詩 ・ 子ども三十六計


ささやきながら
ロッカーのすきまに入っていく
子どもよ
名無しのインターバルよ

ほんとは泣き虫なのに
強いコトバをほしがって
アニメの再放送で
この世に引き戻されて

また上書きして
見た目では差のつかない
白い棺桶に
ちょこまかとうごく目玉シールを
貼りつけていくね

部活ロッカーと
掃除ロッカーは
えらべる自由じゃないんだよ?

もやしを
燃やし尽くしたからって
土筆になる
わけじゃないんだよ?

地獄でも富嶽でもない
カリョウビンガが
逃げるにしかないという
三十六計を
ひとつひとつ想像で
書いてみたら

もれなく

春の日差しに灼かれて
正解がめざめるだろう



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