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風の囁きが聞こえる

「お疲れさんやったな」
『いや~ドッと疲れ出たわ』
「気ぃ張っとったんやね」
『そうかもしんない』

お仕事塾の講師、忙しなるで」
『そうなの。休まないと』
「読んでもらえて良かったな」
『いやホント、感謝だよ』

♡♡♡

こんにちは。フジミドリです。

お陰様で書き切れました。感無量です。本当にありがとうございました。

3月20日から連載して参りました私物語わたしものがたりは昨日第14回でシーズン1の完結です。

最後は1頭の馬について種観霊シュミレイ──

種観霊とは霊魂たましいの観点を通した人生の再確認です。小説と随筆エッセイ融合創作ハイブリッドとして私物語と名づけました。

♡♡♡

「よう書いたな」
『書けないかと思った』
「シーズン初めに書く言うとった」
『ずっと書けなくて先延ばし』

「確かに読むと凄絶やわ」
『目に焼き付いて耳で響く』
「けど、乗り越えなあかんのや」
『どうにか手放せた。26年!』

♡♡♡

日本では、競馬も馬術も馬の大半が屠殺場とさつばで最期を迎えます。疝痛センツウで苦しんだものの、病死まで飼われたタムオは少数派です。

私とミドリには、息子代わりとも言える存在でした。結婚2年から三十代後半まで12年ほどの付き合いだったのです。

ミドリは、人間より動物が好きなくらいでした。馬術に憧れ、会社勤めをしながら土日だけ乗馬クラブに通い、私と出逢ったのです。

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「ミドリさんが愛したタム君、子供を望まんフジさん夫婦には大切な家族やった」

『そうなの。ペット溺愛いのちな人じゃないと、わかってもらえないよね。しかも馬だからさ。馬術は日本でマイナーだもん』

「わたしも雌の柴犬を2頭見送っとる。家族より支えてくれたわ。下の子が高校出るのを待って離婚したけど大切な存在やった」

『そうだったね。オレは動物愛好家ペットフリークじゃなかったの。だんだん情が湧いて来たというか』

♡♡♡

父は、大学の馬術部で乗り始め、代表監督オリンピックまで務めました。高校で水泳部員だった私が、大学生になって家で本ばかり読んでいると嘆いて、乗馬クラブへ連れ出したのです。

よく間違われます。競馬ではございません。日本では、馬術がマイナースポーツだから仕方ないのです。調教法も真逆となります。

私は、祖父が研究者地政学・ユダヤだったこともあって学問研究を志しました。とはいえ、人生なかなか思うように参りません。

まぁ還暦過ぎの今となっては、何もかもが必然であったと感じます。成るように成るものだな、しみじみ呟くのです。

♡♡♡

「フジさん、医学部に入ろう思うたんやろ。研究者なったら、どないやったかな」

『精神医学に惹かれて浪人したけど、入試前日、親父とーさんの会社が倒産して。落ちたら、親父が気にするだろうなって考えたの』

「そらプレッシャーやわ」

『実力が足りなかったね。大学は諦めて民間治療やろうかとも考えたよ。でも、お袋オフクロが内職で通わせてくれたわけ』

「心理学者なろう思うた?」

『思ったけど色々ございましてね。でもさ、研究者だったら、意識とは何かどう使えばいいのかって探究してたよ』

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大学を出て、初めは経営コンサル会社の営業でした。高度経済成長を陰で支えた錚々そうそうたる先生方から、企業の在り方が学べたのです。

大学の卒論は自己実現A・マズローに関する研究でした。進学塾の講師へ転身した後も、一貫して夢を叶える方法が探究テーマだったのです。

そして道術どうじゅつと出逢います。

♡♡♡

「そう聞くと、意識の探求でブレん人生や思うで。わたしなんか何一つとして達成できてへんよ。見込みもあれへんしな」

『あはは~ホントだな。オレもそんな気になるよ。でもこれって、脳が記憶改竄して辻褄合わせしただけなのね。自己満足さ』

「なるほどな。死んだら消えてなくなる。ゼロや。ほな、せめて楽しく生きんと損やで。まぁフジさん、死んでも変わらんやろな」

『あはは~そうなの。タムオの話を書き始めてからますますゼロというか。今ここが死後の世界だぜ。そういう心境なのよ』

♡♡♡

どなたも、おありでしょう──

記憶の底に封印して、できれば触れずに済ませておきたい出来事が。けれども、いつかは光を当てなければなりません。

心震わす思いを抱えたまま、次なる世界へは旅立つことができないのです。

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幽界ゆうかいへ行ったら、突きつけられるゆうか、露わになるんやもんな。隠せへん」

『だけど、幽界なんて想像がつかないから、つい先延ばしになるのさ」

「生きてる間、目の前にあるお楽しみに夢中でいたいもんやで。人間の情いうか」

『死後の世界は人間的な感情が通用しないからね。死んでから気づいても遅いのさ』

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この世には、辛くて苦しい凶事がある一方、心躍る愉快な慶事も多くございます。

目の前にある何かへ没頭し、死後の世界など考えたくもない。それもわかります。

正直なところ、私も何故このようなお話を書くのか、疑問に感じる時はあるのです。

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『書く内容と方向性が浮かぶと、人間のオレは無理できっこないって思うわけよ』

「ははぁ。もう一人の自分というか、霊魂たましいの自分が書け書け、急かすわけや」

『そうなの。中真ちゅうしんを意識してゼロになれば、守護しゅご神霊しんれいと繋がっちゃうのさ』

「けどフジさん、楽しみなことまで、辞めろいうわけやあれへんやろ」

『楽しむことも決まってるからね』

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人生に、こうでなければならないという正解はございません。決まってる通り坦々と済ませつつ、理解を深めれば宜しいのです。

息子代わりだったタムオの最期も、心奥深く秘めたまま済ませることはできました。

公開しなくても──

とはいえ、書き終えれば、これでいいのだと心地よくなれました。どなたかにお読み頂く前提在り方で、書き記す必要があったのです。

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『切なくも温かい物語。家族の在り方は自由ですね──そういったご感想を頂けた。書いてよかったと嬉しくなる。感謝だよ』

「作者冥利に尽きるわ」

『それでふと読み返してみたら、感極まってもう涙が溢れちゃって』

「スマホに吹き込んだ声を聞いて、これ誰やねん言う感じんなる、あれと同じかな」

『そう。そんな感じよ。でね、感動しながらも、ああこれもオレが創ってきたのか、しみじみと感じ入っちゃうわけ』

「なるほどな。読ませてもろたわたしからすれば、フジさんに書かせたいう理解や。何もかも自分で創っとるんやね」

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私はこのように書き、縁ある方々に読んで頂き、そうして癒されました。前世ぜんせの約束が果たされ、ごうを済ませ得たのです。

とはいえ、どなたにも当て嵌まる道筋ではございません。頭で考え心に感じてうまくいくのか。私たちにはわからないのです。

やはり、守護の神霊にお任せするのが間違いございません。誕生から死まで全てを見通していらっしゃるのですから。

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『土曜にパソコンが壊れてさ。まぁ古いし、ヒヤヒヤしながら使ってはいたけど』

「えらいパニクっとったな。まーた、よりによって、最後の更新前日やからな」

『スビバセン。でも、丸投げのチャンスや、あの一言でゼロになれた。ありがとね』

「試されとるなぁ、思うことあるよ。何が起こってもお任せでけるかどうや」

『すぐ、忘れちゃう。独りじゃない。守護霊てか霊団れいだん主護しゅごの神霊もいらっしゃる』

「なんやソレ、字が違うんか」
『うーん。どう説明したらいいんだ』
「あっはっは。書くネタ増えたな」
『まぁ、こんな感じかね☟』

私たちは護られています!

♡♡♡

目前に起こる事件、やらかした失敗──今の私は後悔することがございません。

まだまだ人間的な私ですから、あれこれ思い浮かぶものですが、長い時間に渡って囚われることはないのです。

決まってるんだな──

そう囁いた瞬間、スッと消えます。そして、人生で感じ取った理解を、次の世界に活かせばよいと頷いているのです。

どうしよう、困ったと思う時は、すぐ守護の神霊を頼ります。全面的にもたれかかり、何もかもお任せするのです。

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『自立ってそういう姿勢在り方だと思うのよ。守護の神霊に任せるからできるわけ』

「そらまた、新しい人生観在り方やな。なるほど。自分の中に味方がるから外に頼らん」

『最強軍団が控えているのさ。あるいは自分自身が独立企業みたいなもんだよ』

「三密は鬱陶しいけど、守護霊はんとは密に仲良くなりたいわ。ええチャンスか知れへんな」

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今ここで生きていらっしゃる。生命いのちがある。これより大切なことなどございません。ただ存在あるだけで素晴らしいのです。

生命がある。しかも、永遠とわの生命なのです。肉体や心は替え、時と場所と相手もたがえ、幾度となくやり直せるではありませんか。

なんと素晴らしい仕組み!

生命が何であるか、誰にも説明できません。科学も哲学も宗教もできないのです。説明はできないけれど確かにある──

♡♡♡

『何もかも一つだよ。一体感を取ればいい。何万年をさかのぼれる前世。果てもなく続いていく来世。全てが自分自身なのさ』

「それ聞くと自分が大きいなる。わたしあなたは空一杯に広がるわけやね。空から肉体からだの自分を見下ろす感じがしてくるわ」

『風が吹くでしょ。ある時オレは風の囁きが聞こえたの。ミドリの声で。大丈夫よ。何も心配いらないわってね』

「風の囁きか」
『そう。風が囁くのさ』
「耳を澄まさんと」
『うん。心の耳をね』

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シーズン1完結です。
ありがとうございました☆

シーズン2は、9月18日午後3時スタート予定でございます。西遊記は翌日午後6時、是非またお逢い致しましょう!


ではまた💚



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