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40中14名が感染しクラスターになった介護施設を経営している私が伝えること④

2022年3月、私が運営する介護事業所『よろこぼう屋』のサービス付き高齢者住宅施設で、新型コロナウイルスによるクラスターが発生しました。

その記録を、全6回に分けて書き綴っています。

今回は第4回。クラスターが起こっていたよろこぼう屋の業務内容についてお伝えします。

見えないウイルスとの戦い

一人の職員の新型コロナウイルスの感染発覚から、僅か3日間でクラスターとなったよろこぼう屋。その後も、なかなか終息が見えません。

ウイルスは見えないから、拡大原因が分かりません。原因が分からないから、より一層の感染対策をするしかない状況が目の前に立ちはだかります。

どんなに感染対策を強化したところで、また新たな感染者が出てしまう状況に『一体、どうすれば』という気持ちでした。医療用ガウンなどといった消耗品は瞬く間になくなっていったのを覚えています。

非日常的なその暮らしの中で、利用者の方々には自室での自粛を強いることとなったり入浴を諦めてもらったりすることとなり、申し訳ない気持ちでいっぱいでした。また、職員も増え続ける業務と募る不安に日増しに疲弊していったのが手に取るようにわかりました。

人に傷つけられて、人に救われる

ただ、日常を逸脱した中では人の内面に触れることが出来ます。

『人に傷つけられて、人に救われる』
そんな、人間らしさを改めて実感しました。

付き合いのある場への連絡

地域への公表は行政に止められていましたが、同業者や関係機関には連絡を入れる必要があります。

そのときに、
『自分達も大変だったから、分かります。頑張りましょう』
『大変ですね、頑張ってください』
と、声を掛けてくれる方も多かったです。

その頃は、職員も相当気持ちが弱っていたため温かな一言に涙する姿も見受けられました。一方で、心許ない言葉に傷つくこともありました。

新型コロナウイルスのクラスターによって、人々のスタンスが見えた瞬間だったようにも思います。

職員のご家族の中のこと

職員のお子さんの中には、学校でクラスメイトに『親の会社がコロナクラスターなのに学校に来てもいいのか』と詰め寄られたこともあったそうです。噂で知ったのでしょう。

職員も、親としてその事実にショックを受けたようでした。ただ、お子さんには『大丈夫、心配しなくていいよ』と、自信を持って対応したそう。自身も弱っているのに、気丈に振る舞う姿に強さを感じました。

街の噂について

街の噂は自分達には入ってこなかったです。

正直なところ、4週間の間よろこぼう屋に缶詰め状態だったために、外の声が聴ける状況ではなかったです。

行政の対応

地域への公表は止められていましたが、不安が募ってしまうご近所の方々にはお伝えしたほうがいいように思いました。それを、行政に相談しましたが、様々なことを配慮いただき、地域へ不安を抱かせること、会社への誹謗中傷を避ける意味でも控えるようにと勧められました。

また、行政の方からも『よろこぼう屋のことを待ってくれている人のためにも、早くクラスターを沈下させてください、頑張ってください』と励ましの言葉をもらい嬉しかったのを覚えています。

保健所に救われた

相変わらず、クラスターが起こっているよろこぼう屋が大変なことには変わりないありません。

ただ、新型コロナウイルスの陽性者が発覚してから3日目に、保健所が指導に入ってくれたことで私達の混乱は大きく減りました。

根拠に基づく判断

よろこぼう屋で働く介護職員は、衛生管理のプロではありません。前例のないウイルスへの感染対策に『本当に、これでいいのか』といった不安が常に付きまといます。

一方で、保健所の決断には、知見と経験に基づく根拠があります。根拠ある指示が自分達に安心を与えました。

区分けしてくれた

よろこぼう屋の中をレッドゾーンやグリーンゾーンと区分けしてくれることで業務・行動にルールが設けられ業務に円滑さがもたらされました。また、感染予防にルールを設けてくれたことで課題が明確となります。

それによって、トイレと休憩所が足りなくなるという状況にも追い込まれましたが、簡易トイレとコンテナをレンタルして対応するするに至りました。

費用は掛かりましたが、業務をスムーズに行い一早く落ち着きを取り戻すという意味では非常にありがたかったです。

全員が濃厚接触者と断定された幸運

また、職員不足についても保健所の根拠ある指示が有益でした。濃厚接触者として職員が離脱し、人手不足が進む中の混乱を治めてくれました。

クラスターが起きたサービス付き高齢者向け住宅の職員は、既に全員が濃厚接触者。PCRの結果が陽性でなければ、出勤可能と判断されました。正直なところ、人手不足が進む中で私はその判断に救われました。

それて、出勤に対して誰一人として反対しなかった職員一同には心から感謝しています。

ちなみに、自分達で事前に取り決めていたコロナクラスター時の対策は、デイサービスを休業しその職員が応援に回ることとしていました。

ただ、保健所はそれを反対。その背景には、デイサービスの職員が高齢者住宅内に入れば、より感染が広がると予測・懸念されてのことです。

誰もが、頑張って乗り切った

新型コロナウイルスによるクラスターは、関係者全員が力を合わせて乗り切りました。

まず、懸命に職場に尽くすかのように働いてくれた職員全員に、今でも心から感謝しています。

職員の中にはお孫さんと暮らす方や小さいお子さんの育児する方もいます。ご家族に感染させないようにと、ホテル泊をし仕事に出てくれた方もいます。また、特別な事情がなくとも、クラスターの中、働くことは心的にも体的にも想像を絶するものだったはずです。自らの予定よりも入居者の方々の生活支援を優先してくれたことに申し訳なさでいっぱいでした。

そして、入居者の陽性患者となる方の入院送迎を担ってくれたのは専務です。新型コロナウイルスの陽性者が出た際、入院するにあたり自助努力にて送迎をしなければなりませんでした。保健所や救急車が出動しない中で、陽性者となった入居者の方々の送迎をしてくれた専務に心から感謝しています。

利用者の方々も苦しい環境の中で、よく耐えてくださいました。
ご家族の方にも、多大なるご心配をおかけしたことと思います。

そして、同業者・関係機関・行政・近隣の方を始めとした街の方々の多くにも支えて頂きました。支えて下さった、全ての方に感謝しています。

新型コロナウイルスによるクラスターは本当に壮絶なものでしたが、得たものもあったのかなと思わずにはいられません。そのように、感じています。

最後になりますが、次の記事ではこの間の私自身のことを記録しておきたいと思います。






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