2014-2015 いつもの冬
昼
霜柱白夜の如き朝なりき
バスを待つ並んで立つのは霜柱
裸の街路樹が上から見ている
初仕事朱肉の色も新しく
冬風をビルから見下ろす昼休み
布団より見上げる窓の空高し
短絡を語る裁判冬青空
冬晴れに衣ほすてふ団地の窓窓
作業したいだがパソコンが動かぬぞああ残念だああ残念だ
年末はとうに過ぎけり一月二十日
パンツ脱ぐトイレの天井低きかな
二月には二月の朝がありまして
スーパーでバレンタインを押し売られ
職場にてサボテンの花白く枯る
冬枯れにサボテン光る白くみどりく
雪の降る風のない暖かい都心
その瞬間
ヘテロ・ガールミーツヘテロ・ボーイなんてアホらしいのかしら
強姦者リアリティなど捨ててしまえよ
折たさを堪えてふれる寒椿
小説家誠意を持って嘘を吐く
嘘つきの胸にさしこむペーパーナイフ
世の中に目が眩むほどの美文あり
嘘ばかり書き溜めているうれしいな
青い雪ニットかむって見るばかり
夜
みかん食う汝の口が吐く欲望
死んでいく爪を見つめる中指也
爪を切る煎じて飲んだら自分になるか
楽しみはコーヒーに塩を入れること
冬零時すっくと立つ
駅ホーム人は並んで冬を越す
つらつらと紅く流れて寒椿
寒月に千鳥足の人超えていく
読みかけを読まずこたつで丸くなる
炬燵にて自分を煮詰めておるのです
大寒に大根を喰うおちょぼ口
寒夜には梅の記憶がほの灯かる