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自作TCGのゲームデザイン備忘録20選

こんにちは、サイとです。
自作TCG作りの気付きをメモしました。

前回の記事では失敗から学んだことを挙げています。

今回は制作の過程を備忘録的にまとめました。

1|時間をかけずにゲームをつくる

まず、ゲームづくりはトライ・アンド・エラーです。
たっぷり時間を費やすより、失敗と修正を繰り返す方が上達します。

時間をかけるリスクは、失敗に気づくチャンスが減るところです。

ルール構築は後回しにして、テストプレイを優先しました。
遊んでみてダメだったらボツにするのを繰り返します。

2|つくりたいジャンルのゲームを遊ぶ

参考作品が少ないほど劣化コピー化しやすいです。
どのゲームも「○○と似てる」と言われますが、根幹をなすシステムを市場にあるゲームと被らないようにすれば大丈夫だと思います。

つまり市場調査です。
TCGと言われているものを最低10作品は遊びました

下記は2020年にサービス中の商業TCGです。

マジック・ザ・ギャザリング、遊戯王、デュエルマスターズ、ハースストーン、シャドウバース、ヴァンガード、ポケモンカードゲーム、ヴァイスシュヴァルツ、ゼクス、ウィクロス、リセ、バトルスピリッツ、バディファイト、ゼノンザード、リバース、ファイアーエムブレムサイファ、NOVA、プレシャスメモリーズ、グウェント、フォース・オブ・ウィル、魔法少女ザデュエル、レギオンズ!、TEPPEN、レジェンドオブルーンテラ

だいたいこれで20作品あるので、この半分を遊べばいいです。
そうすると似たようなルールや共通する動きが出てきますよね。

他にも遊んでるプレイヤーや絵の雰囲気などの違いも感じられました。
そうやって見たこと感じたことを蓄積しました。
体験と感覚を元に、自分がつくろうとしている作品のビジョンを持ちます

つくりたいものができたなら次のステップ。
遊ばなかった方の10作品を遊びました。

もしかしたら似たようなルールのゲームがすでにあるかもしれません。
そういうゲームはつくるときの参考になります。

3|お金を用意する

儲けることが目的じゃなくても、お金というフィルターを通すことで、つくりたいゲームの実現可能性を数字で表せます。

アナログゲームをつくるのに必要なお金はだいたい10万円です。
作品にもよるけどTCGにしぼって考えてみましょう。

100セットの制作費の内訳はこんな感じです。

印刷代の画像

・テスト版制作費(紙代+インク代+小物代):¥1,000~¥3000
・テストプレイ会費:¥1,000~¥5,000
・イラスト発注費:¥0~無限
・印刷代(本体+説明書+箱+送料):¥40,000~¥100,000
・イベント参加費(参加費+移動費+送料):¥10,000~¥20,000
・宣伝費+ボドゲ系オフ会等の移動費:¥5,000~¥30,000
・在庫管理費:¥0~¥3000
・購入者向けのイベント費:¥5,000~¥20,000

カード枚数が多いとか、カード以外の道具を使うとかコンポーネントが多いゲームは実現可能性が低いです。

4|売れないTCGは遊べないのと同じ

4作目のTCGを作ったあたりで頒布できるレベルにはなりました。
この時オフ会に参加して、作ったTCGを遊んでもらったんです。

おもしろいという声もありました。
頒布するにあたり2500円なら買うか尋ねた所、全員が首を横に振りました。

ゲームとして興味はあるが、また遊びたくはならない。
そういう感想をいただきました。

TCGは対戦相手がいないと成り立たないゲームです。
対戦相手も同じゲームを持っている必要があります。

売れてないTCGは対戦相手がいないのと同じだから買っても遊べません
買うだけ損するなら最初から買わないですよね。

売る気がないのにTCGを出したいというのは間違ってると思うんですよね。
それは自分のTCGを買った人に「まあ、買っても遊べないんだけどね」と言うのと同じじゃないですか?

TCGは売ることを宿命付けられたジャンルだと思って間違いないです。

ちなみにソロプレイできるように作るのも良いと思います。

5|売る相手を絞ったTCGをつくる

売れなきゃいけない理由は遊べないからです。
しかし、少ない人口で定期的に遊ばれている作品もあります。

売る相手を絞って企画を練るのが良いと思いました。

そもそも自作TCGのような同人作品はトレカショップで販売してません。
ボードゲームを扱う店舗や一部のショップだけが扱ってくれます。

TCGの正義は人口と稼働率です。
人を集めるコンテンツを持ってないなら、人口は大きな参入障壁。

ならばいっそ人口が少数でも回るようにします。

6|どんな相手に売るのか

人口が少数のTCGは商業にも存在します。

それはサービスが終了したばかりのTCGのユーザです。
大多数のユーザが離れ、商業TCGとして破綻し、サービス終了しました。
その少数派なユーザに向けて自作TCGをつくります。

まずサービス終了したTCGですが、キリがないので割愛。
それに遊ぼうと思っても手に入らないですし。

なぜサービス終了したか気になるなら、自分の目でたしかめましょう。
なにか傾向が見つかるかもしれません。

7|構築済みデッキのみ売る

トレーディング要素はプレイヤーがいて初めて成り立ちます。
プレイヤーがいないうちはランダム封入されたパックは売れません。

自作TCGはトレーディング要素を抜いて作るのです。
だからボードゲームのノウハウを活かせます。

多くの自作TCGは構築済みデッキとして売っている状況です。
あるいはデッキを2つ入れて1セットで遊べる形で売るケースもあります。

もちろんランダム封入されたパックを頒布している自作TCGも存在しますし、個人制作でガチャ要素のあるデジタルTCGもあります。

構築済みデッキはプレイヤーへのアピールポイントにもなります

メリットは誰でも平等なカードプールを持てること。
デメリットは初期投資のハードルが高いこと。

8|つくりたいゲームの方向性を知る

この時点ですでに作りたいゲームのビジョンがあるとします。
参考にしたゲームが他にどんなゲームと似ているのか調べると良いです。

特にTCGは戦略性の高さによってある程度の方向性が分かります。

まず戦略性とは何でしょうか?
端的に言うと、戦略性とは葛藤の有無です。
葛藤する数や状況が多いほど戦略性が高いと言われます。

つまり、戦略性は選択の数と頻度で表せるのです。
そこで簡単な図をつくりました。

縦軸が選択肢の数で、横軸が選択の回数です。
ここでは勝敗を左右する葛藤を選択とします。

選択肢について

①はデジタルゲームが多いです。
デッキごとに決まったプレイングをするので、プレミさえしなければ選択するタイミングがまったく無い時もあります。
全体的に何を捨てるかの選択を要求されるゲームが多いです。

②の筆頭はマジック・ザ・ギャザリングだと思います。
どのゲームも相手ターン中にアクションを行うので数も頻度も増大傾向。
戦略性が高いと言われるゲームがここに該当していると思います。

③は低年齢層+キャラゲーですね。
デッキによって決まったプレイングを要求するようなゲームやどのデッキを使おうと毎回同じような展開になるゲームが多い傾向にあります。

④は囲碁や将棋に近いゲームだと思います。
決まったプレイングをすれば勝てるけど、それをどこで差し込むかっていう雰囲気のゲームがこの群に集結しています。

9|つくりたいものをハッキリさせる

ここからは手順を追った解説です。

私は以下を参考にして作ることにします。
自分でもいじりたいメカニクスだからです。

・『桜降る代に決闘を』の戦闘
・『ガンナガン』のダメージ処理
・『レギオンズ!』のタイムライン

つくりたいものに優先順位を付けます

1.作るのにお金をかけたくない
2.『ふるよに』が5分くらいで終わると手軽で遊びやすい
3.『レギオンズ!』のタイムラインのメカニズムを使いたい
4.眼前構築に時間をかけたくない
5.遊ぶのに頭を使いたくない
6.必殺技を言い合ってだんだんと熱くなれる展開の体験
7.女の子がいっぱい出る
8.『モンストTCG』のフレームデザインが好きだ
9.マックの小さいテーブルで遊べる

優先順位を付けたら、上から順に解決方法を書きます
上から順にするのは優先順位が乱れないようにするためです。

1.カード枚数が少ないTCGにする、カードだけで遊べるTCGにする
2.『ふるよに』から間合いの要素を抜く
3.『レギオンズ!』からバトルゾーンとリーダーを抜く
4.ハーフデッキ2つを組み合わせるだけにし、カードごとを選ばない
5.頭を使うのはだいたいコスト計算なのでコストをなくす
6.カード名を技名にする
7.技名がいっぱい出てきて女の子がいっぱい居る作品を参考にする
8.斜めのデザインの使い所は、カード右下だと思った
9.カードサイズを遊戯王サイズにする

ウソなしで最初はこんな感じでつくりました。
なんかこう……解決方法は「ふわっ」としててもいいです。

実際どれも自分の体験ベースで感覚的に書いてるだけですからね。
それが本当に解決方法になってるのかはつくりながらたしかめます。

優先順位を上から順番に満たしていきました。

10|お金のかからないゲームをつくる

iPhoneのメモ帳からの抜粋です。

1.カード16枚で箱付き100セット印刷費約3万円の印刷所を見つけたから、16枚で1デッキになるようにする。
カードだけで遊べるようにするなら紙もペンもライフカウンターも使えないし、デッキ枚数も少ないからデッキライフ制も無理。
『デュエマ』みたいにシールド制か『スピマテ』みたいにハンドライフ制かな?

たぶん『デュエマ』は知ってますよね。『デュエル・マスターズ』です。
シールド制は画期的。カードだけで遊べるから素晴らしい。

『スピマテ』っていうのは6年続いてる自作TCGです。
自分の場が0枚で攻撃されると手札が1枚落ちて、すべての手札を失ったまま攻撃されると負けちゃうルールです。

お金をかけずにゲームを作ることはできます
この『スピマテ』は、なんとデッキ枚数5枚から遊べるんです。
私もその設計思想を見習いました。

11|既存のゲームからルールを引く

2.『ふるよに』から間合いを抜く。「ライフで受ける」か「オーラで受ける」を選べるシステムはおもしろい。もしもオーラじゃなくて『スピマテ』のハンドライフ制を参考に「ハンドで受ける」があれば……?

『ふるよに』とは『桜降る代に決闘を』というLCGです。
LCGというのはTCG風のボードゲームのこと。

たくさんゲーム名が出てきましたが、別に問題ありません。
丸パクリはダメですが、ゲームづくりの基本は既存の作品を参考にします。

よく「◯◯と××を足して割る」という言い方がありますが、私のゲームづくりでは「◯◯を引いて××を足す」感じです。

では、なにを引いて、なにを足せばいいのか?
優先順位のリストを参考にします。

私は5分で終わる「短い時間で遊べるゲーム」を目指したいです。
だから『ふるよに』で時間が掛かりがちな要素を引きました。

抜いた要素はコレ
・眼前構築のカード選び
・基本動作
・10のライフ

どれも『ふるよに』というゲームのおもしろい要素だけど、今回つくりたいものは『ふるよに』のおもしろい要素ではないので、今回は引きます。

目的に合わせて参考作品からバッサリ引くといいですね。
あとは引いた分を補うように別の参考作品から持ってきて足すだけなので。

12|ルールはメカニクスに分解して考える

3.『レギオンズ!』からバトルゾーンとリーダーを抜いたけど、タイムラインのシステムってカードを重ねて置くから、それをメインに据えちゃうと盤上の情報量が多くてつくりたいものと違うかも。重ねて置けないようにする。重ねて置けないなら、タイムラインは指定の時間に置くんじゃなくて、選べるようにした方が事故が少なくていいよね。

『レギオンズ!』はサービスが終了したTCGです。
タイムラインというメカニクスが画期的で、これはターンの進行でカードを置く位置が移動し、一度使ったカードが数ターン後に戻ってきます。
思想的には『ヴォーパルス』の経年に似たメカニクスです。

こういう細かいルールの中の動きは、共通する特徴を持った「メカニクス」という考え方で分類できます

メカニクスとはシステム的な要素のこと。
たとえば『ポーカー』なら、「手札」「手番制」「競り」「セットコレクション(役を揃えるメカニクスのこと)」などの要素に分けられます。

ボードゲームはメカニクスの組み合わせで作られるのです。
これはTCGにも同じことが言えます。

多くのTCGに登場するメカニクスは「手札」「山札」「手番制」「2人対戦」「コスト」「バトルカード(攻撃値-防御値)」「ライフ制」です。

これらの要素は、トランプ遊びでも見かける要素、ボードゲームでも見かける要素、TCGでしか見かけない要素があると思います。

メカニクスによってプレイヤーの認知度が違うのです
認知度が高いメカニクスほど馴染みやすいってこと。

認知度が低いメカニクスは入れるとしても1つが限度だと思います。
かと言ってまったく入れずに作ると現行のゲームと似通ってしまいます。

オリジナリティがないと続けて遊んでもらいにくいです。
前述したサービス終了したゲームに似せる時は、認知度が低いメカニクスを中心に寄せて作ると上手くいくと思います。

あと、この段階ではメカニクスが元々持つ複雑さは考えなくていいです。
今はとにかく組み合わせの妙を楽しみます。

13|運要素はスキルを絡める

4.ハーフデッキごとに特徴を統一して、組み合わせた時のシナジーを想像しやすくしよう。デッキ枚数16枚に決めたけど、「ハンドで受ける」を実現するならシールドがほしいよね。とりあえずシールドは4枚にしよう。だからハーフデッキは通常カードとシールドのカード合わせて8枚だ。

TCGで勝てると嬉しいのは、自分の戦略が上手くいくのが快感だからです。

戦略を考えるのは楽しいけど負けたときがつらい。
やっぱり勝てないとおもしろくないんですよ。

TCGは自分がやりたいと思った戦略をデッキにして対戦します。
つまり、対戦する前の時間をゲームに費やすのです。
対戦した後の時間もゲームに費やしてもらわなければならない。
だから、どのデッキでも勝てるようにするといいですね。

ダメな具体例に言うとデッキ間の相性が勝ち負けに直結するデザイン。
こういうデザインを「じゃんけん」と言います。

じゃんけんにならないためには運が必要です。
戦略性が高いゲームは負けた時、全部プレイヤーの責任になります。
しかし、運要素があるゲームは負けても運のせいにできます。

負けた時のストレスを軽くするために運要素は入れた方が良いです。
ただし、運要素はプレイヤー自身がコントロールできるようにします。

戦略性と運のバランスは大事です。
どちらが大きすぎるのはいただけません。

運が強すぎるとプレイヤーは自分で遊んでいる感覚を失います。
プレイヤーが確率を操作できることで、スキルの問題になるのです。

ちょっと意味合いは違いますけど、こうした運要素にプレイングスキルを絡めるメカニクスを「デクスタリティアクション」と言います。

運要素にスキルを絡めることで勝った時に嬉しいデザインになります

14|コストをいじり、デッキを差別化する

5.コストをなくしたら、コストに相当するのはタイムラインになった。強いカードほど再使用に時間が掛かるのか……。まるでFFのリキャストタイムみたいだな~。それと、ハーフデッキごとの特徴を効果にしちゃうと単調になっちゃうよね。だったらコストの代わりに効果の発動条件を設けて、それをハーフデッキごとの特徴としよう。

カードゲームにはカードプールがあります。
デッキ構築を成り立たせるにはカードに強弱を付けるとともに、軽さと重さを考えなければなりません。

TCGは重いカードほど強いのです。
重いカードを入れるほど立ち上がりが遅くなります。

自作TCGの構築済みデッキはどれもミッドレンジです。
これは複数の構築済みデッキを買ってもらうことを前提に作られています。
ミッドレンジの構築済みデッキを頒布することで、プレイヤー側で軽いデッキや重いデッキを作れるという構築の楽しみを提供できるのです。

とはいえ、私のゲームはハーフデッキの組み合わせなので、まったく異なるアプローチが必要になります。

引用部分の考えですが、『ふるよに』の設計思想とまったく同じです。
『ふるよに』はメガミごとに得意な間合いと能力の発動条件があります。

このままだと二番煎じなのでどうにか差別化したいところ。
そこで、能力の発動条件をコスト代わりにすることとしました。

私が作ろうとするのは、使用キャラごとにコストが違うカードゲーム。
つくりながら見えてきたのはそんなビジョンでした。

ゲーム中に達成しやすい条件はコストが軽く、そうでないものは重い。
軽コストの能力は弱く、重コストの能力は強いわけです。
そうすることで必然的に軽いキャラと重いキャラが生まれます。

イメージとしては『スマブラ』のような格闘ゲームです。
TCGにするならアグロとコントロールというアーキタイプが見えてきます。
これなら扱うキャラによってプレイングがまったく異なるはずです。

デッキ構築メカニクスの根幹はコストの軽重に比例した強弱だと思います。

15|どんな体験をして欲しいのか明確にする

6.カード名が基本的に技名のTCGって『金色のガッシュTCG』か『スペルカードストライク』くらいしか遊んだこと無いんだよね。どっちも私の求める爽快感とは違う方向性だったな。私は「滅びの爆裂疾風弾」がやりたい。

遊んでいる時の雰囲気を考えます。
ゲームはプレイヤーに体験を提供するメディアです

どんな体験をしてほしいのか明確にしました。
私は技名を叫びながら戦うゲームが作りたかったんです。

すべてのカードが使い切りで、クリーチャーやモンスターがいないカードゲームということになります。
ただ、タイムラインに残るので場にカードを並べていくカードゲームです。

こうした場に残るカードはプレイヤーが大事にしたくなるカードにします
なぜならプレイヤーが直に操作するのは場に残るカードだからです。

キャラが描いてあるとか、デザインが格好良いとかで良いと思います。
武器やイベントみたいなパッと分かりづらいものは避けた方が無難です。
プレイヤーは格好良い見た目のキャラを操作して遊びたいものだからです。

16|プレイヤーが想像しやすい世界観を使う

7.技名がいっぱい出てきて、且つ女の子がいっぱい出てくる作品を調べたんだけど意外と少なくて、『東方Project』『セーラームーン』『プリキュア』『ファイアーエムブレム』『マギアレコード』あたりしかなかった。そういえば女の子がいっぱい出る作品は大半がアイドルだよね。アイドルは技名を叫ばない。久々の二次創作になるけど『東方Project』で考えてみようかな。

このメモでは二次創作をすることになっていますが、女の子がたくさん出てきて技名を叫ぶだけなら題材は女子プロレスでも良かったと思います。
過去に東方4コマを描いてたので、この時は東方Project一択でした。

二次創作の弱点は原作を知らない人が付いてこれないことです。
さすがに東方を知らないオタクはいないので大丈夫だと思いました。
特に東方は原作から二人対戦用の格闘ゲームも出ています。

プレイヤーが想像しやすい世界観を使います
よく分からないものはプレイヤーが興味を持てないからです。

世界観と言ってもファンタジーとかSFとかじゃありません。
ゲームとして遊ぶ時の想像しやすさです。

たとえば王道ファンタジーは無難そうに見えますが、二人対戦用のカードゲームでどう実現されているのかは想像しづらいと思います。

つまり、二人で対戦するものを題材にするのが良いです。
フェンシング、相撲、侍の果し合い、卓球など様々あります。

また、遊んでいる自分の姿を予想できる題材にするのも良いです。
2丁拳銃、剣舞、領主となって領地拡大などボドゲにはよくあります。

実際、売れるゲームはこのコンセプトがしっかりしているものばかりです。

17|情報配置は既存のカードゲームを参考にする

8.右下にタイムラインの要素を入れよう。ほかに必要な項目はライフ/ハンドへのダメージ、カードの種類(攻撃/行動/付与)、カード名、キャラ名、ハーフデッキ名、テキストくらいかな? それっぽいデザインをいろいろ作ってみよう。

既存のカードゲームに合わせてカード情報は配置します。
その方がプレイヤーにとって馴染み深いからです。

ほとんどのTCGで共通している項目を抜き出すと以下になります。

・コスト
・パワー(攻撃力/守備力)
・カード名
・テキスト
・イラスト

特にこのうち配置場所がほぼ決まっているのはコストとパワーです。

パワーが一種類しかないゲームの場合、コストは左上、パワーは左下。
『デュエル・マスターズ』がスタンダードだと思います。

攻撃力/守備力で表記するゲームの場合、コストは右上、パワーは右下。
『マジック・ザ・ギャザリング』がスタンダードだと思います。

他にも細かいコツとしてはこういうのが有名ですね。

・コストとパワーの桁は別にする
・もし同じ桁の数字がある時はフォントをセリフ体とサンセリフ体で分ける
・アイコン化して良い数字は上限があるもの
・数字は読むもの、アイコンは数えるもの
・シンプルなほど密度は小さく、複雑なほど密度は大きい

これの詳細は以下のnoteにあるので良かったらどうぞ。

18|大事なものほど重たい素材にする

9.遊戯王サイズで印刷してくれるところを探したらあった。カードの見本の限りだとペラッペラなカードになっちゃうけど、たぶんこれモンスターやクリーチャーを並べるゲームじゃないだろうから、カードに重量感は要らないってことで無問題かな。

この考え方はボードゲームのデザインと共通する部分です。
ゲームの勝利点を表すようなコンポーネントほど重たい素材にします。
その方が価値があるように感じられるからです。

自作TCGならば、カードの重さはカードの重要性で決めます。
紙の厚みで重さが変わるので、ゲーム中ずっと場に置くようなコンポーネントの素材はちょっと高級なものにした方が良いです。

また、ゲーム中に何度も触るようなコンポーネントも重たくしたいです。
そうしたコンポーネントは大会の賞品にも向いています。

軽いものより重たいものをもらった方が嬉しいはずです。
つまり、ゲーム中にもらえるものを重くするということでもあります。
ボードゲームでいうなら、勝利点やお金ということですね。

制作コストの問題で重たくできない時は妥協して良いレベルの話です。
ただ、考慮しておくだけでもプレイ感を向上できると思います。

19|カードの評価点にゆらぎをつくる

テキストデザインを一人で作るとカードバランスが偏ります。
一人で作る時に気をつけるべきは、自分のプレイスタイルに偏ったカードばかりを作ってしまうことです。

何を求めてゲームを遊ぼうとするか、人によって違います。
勝ちたい。楽しく戦いたい。自分だけのデッキを作りたい。さまざまです。

適度に自分とは異なるユーザータイプのクリエイターを誘いました。
そうした方々にカードのテキストづくりを依頼しました。
キャラごとにひな形を用意して、テキストの中身を作っていただく形です。

プレイスタイルが違えば出来上がるカードも違います
自分にはない観点から作られたカードを見るのはとても楽しいです。

また、カードごとに評価してもらいました。
このカードは何点みたいな話をして、人によって価値を感じるカードがまったく異なることもTCGには必要なゆらぎです。

明確に点数が決まってしまうと偏りが起こります。
拡張版を出すかどうか置いといて、ゆらぎは「じゃんけん」を回避します
不完全性がカードゲームの面白いところなのです。

20|こまめに更新してMAUを維持する

自作TCGは拡張が前提にあるジャンルのゲームです。
そして対戦相手がいなければ遊べません。
MAUを維持するためにゲームをこまめに更新します。

MAUとは月間アクティブユーザーです。
一ヶ月で一度でも遊んでくれたプレイヤーを指します。

この人数が1にならなければギリギリ運営が続けられます。
自作TCGは最初のうちは0も多いです。
ただ、続けていくうちに人が増えていきます。

人が増えるのはゲームの更新を公開しているからです。
露出がないとユーザは集まりません。
ゲームを辞めるユーザより始めるユーザの方が多ければ良いのです。

また、長くゲームを続けるプレイヤーほどゲームを見る目がシビアになりがちなので、古参と新参者は分離して環境のズレを作るのも良いと思います。

こまめに更新するのは環境レポートや大会の開催のことです。
プレイヤーが作ったデッキを公式で取り上げるのもアリだと思います。

まとめ

1|時間をかけずにゲームをつくる
2|つくりたいジャンルのゲームを遊ぶ
3|お金を用意する
4|売れないTCGは遊べないのと同じ
5|売る相手を絞ったTCGをつくる
6|どんな相手に売るのか
7|構築済みデッキのみ売る
8|つくりたいゲームの方向性を知る
9|つくりたいものをハッキリさせる
10|お金のかからないゲームをつくる
11|既存のゲームからルールを引く
12|ルールはメカニクスに分解して考える
13|運要素はスキルを絡める
14|コストをいじり、デッキを差別化する
15|どんな体験をして欲しいのか明確にする
16|プレイヤーが想像しやすい世界観を使う
17|情報配置は既存のカードゲームを参考にする
18|大事なものほど重たい素材にする
19|カードの評価点にゆらぎをつくる
20|こまめに更新してMAUを維持する

私が制作・運営の『東方リキャストリフト』はそういう風に作られました。
興味がある方、良かったら制作ブログをご覧ください。

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