詩 ・ 船だ、逃げろ
そういっておわる
小説があったね
ゆすり蚊とゆずり葉の
キメラ生物だった
あの日
あなたもわたしもね
展開が多いものがたりのように
白くてあたりまえな雪がふる
人工感情を移植してね
パイプだらけで生きようって
西も東も計算できない
ゆっくりとおるだけの通り魔
悪い予感が在野にあるね
そことおるからあけてって
いったのに 夫婦で待ってるのに
もう幾年たっただろう
ひとつの期待に
人生のすべてが収納されちゃった頃
あ
船だ、逃げろって
あれは
ほんとに
そういっておわる
小説だったのかね