けたいです。

私が中村哲さんの存在を知ったのは、
凶弾に倒れたというニュースが入った、確かその日だったと思います。
ラジオで生放送の安田菜津紀さんが大変に動揺し、悲しんでいらっしゃって。
それがきっかけでした。

それから暫くして発売された #希望の一滴 を買って、
お恥ずかしい事にいつも通り積ん読…
しかし去年のアフガニスタンのニュースが入り、
慌てて読んだ次第です。

先生は、人間の命は一瞬だと仰る。

主役は自然で、
私たちはおこぼれを頂いて細々と生きているに過ぎないと。

確かに人間の人生は一瞬だ。
先日亡くなった友人を思い出しながら映画を観た。
でも私は彼女がくれた笑顔や言葉、存在を忘れない。
その私もいつか死ぬのだけど。

それは先生の命も一緒だと思った。

大統領でも物乞いでも、先生は態度を変えないと、
30年来苦楽を共にしたという看護師の藤田さんがパンフレットに書いていらっしゃった。

命の重さは一緒。

沢山の人が中村哲先生をもっともっと知って欲しい。
日本人なら誰も知らない人はいない、
そんな存在になってしかるべき人ですよね、ね。

同じ日に、この後にみた #映画標的 の #植村隆 さんも、
中村先生と同じ様に、「山に登りたい一心だったんですよね」みたいな話をされていて、
なんだかイイ感じw だった🤭
やっぱ、そこに山があるから、なんですかね🏔
あ、先生は「虫」目当てですよね笑

映像では、虫や風、景色、大自然を、
先生が気持ちよく堪能されていそうな様子を感じて、
やっぱり映画で観られるのは素敵でした😊

#荒野に希望の灯をともす
#中村哲先生  #谷津賢二監督
#映画  #映画記録

安倍晋三氏国葬の日に。