「チベット僧院封鎖、ダライ・ラマへの勲章授与受け」10月25日のCNN報道(2007年10月28)
(画像はブッシュ大統領から米国議会名誉黄金勲章を授与されるダライ・ラマ法王。同法王公式ウェブサイトから拝借しました)
CNNの報道によると、アメリカ議会がダライ・ラマに最高勲章を授与したことに対する抗議の意味なのでしょうか、ラサの僧院が中国軍部隊によって包囲され、封鎖されているそうです。住民たちには祝賀行事をしないよう禁止命令が出ていると記事は伝えています。〈http://www.cnn.co.jp/world/CNN200710250016.html〉
よく知られるように、1949年の中華人民共和国成立後、中国共産党は、チベットは中国の一部と主張して「チベット解放」を宣言し、翌年10月、武力侵入しました。近代的軍備を持たないチベットは人民解放軍の敵ではありませんでした。
人民解放軍の大軍が進駐し、寺院や自然の破壊と略奪が始まり、男たちは道路建設にかり出され、女たちは乱暴されました。インフレが起こり、飢餓が生じました(チベット亡命政府情報・国際関係省『チベット入門』など)。
チベットの人たちに聞くと、中国軍の侵入後、東南チベットのカム州の大部分がとなりの四川省に組み込まれるなど、国土は分断され、奪われました。それどころか、1950〜83年の間に全チベット人600万人のうち43万人が戦闘で、34万人が飢餓のために、計120万人の命が失われました。
日本ならどんな田舎にでも神社やお寺があるように、チベットの村ごとにある、その数6000といわれたお寺は侵入者の砲撃などでほとんどが破壊され、仏像は弾丸になり、石に彫った教典や仏画は道路の敷石となりました。いま活動している寺院はわずかに45以下といいます。
チベット人は他者のために生きることがもっとも尊いと考えています。それゆえにこそ僧侶の社会的地位は高いのですが、僧侶の数は中国の侵略後、15万人から1400人に激減しました。還俗を強制され、従わなければ強制収容所送りとなったといいます。また、18歳にならなければ出家が認められないような現状では、僧侶として十分な勉学や修行を積むことは不可能です。布教も禁じられています。
ダライ・ラマの誕生日は7月6日で、この日、世界中のチベット人によるお祝いの催しが行われますが、唯一の例外はほかならぬチベットです。今度の最高勲章受章もチベット人を挙げてお祝いしたいところでしょうが、それができないのは何と悲しいことでしょうか。