2015 いつもの春
昼
春近しデスクトップにチューリップ
三匹のつがいを見たり快し
桃色と言うより紅き桃の花
好きだけを全部集めて花束にしたい
雛人形夢の後草つむじ風
花束を持たぬわたしの弥生なり
春うらら爽やかに人を嫉みたい
飲み納むおしるこ缶に花一片
人少なし葉桜は今が見頃なり
桃色の帽子被りてヨチヨチと園児の頬も桃のようです
スカーフに空の香りと花の色
どこまでも明るき花のスカーフが似合う人にぞなりたしけれども
手を挙げて渡る園児の勇ましき
薔薇の芽か牡丹の芽なるか新入生
その時
啜り飲む雪解け水は仄甘い
三月の黙祷の日を待っている
たんぽぽを寄縋に家を出て行きます
花粉症積もり積りて会えず終まい
菜の花の如くに刻む睫毛かな
夏近し秘かに薔薇の香を抱く
薔薇の芽が香に変わるとき私は
ツツジ花蜜の少なしビルの谷間で
夜
春霞ねこの呼び合う声ばかり
キィキィと自転車の鳴る朧月
朧夜にジンジャーエール飲み干して