書評:メモの魔力 - 優しく研ぎ澄まされた包丁のような切れ味 #メモ魔
経営者が出す書籍は、創業までにどんな苦労があったか、どんな仲間に出会って、何が転機になったか、そういった内容であることが多い。
あの会社も最初はこんな感じだった、ということを知ることができるのはそれはそれで正しいのだけど、それが自分の普段の生活に活きるか?というとなかなか難しい。
前著「人生の勝算」は、どちらかと言えばそっちよりの内容だったと思う。
今思えば、それも結局は「抽象化と転用」が自分の中で不十分なだけだったのだ。どんなものであれ、そこには自分の生活や行動に転用できる種が埋まっている。
それを掘り出すツールがメモである。言語化することで見えるものがある。
その具体的な方法論を紹介しているのがこの「メモの魔力」だ。
アイディアは偶然浮かび上がってくるものではなくて、自分の中にインプットされた種を掘り起こすことで浮かび上がらせるもの。
そしてそれはやろうと思えば誰でもできるもの。
あとはやるかやらないか、それだけ。
しかし「メモ」と「抽象化」という単語が一体何回出てきたことか。
はっきり言ってここまで来ると狂気を感じる。
なのでなんとなく読むと、その狂気に圧倒されてしまうかもしれない。
文章自体は、誰も置いていかないようにすごく丁寧に綴られているし、真似してうまくいかないことも許容している。全然問題ないと書かれている。
それでもその優しい文章ゆえに、その先端の鋭さに恐怖を感じる人もいるだろうな、と思う。
例えるなら職人が丹念に作り上げて、ギリギリまで研ぎ澄ませた包丁みたいなもの。切れ味抜群で使い方も明確。だからこそ取扱注意、みたいな。
でも今の自分を変えたかったり、何か成し遂げたいことがあったり、そういう人たちにとっては、装備しておいて損はない強力なツールの紹介になっている。
きっとすぐメモが取りたくなってくると思う。
自分も早速メモ帳を用意して、メモ魔を読んで感じたことをメモしてみた。
いくつか気づきをここにも書いてみる。
縦書きの文章は読みやすい
Webの世界で生きていると、大体の文章は横書きだ。
エンジニア的には、技術書も大体横書きでできている。
なので意図しないと縦書きの文章に接する機会は激減してしまう。
実際縦書きの文章を「久々」と感じるくらいには離れていたんだな、というのにまずは驚いた。
小説とか昔からよく読む方だったので、今もそのつもりでいたが、実はそうではない。
これは興味が他のものに移った結果そうなっているのか、もしくは余裕がなくなっているのか。はたまた電子書籍がメインになった影響か。
物理的に制約なくストックできてしまうので、いつでも読めるし後で読もう、になってしまっているのかもしれない。
そしてなぜ縦書きが読みやすいのか?
1つの仮説として、日本語の文字は上から下に見たほうが認識しやすいのでは?ということ。
目が2つあるので、上から下だと文字の左側と右側を同時に認識しやすい。
文字を認識する動きのまま、文章を追いかけられるから、ストレスを感じにくいのでは?
なにかコンテンツを作るとき、横書きであることは避けられないにしても、要素を横並びに置くことは避けた方がいいのでは?という気がしてくる。
2列〜3列のグリッドよりも1列で構成するデザインを考えた方がいいかもしれないな、と思った。
前田式メモ術はRollbahnとの相性が悪い
個人的に好きなメモ帳をあげたら、間違いなくRollbahnだ。
理由をあげると大した理由ではないけれど、就職したばかりの時使っていたメモ帳がRollbahnだったのだ。
最初はたまたま誰かに貰ったとかだと思う。
使い切った時にメモ帳を買いに行って、その時に同じやつを見つけてまた買って、その繰り返しでRollbahnだと安心するようになった。
実は結構「いつものあれ」に安心感を覚えるタイプで、見知らぬ街に行ってマックを見つけるとすごく安心したりする。
(学生時代マクドナルドでアルバイトしていたので)
おかげさまでなかなか新しいお店を開拓できないのが悩みのタネではある。
Rollbahnの話に戻すと、なにがネックってこれリング式のメモ帳なのだ。
片面で使う時はリング式はとても使いやすいが、見開きで使おうとするとなかなか厄介。左から右に線が引けない。途中で切れてる。
一応それっぽく線を引けば見えないこともないし、例えば線を引くのではなくナンバリングで対応させるとか、アレンジ次第でなんとかなるだろうとも思う。
しかしここは盲点だったなーという気づきがあった。
終わりに
他にもRollbahnのメモ帳に書いたものはいくつもあるが、長くなってしまったのでこの辺で。
既に年明けまで入手困難との情報が流れているが、正月休みでこれを読んで、新たなスタートをメモ帳とボールペンを手に始めるのもなかなかいいんじゃないかと思う。
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