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本屋じゃないけど本屋のはなし

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本屋はやめちゃったけど本屋が好きな人の本についての雑談。
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#書店

本屋にいったい何ができる

そこに一軒の本屋があったとして。例えばそこで働いていたとして。 私に一体何が出来るのだろう。 どんな手段を使ってでも明日が来るのを阻止したい人がいたとして。希望という言葉を忘れてしまった人がいたとして。言葉にできない感情を「口にしてごらん」と言われて途方にくれた人がいたとして。行き場を探してたまたま辿り着いた人がいたとして。 本屋に一体何が出来るのだろう。 例えば、歴史を築いた人の本を置く。困難を乗り越えながら生きた人の本を置く。現実では絶対に起きないような壮大な物語

言葉はいつだって不完全で曖昧だ

8月1日発売のBRUTUSの特集は「ことば、の答え。」だ。 BRUTUSの本や映画の特集はなるべくチェックするようにしているが、今回はついに言葉だ。 詩、リリック、台詞、回文、対談、小説の書き出し。少しずつだけどたくさんの方向から「ことば」をみる。 個人的には、表紙のスマホ画面が割れているところと、祖父江慎の「ことばとは?」に対する答えが好きだ。詩って、なんとなく日常とは離れたところにいるような気がするけれど、それが「画面の割れたスマホ」っていう実生活のなかにある、って

本屋じゃないけど本屋の話がしたいのだ

紙の本がヤバいという。本屋がヤバいという。 確かに、娯楽は多様化しているし、スマホになんでも入っちゃうからいちいち単行本や雑誌どころか文庫でさえ鞄に入れてなんかいられないし、そもそも鞄すら持ち歩かなくったってどうにかなるし。そりゃあ本は読まないよ。 わかっている。そんなことはもうだいぶ前からわかっているんだけど、それでも私は本と本屋の話がしたいのだ。 田舎で貧乏で親が不仲で友達少ない、という環境で育った私は、漫画雑誌にお小遣いをほぼ全投入し、あとは図書館で本を借りて読む