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【#124_研究メモ】理論は、事象を深く見るレンズの役割を果たすが、依拠するレンズによって、捉える観点や解釈も異なるのか?~淺羽・山野井(2022)第1章 「ファミリー企業の理論」からの学び vol.02
淺羽・山野井(2022)第1章 「ファミリー企業の理論」では、自己の利益を最大化しようとするエージェント理論と、他者の利益ともより調和的に振る舞おうとする「スチュワードシップ理論」が紹介されています。
英語の辞書的には、
・steward:執事
・stewardship:責務
という意味合いでしょうか。
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創業一族の経営者を、エージェンシー理論のレンズでみるのか、スチュワードシップ理論のレンズで見るのかによって、立ち振る舞いを捉える観点や解釈が大きく異なってきますよね。
現実的には、一人の人間の中にも、両方の資質を持ち合わせており、個人の性格や会社が置かれている状況、周囲との関係性において、どちらが強く出るかも変わってくる気もします。ただ、これらの理論においては、「経済人」 or 「自己実現人」という”人間観”の前提をどちらにおくのか? というスタンスを選択する必要があり、両方!みたいな話は、学術的な議論をする上では、取りにくいのかなという気もします(苦笑)
少なくとも、ファミリービジネスにおける事業承継の文脈においては、エージェンシー理論も語れますが、スチュワードシップ理論が、最も用いられている主要理論の一つとして取り上げられていました(Ahamad et al., 2024)
理論は、事象を深く見るレンズの役割を果たしますが、依拠するレンズによって、現実の解釈も異なってくるとしたら、自分がどの理論を用いて、学術的な研究を進めるかは、本当に大きな問題ですね!