詩 ・ ツチノコは竜じゃない


ツチノコは竜じゃない
魂はひとじゃない
ことばは夢じゃない
兄嫁は家具じゃない

夢というシーツの
しわをのばすアイロンのようにゆっくり
ツチノコが横切っていく

いっさんに逃げていく
ノストラダムスの引越し屋

なにかが夢に出てくるとき
出されるほうの立場にもなれ
(怒りあれ)

100世紀ののち
ツチノコは竜になると
てきとうに打ったフォントが予言するとき
めざとい天使が
バターナイフで
マーガリンを救うだろう

ことばの根拠を
洗うような仕事に
飽きた熾天使のむれ

「すべての天使はおそろしい」
ほんとだ
全員
まゆげない

れっきとしたおえらがたを乗せて
ノストラダムス急便が
運ぶハリボテ

ツチノコは何の幼虫なのか
皆が気づく前に
ユーラシアがもっとおおきな存在の
断面図だって気づく前に
ぼくらが生きてうごくなにかの
さなぎだって
電光ニュースに流れる前に

ツチノコの背中が
われて
羽根
(白い朝)(落涙)
(怒りあれ)


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