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小窓から出られなくなったお父さんを助けるために、姉妹がこっそりと行動を起こす。

父は仕事のストレスから、一日に3箱もタバコを吸っていました。
ちーちゃんは60歳の時に喘息を患ったため、父にタバコをやめるようにしつこく言うようになりました。タバコを吸わない母も、毎日灰皿のゴミを捨てるたびに「やめないの?」や「やめる気がないでしょ?」と問い詰め、家族の板挟みで父のストレスは増すばかりでした。

私たちの部屋には小さな窓があり、ちーちゃんや母の部屋とは反対側だったため、父はその小窓から顔を出してタバコを吸うことが習慣になりました。私たちも父の苦しみを理解していたので、黙って見守っていました。

ある冬の日、いつものように小窓からタバコを吸っていた父は、
たまたまトレーナーパーカーを着ていました。冬の寒さで窓枠が凍ってしまい、小窓から頭が抜けなくなってしまったのです。

パニックになった父は誰にも助けを求められず、数時間もそのまま頭だけ出していました。そのことを知らずにお使いに出ていた私と妹は、
近所のおばさんから「お父さんが窓から顔を出しているけど、家を覗いているの?」と言われ、急いで帰ると、父は顔が凍りかけて意識がもうろうとしていました。

ちーちゃん、でもお母さんには言えないんだ。どうしたらいいのか悩んでいたとき、思い切って小窓を外から壊すことに決めました。

父の指示に従って必要な道具を揃え、姉妹で協力して小窓を無事に壊すことができました。父を解放した後は、ばれないようにその小窓を建具屋に持って行き、同じものを購入しました。
そして、何事もなかったかのように3人で安心しました。

それ以来、父は見事に禁煙に成功しました。

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