「水曜日のコロッケそば」番外夜/そば処 瓢箪・市ヶ谷
本来ならば、コロッケそばのレポートは10回で終いにしようと思っていた。アドリブ的ではあったけど、それなりの構成を考え、店のバランスもとったつもりでいた。そんな中で、編集者、ライターの宮昌太朗さんから紹介された店が気になって、「予定の店数からはひとつこぼれそうだけど」という前提で足を運んだ。不運なことにコロッケも品切れだった。「水曜日のコロッケそば」のフォーマットには何一つ当てはまらない。本来なら、そういった理由で「没ネタ」になるはずだったけれども、それを覆して「番外編」として書くことにした。そのくらい、インパクトがあったのだ。おそるべし、瓢箪!
⚫︎そば処 瓢箪・市ヶ谷
知人から紹介されて気になったので、近所で打ち合わせがあったのをきっかけに足を運んだ。市ヶ谷駅から日テレ通りを坂道を登るように四谷方面へと歩いた途中。ビルのすきまにひっそりとその店はあった。青いテントに「瓢箪」の文字。実際、手前のコンビニへの配送トラックが道端に停まっていたため、近くまで行かなければ、そこに店があるかどうかすら確認できなかった。そんな小さな店構えだ。店に入ると、壁一面にメニューが張り出されている。月見、たぬき、きつねはもちろん、わかめ、めかぶ、山菜、とろろに、メンチなんてものまである!そばの種類も多いが、丼物も豊富なようだ。つきあたりに小さな券売機があるので、おめあてのコロッケを見てみたら、残念なことに本日売り切れの文字が・・・。「どのみち、書くかどうかもわからなかったんだ。せっかくなので気になった「肉そば」に挑戦してみようと思ったら、あいにくそちらも消灯している。カウンター内のおばちゃんに聞くと「すみません、売り切れなんです」と言われた。ほんとう、ついてない。
こうなると選択肢はひとつ。立食いそばの本質を見極めるのに重要な「かき揚げ」そばを注文することにした。どんなかき揚げが乗っているか?で、店を見極めるのは、立食いファンとしてたぶん正しい。いずれにせよ、初めての紹介�店なのだ。何かを得て帰らなくてはいけないと思っていたのだ。すると、おばちゃんが「ちょっとだけお肉あるから、入れてあげますよ」と一言。これは嬉しい展開。「ありがとうございます!」と元気いっぱいに礼を言い、楽しみに待つことになった。かくして、でてきた丼といえば・・・我が目を疑う、かき揚げそばだった!
まず、かき揚げがでかい。厚みはないが、薄くて丸くて丼一杯サイズ。さらに、ひとつまみのわかめと、サービスで載せていただいたお肉が入っている。さらに、薄いけどかまぼこが一切れ!刻み葱も山盛りで、迫力がある。ビジュアル的には、完全に「そば」を超えた何かだ。腹も減っていたので、嬉しくなってさっそく箸をつけると、でかいかき揚げがすでに崩壊している。つゆに溶けて、最初からドロドロだ。あえて、そういう、スタイルのかき揚げなんですね。豪華たぬき、といった風情。おかげで、脂がつゆ全面を覆っている。「ちょっとい、すごいな」と思いながら崩壊したかき揚げをからめながらそばを一口。うまい!!めんは立ち食いならではのプレーンなタイプ。富士そばに近く、妙な個性がないので食べやすい。つゆもバランス良いが、さらに、崩壊したかき揚げには干しエビと玉ねぎが見える。それが、ないまぜになって、食べ応えありだ。
サービスの肉は、牛丼の具的な甘辛い味付けの豚バラ肉。おそらく、丼メニューの牛丼にも利用されるのだろう。そばを食い、肉をつまみ、つゆを飲む。たぶんオリジナルは醤油こいくちの辛めなんだろうけど、ギラリと浮いた脂が嫌味ではない甘さになって、うまい。ほとんど、立食いそばとは思えないジャンクな味わいが、素晴らしいです。いや、これは「ラーメン二郎的」な意味で蕎麦のジャンルではない!何か、こう「んまーい麺類」だ!
ご近所に行った際には是非とも立ち寄って欲しいお店。立ち食いそばを凌駕するかき揚げそば。だからこそ番外編としてどうしても紹介したかったのだ。
住所/ 東京都 千代田区 五番町 4-2
アクセス/JR市ケ谷駅から四谷方面への坂道をあがって徒歩3分
TEL/非公開
営業時間/9:30~18:00
定休日/土日曜祝日
かき揚げそば410円
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