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【入社1年後エントリ】あらためてメガベンチャー出身者があえてスタートアップに入る意味の言語化


なぜこのnoteを書こうと思ったか

その前に簡単な自己紹介

メディカルフォースという、マルチバーティカルにSaaSプロダクト、および周辺領域の事業を立ち上げることで世界を代表する企業を目指すスタートアップでHRのマネージャーをやっています。
メディカルフォースに入社したのは2023年10月で、ちょうど1年が経過しました。前職はWorks Human Intelligenceという、連結2,000人弱くらいの、メガベンチャーというくくりが正しそうな会社で、採用マネージャーをやっていました。

なぜこのnoteを書こうと思ったか

前回入社エントリを記載した時は、「入社しました!これから頑張ります!」という内容でした。「入社してみてどうだった?」という話しにはこれまで触れてきていなかったので、1年経った今丁度良いかな、と思った次第です。

このnoteは誰に向けて書いているか

HR向け、というより、大手企業orメガベンチャーでそこそこうまくいっている(かつこれからもそれなりにうまくいきそう)という人向けに書きます。
あえて今の環境を捨ててスタートアップに入る意味(人によっては入らない方が良い理由)って何?という話です。

入社前に思い描いていた生活はできているのか

思い描いていたもの、もしくはそれ以上だったこと

  1. いろんな意味での裁量
    これは大手もそうですが、メガベンチャー在籍者にとって一番想像しづらい部分な気がします。なぜなら、特にメガベンチャーの方々の場合、比較的仕事が変わりやすく、また、マネジメントをする機会にも恵まれやすいので「裁量がある」状態で仕事をすることが多いからです。この構造があるがゆえに「なんで今でも裁量があるのにわざわざスタートアップへ?」という感想になりやすいかなと思います。わたしも転職活動を始める前はそうでした。
    では、スタートアップにおける裁量がどう異なっていたか、というのを、いくつかの観点からお話したいと思います。それぞれを具体例交えて説明するとものすごく長くなるので箇条書きチックにいきます。

    1. 上司が経営者であること(もしくは、経営者との距離が非常に近いこと)
      上司=経営者というパターンは少し特殊性が高いですが(当たり前ですがスタートアップだからといって上司が経営者であるとは限らない)のですが、とは言え、大企業ないしメガベンチャーにいると、経営者が直レポートラインというのはなかなか得られない経験だと思います。
      経営者をレポートラインとすると、会話する際の時間軸やテーマ、求められるアウトプットは、HR内の上司部下で会話するのとは全く異なります。ここで得られた視座視点は前職まででは得られなかったなと思います。(※前提、前のnoteでも書いたのですが、どんな会社でもめっちゃ高い視座で仕事している人はいて、その点はわたしがしょぼいだけです)
      実際、わたしの前職だと、わたしと代表までの間には2名が挟まっていたので、代表を直レポートラインにするには二階層上に上がる必要がありました。そこにたどり着くための時間を一気に省略することができたのはとても良かったと思います。

    2. 前例がないこと
      個人的にはこれはとても大きくて、メガベンチャーであったとしても、多くの場合、創業から20年くらい経過していることが多いです。すると、なんやかんやで伝統的につくられてきた業務や慣習、カルチャーが存在していて、これを変えるにはめちゃめちゃ労力がかかります(※過去に誰かが課題解決のために頑張った結果なので、それそのものを否定したいわけではないです。あくまで、自身で何かをつくりあげたい!と思った時には障壁になりがち、というだけです)
      ただスタートアップにおいてはそうした前例がなく、あるのは課題だけなので、そうした前例に気を配ることもなく、課題解決に取り組むことができます。
      わたしは個人的に自分の手で課題を解決したい欲求が強めなのでこれはとてもやりがいに繋がりました。

  2. 会社に対する圧倒的な手触り感、愛着
    メガベンチャーや大企業の場合、規模の大きさ、業務の複雑性、あとはなんといっても人の多さから、自身の業務と会社の成長がリンクする、というのはなかなかないんじゃないかなと思います。
    一方現職では、全社員の顔と名前が一致していて、どこが達成したとか、誰がどんな成果を残したかとか、結構な解像度で把握することができます。日に日に会社が成長することを目の前(物理的にオフィス内で近いので)で感じることができるのはスタートアップならではだなと思います。
    また、そもそもその成長に対する自らの貢献度の大きさも、大きな規模の組織にいる時とは異なるので、そうした意味でも手触り感を持つことができました。

  3. 自身の経歴書に何が書けるか
    よくキャリアにおいて「会社の看板ではなく、何ができるのか」というのが問われると思います。
    この、会社の看板か否か、って、キャリアにおける市場価値でよく語られる再現性の話だなと思います。(※キャリアにおける市場価値この辺の話はいろんな方がいろんなことを仰っているので詳細は省きますが、わたしなりの定義は、市場性×希少性×再現性×関わった人たちからの信頼の4つの要素で構成されていると思います)
    スタートアップでの経験は、このうちの再現性に特に強く作用するなと思います。と、言うのも、大きな組織と明確に異なっていることとして、以下の2つが挙げられると思います。①前例がないのでゼロイチを担うことができる②社内調整の時間が圧倒的に短く、企画、改善に多くのリソースを割くことができる。(※これ系の話は何度もお伝えしていますが、大きな組織での仕事の実力はまた異なったもので、そちらでのキャリアにもメリットがあるという大前提があります)
    ゆえに、企画を隅から隅まで把握していること、そして、トライアンドエラーを多く実践していることの2つによって再現性(他社でもちかしい成果をあげることができる)に繋がると考えています。

実際やってみて結構たいへんだなあと思ったこと

  1. ストレスのかかり方
    上記で、会社の成長と自分の仕事のリンク度合いが高い、みたいな話をしましたが、裏返すと、プレッシャーになります。
    とは言えこれは大企業であろうが、どれだけの責任感で仕事をしているか、どれだけの規模の仕事を扱うかなので、正直どこで働いていてもそんなに変わらないんじゃないだろうかと思います。

  2. (ある意味における)ワークライフバランス
    どれだけの時間働いているか?という意味では、新卒の時とか、前職に転職した直後とか、新会社で新卒採用を立ち上げている時も結構頑張っていたと思います。
    また、現状ですと、そもそもフレックスとリモートが使えることもあり、用事があれば事前にカレンダー抑えておけばなんとでもなります。
    ではどの辺が大変かというと、自分の替わりになる人がいないので、「ここでは絶対に休めない」とか「子どもを育てるとなった場合の難しさ」みたいなのが出てきます(※後者は人の話を聞いているだけなので解像度低いです)
    ただこれも大企業であったとしてもそういう仕事に就いている方はごまんといるので、結局キャリアを進めて責任のある立場になればなるほど避けられない道な気がします。

  3. まあすごい色々起きる
    スタートアップは色々起きます。色々起きたこと全ての最前線で問題解決しないといけないのでとてもヒリヒリします。もうほんとに色々あります。

あらためて、入社前に見極めておいて良かったこと

自分がこの会社でパフォーマンスを出すことができるのか

めっちゃ当たり前の話をしますが、スタートアップは「成果を出しに行く場所」です。もうちょい解像度を上げると「自分にとって再現性のある領域をまるっと任されて成果を出す、その先に、やったことはないけれど、会社として課題で、かつやる人がいない領域がまるっと任される」場所です。
つまり、自身にとって再現性のある領域と、会社で成果をあげてほしい領域、成果を上げるまでの行動、スピード感が噛み合わないといつまで経っても裁量を得られません。(このスモールサクセスの達成をサポートするためにオンボーディングプログラムが存在します)

会社の急成長の蓋然性

スタートアップでなぜ裁量が得られるかというと、会社自体が急成長するからです。(スタートアップに入るなら勝ち馬に乗る、ではなく、自分こそ会社の成長ドライバーになる、という覚悟が必要ですが、とは言え成長のポテンシャルの高低は存在します)
スタートアップの成長は1.1倍とかではなく、2倍3倍の世界です。かつ、会社としてどんどん新しいことにチャレンジします。その成長した分や、新しいことにチャレンジした分の余白が生まれるので、その余白を担当する人が必要です。また、組織も同じく急拡大する一方、組織運営のための仕組みはないので、仕組みをつくる人も必要です。
一方、急成長ではなく、安定成長の場合、上記の余白がさほど生まれないので、余白を誰が担当するかについては順番待ちが発生してしまいます。

まとめ

書いていて、1.2.はセットだなと思いました。成長の蓋然性のあるスタートアップであり、かつ自身が成長に寄与できる可能性が高いという二つの要素が組み合わさることで、会社と自身のシナジーが発揮される。結果、会社は成長するし、個人としては裁量を得られる、という仕組みです。

つまりスタートアップに入る意味とは何なのか

諸々まとめて、いわゆるメガベンチャーのような裁量を持てる環境でそれなりにうまくいっている人にとってスタートアップに入る意義は以下の二つかなと思います。

一足飛びに経営に近づくことができる

これは人によってはメガベンチャーでも得られる方はいるかと思いますが、少なくともわたしの場合は、前職→経営と自身の間に二階層挟まっていた。現職→経営会議の出席者、と、一気に会社の中での相対的な立ち位置を上げることできました。また、これに伴って考える時の視座視点も大きく変わったと思います。

会社全体に影響する仕組みを自身で作ることができる

メガベンチャーの場合、ひとつひとつの業務、組織単位で仕組みが整っていない、ということは当たり前です。というか、どんな規模の組織の方でも「いやうちも整ってなくて」と口を揃えて言うので、会社が停滞しない限りは永遠に仕組みは整わないと思った方が良さそうです。
では、メガベンチャーとスタートアップの違いは何かというと、影響範囲とスピード感の二点です。

  1. 影響範囲のはなし
    スタートアップの場合、必要とされる仕組みは、全社に影響するもの、もしくは自身の所属する組織全体(たとえばセールスならセールス1チームではなく、セールス組織全体です)です。

  2. スピード感のはなし
    スタートアップにおける仕組みづくりは圧倒的にスピード感があります。理由としては①過去につくられた仕組みや慣習が存在しないため、乗り越えないといけない壁が少なく、コトに向かいやすい②縦も横も組織階層が少ないため、コミュニケーションコストが低い

このように、一足飛びで経営に近づき、経営に近いレイヤーで仕事をしながら、全社や組織全体の課題を解決するような仕組みをハイスピードでつくっていくことができる。結果的に大きな裁量で、手触り感も持ち、ついでに自身の実績をつくっていくことができる、ということこそ、スタートアップに行く意味と言えます。

メガベンチャー出身者が陥りやすいこと

最後に、とは言え、誰でもスタートアップに行けばハッピーになれるかと言うとそういうわけではないので、その点だけ触れておこうと思います。これは、2023年に転職活動をしていたわたしがほんのり思ってしまっていたことでもありますし、多くのメガベンチャーの方とカジュアル面談等でお話する中で「マジか、、」となる部分でもあります。

勝ち馬に乗ろうとする

成長の蓋然性の話はしましたが、それはあくまで可能性が少しでも高い、くらいの話です。あくまでスタートアップに入るなら「自分こそがこの会社を勝たせるんだ」という気概でいる必要があります。
「そこまでの覚悟はなく、程々の努力で勝ち馬に乗ってSOもらおう」くらいだと本気になれないですし、強い信頼も得られません。本気になれず強い信頼も得られないと、スタートアップは「ただ整っていないだけの大変な会社」になります。
そして都合の良い(悪い?)ことに、スタートアップは至らぬところばかりなので、会社のせいにしようとするといくらでも会社の悪いところを論理的に説明できます。めっちゃこわいですね。

失うものゼロでいこうとする

転職というのはキャリアにおけるチューニングです。基本、何かを得たら、何かを失うものです(現職でとても高い成果を出しながら報われていない方もいらっしゃるので、その場合はまた話は別です)。
スタートアップで得られるものは先程話した通りですが、必ず失うものあります。特に現職でメガベンチャーにいる方の場合、スタートアップにおける成果の再現性は面接時点だとわからないので、スタートアップとしてもオファーを出す際にその点を差っ引いて考えないといけません(めっちゃ人によります)。
給与も下げたくない、ワークライフバランスも今まで通り、リモートもフレックスも、その他福利厚生も考慮してほしい、となってしまうと、せっかく得られるはずのものが逆に得られなくなってしまうのでもったいないなと思います。

最初から役職がつくと思ってしまう

これは会社ごとのポリシーにもよるので、最初から役職を付与するスタートアップもあるにはあると思いますが、基本的に「役職がほしい(もしくはその保証がほしい)」という希望は叶わないことの方が多いと思います。(かつ、役職つきで入社するとオンボーディング難度がゴリッと上がるので個人的におすすめできません)
誰しもご存知だと思うのですが、よくある例え話の、「大企業の部長が転職活動で『わたしは部長ができます』と言ってしまう」というのがあると思いますが、アレと一緒なのです。アレは「大企業で部長できるって言っても他の会社で同じことができるかって別の話でしょ」というものなのですが、なぜかメガベンチャー→スタートアップの場合、同じ役職、なんなら役職が上がると思う方が一定数います。不思議。
もちろん、採用競争力上、役職を付与したりすることはあります。また、わたしのようなレベルではなく、もっと飛び抜けた方の場合は話は別です。が、多くの場合は、役職はあとからついてくるものと考えて、自身が成果を出せるかどうかを気にした方が良いと思います。

さいごに

とっても大変ですが、わたしとしてはいろんな意味でメディカルフォースに入社して良かったなと思います。前職にいた場合の1年とこの1年では成長の幅が全く違ったものになったのは間違いないです。
メディカルフォースでは変わらず積極採用していますので、メガベンチャーで「自分はうまくいっている」という方ほどカジュアル面談させてください。それでは。



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