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「THE FIRST SLAM DUNK」
最近よく、逆転劇を見るのだが、今日はその金字塔である「スラムダンク」を109シネマズで見てきた。
「THE FIRST SLAM DUNK」は原作をしっかりと読んできたファンを対象として作られている。そうでなければ、本作を見る限りでは、なぜ赤い坊主頭はチームメイトの目の鋭い男と仲が悪い感じなのかは謎であり、往年の愛すべきキャラクターたちは表層的にコートの上で試合をする登場人物にすぎないからだ。
そのように、ビギナーがスラムダンクの魅力とも言える部分を理解できるよう補完されずに描かれていたのは、原作の終盤である山王戦をそのままパッケージし、コアなファンに向けて制作したからというわけではない。
映画の軸を宮城リョータの知られざる複雑な家庭環境に置いた結果である。
この軸は、ビギナーにとって、物語に感情移入するための唯一のガイドとして機能していたが、既に出来上がっていた山王戦においての宮城リョータの活躍は、それ用には描かれておらず、それとバランスを調整するかのように山王戦は全体的に端折られてしまっていた。
作画も良く、声優もハマっていただけに「宮城リョータ家の再生」と「山王戦」の相性の悪さが残念だった。
それでも「やはりスラムダンクは面白い」と青年期に読んだ、あの単行本の記憶で何度でも美化できてしまうのである。