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【#122_研究メモ】ファミリー企業が持つ相反する特徴とは何か?~淺羽・山野井(2022)『ファミリー企業の戦略原理』「序章 ファミリー企業を研究する意味」からの学び
早稲田大学 商学学術院 の淺羽先生・山野井先生(2022)が執筆された『ファミリー企業の戦略原理』では、「環境変化にうまく適応してきたファミリー企業に特徴的な戦略・行動とはどのようなものか、ファミリー企業の戦略原理はなにか」について論じられています。
ファミリー企業/ ノンファミリー企業のパフォーマンス(結果指標)の比較ではなく、そのインプットとなる戦略や行動について着目し、分析を深められています。
序章では、本書を執筆された目的や分析の観点と、ファミリー企業の存在感の大きさや、特徴の概要について概要が述べられていました。
所有と経営が一致している、ファミリー企業は、日本のみならず、世界においても、上場企業においても、大きな存在感を占めています。
日本の場合だと・・・
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定義は改めて要確認なのですが、上場企業でも約47~58%がファミリー企業と、結構な比率を占めており、数字で見ると改めて驚きです・・・本書には他国の例も載っていたのですが、Fortune 500やS&Pにランクされている企業も、約30~40%が、ファミリー企業と言われています(Villalonga & Amit, 2006; Anderson et al., 2003)
また、ファミリー企業が持つ特徴は、業績に対してはポジ・ネガ両方に働き、このことが、ファミリー企業/ ノンファミリー企業のパフォーマンスを分析したときに、一貫した結果が出ないことに繋がるのではと指摘されています。同じファミリー企業であっても、これらの要素が強く出る/ 弱く出るかによって、パフォーマンスが変わってくるようです。
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上記は、ファミリー企業として、意識する/ しないに関わらず、行動原理としてすでに埋め込まれているものなのかなとも思います。強みになる特徴・問題を生み出してしまう特徴について、意識的になり、行動を強化・抑制していけると、より成長へと向かいやすくなりますね。
本書では、ファミリー企業が持つ、中長期な時間軸からの投資戦略や、所有・経営の密な連帯関係から、ノンファミリー企業も示唆が得られるのではないか? と問題提起されています。
特に、上場企業に顕著ですが、四半期単位での決算開示等々、数字の見える化が進み、短期的な業績の良し悪しに、経営の意思決定が引っ張られているところもあるのではないでしょうか。
”創業家/ ファミリー企業の存続”というまた異なる行動原理を重視しているファミリー企業から、持続的な成長を考える上で、得られる示唆は多そうです(「ファミリー企業が、ノンファミリー企業から学びを得る」という逆のベクトルもあるかと思いますが)。