水民マガジン スイムの見方 3 推進局面とサイクル・エンジン
クロール 背泳ぎ バタフライのストロークは 4つの局面で説明できる
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プル
プッシュ
リカバリー
クロール・背泳ぎでの推進局面は プル プッシュである
左のプルとプッシュ 左のプルとプッシュ 4つの推進局面があるので 4サイクル・エンジンと言える
しかしながら 見た限り 一般のスイマーで 4サイクルで泳いでいる人は少なく ほとんどが2サイクルになってしまっている
プル プッシュの使い分けは 技術的にかなり高度なのかも知れない
だが 4サイクルだと 推進局面の隙間がなくなる つまり 間断なく推進力を得られている状態になるのだ
バタフライの主要な推進局面は
第1キック
プル
プッシュの3つである
第1キックは 腰からうねるキックと重心の移動で かなり有効な推進力である
最近 思うんだが プルの加速推進力は そんなに大きくないのではないか?
それでも プルが重要なのは ひとつには
第1キックの推進局面のあとに起こるであろう減速を 最小限にする そして プッシュの加速を最大限に引き出す伸長反射 を生み出す装置として機能するからではないか
多くの人が プルを過大評価して 加速装置の主体として扱うために プッシュの加速が相殺されてしまうのである
そうした泳法であるなら バタフライは 2サイクル・エンジンになるのだが プルを第1キック・プッシュの補完装置として 独立して機能させるならば バタフライは3サイクルエンジンになる
平泳ぎは 2サイクル・エンジンである
腕のかきで身体を引き寄せ キックで送り出す
ストロークをプル、プッシュで捉えるのは無理である
強力なキックの推進力を持っている
瞬間的な推進力は 大きい順に
平泳ぎ
バタフライ
クロール・背泳ぎ
だが エンジン効率の差によって 総合的な速度では 逆転が生じる
速い順に
クロール
バタフライ
背泳ぎ
平泳ぎ
である
背泳ぎが クロール・バタフライに劣るのは 『意識の焦点』という問題ではないかと思う
人は 後面より前面に意識を向けやすく それが動作にも影響を及ぼすのである
4種目のスピード差を 抵抗の大小で語られる事は多いが 推進局面の効率という要素が 大きいのではないだろうか