#52 落ち着き・厚み・生命感のあるスタッカートの演奏のために。3つのポイントと具体的な練習方法
こんにちは!さいりえです。
今月もオンラインレッスンサロンの note をご購読いただき、ありがとうございます。
今月は3〜4回の更新を予定しています。一つ一つ、内容の濃いものにしていきますのでよろしくお願いします!
さて、#52 の今回は、「スタッカート」について。
実はスタッカートは以前にも取り上げたことがあります。
そのときは、スタッカートの基本的な考え方や、曲の一部ではなく「単音」「2つ以上の音」のスタッカートの出し方や音色の探し方をお話しました。
↑概要動画とテキストは無料でご覧いただけますので、どうぞご覧ください(具体的な実践のみ有料にさせていただいています)。
さて、今回はもう少し実際の曲の中にふみこんでいこうと思います。
曲の中でスタッカートを弾いていると、
・かたい音になる、音楽が止まってしまう
・ただ弾いてるだけ、切ってるだけ、はねてるだけ、という感じで音楽的でない
・忙しそう、大変そうな感じになる
ということはありませんか?
このnoteでは、かたいスタッカート、非音楽的なスタッカートになってしまう原因を探りながら、豊かな響きで音楽的な説得力のあるスタッカートの演奏についてお話します。
ベートーヴェンのソナタ第18番を取り上げます。
ベートーヴェンを例にあげていますが、他の曲や、またスタッカートではない部分にも共通する考え方と練習方法を、テキストと4本の動画でお話・演奏しています。
あなたのスタッカートのお悩みが少しでも軽くなればうれしいです!
この note の前半はオンラインレッスンサロン会員の方以外もご覧いただけますので、あなたの練習のお供にぜひ一度ご覧ください。
【このnoteのポイント】
・スタッカートだけど落ち着きや内容のある表現のためには?
・スタッカートにも和声分析が必要
・生き生き弾きたい!でも硬くなりたくない、そのために気をつけることは?
・3つのポイントで説明します
【こんなお悩みに】
・スタッカートが硬くなる
・スタッカートが非音楽的になりやすい
・もっと豊かに演奏したい(響きも、音楽的な面でも)
【このnoteの構成】
・テキスト
・動画解説・演奏(4〜7分の動画×4本)
※動画は vimeo のプライベートリンクを共有しています。
【例に取り上げている曲】
・ベートーヴェン / ピアノソナタ 第18番 第1楽章メイン
・第2、第4楽章(少しだけ)
・ドビュッシー / アラベスク 第2番(ほんの少し)
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美しいスタッカートって?
スタッカートと一言でいっても、本当にさまざまですよね。
音楽のキャラクターも、音色や音の表情も、そして弾き方も異なります。
たとえば、ベートーヴェンのソナタの中には
〈分散和音で作られるスタッカート〉
がたくさん出てきますよね。
どんな演奏がふさわしいでしょうか?もちろんどの曲のどの部分かで異なりますが、あなたの思い浮かべた部分はどうですか?
一例として、ソナタ第18番 Op.31-3 第1楽章の25小節目〜について、お話していきます。
この部分はAllegro 3/4 で速く、Es-dur の明るさや落ち着きがあり、またユニゾンで生き生きと進む部分。構成的には、「推移」にあたります。
ということは、
・明るく生き生きと弾きたい
・でも美しく、調和させたい
・ちょっとほっこりした落ち着きのある響きもほしい
・音楽の方向性を示して、次の部分につなげていきたい
・3拍子に乗りたい
など、いろいろなイメージや理想が浮かんできます。
逆に、
・分散和音で角が出やすい(コツン、という音)
・ユニゾンを美しくそろえるのが難しい
・ほぼスタッカートで6小節〜8小節進んでいくので、弾いているうちに硬くなってくる
・ずっとスタッカートの分散和音なので和声感を感じにくい
など、この部分の特徴による難しさもあります。人それぞれの技術や聴き方などによる原因もあるでしょう。
このように、楽譜を見ながら
「どう弾きたい?」
「(あなたにとって)なにがむずかしい?」
「どうすればイメージを実現できる?」
とじっくり考えることは、どんな曲のどの部分でも大切です。
今回は、この部分でおちいりやすいポイントや、やってしまいやすい「良くない例」もご紹介しながら、3つのポイントで美しいスタッカートを探っていきます。
その3つは、
1. 〈からだ〜腕〜手のひら〜指先〜鍵盤〉をなめらかに連携させて、まとまりをもって弾く
2. 和声のまとまり、役割、それぞれの音について考え、よく聴いて、作り出す
3. 手の中にリズムを感じ、生み出す…手の中に、ということは身体や自分自身の中にもリズムを持ち、それが音の中にも生み出されるということですね。
ここまでを〈総論〉として1本めの動画にまとめましたので、ご覧ください。
1. からだの連携と、打鍵時のポイント
ここからは、3つのポイントを具体的にお話していきます。
練習方法や、実際にどのようにして音や表現を探していくか、ということもお話していますので、ぜひピアノの前で探してみられてください。
3つのポイントはそれぞれ動画でも解説しています。この note の後半で、まとめて紹介しています。
まずは、身体の使い方と打鍵について。
〈からだのポイント〉
・スタッカートには、指を積極的に使うスタッカート(その中にも複数の種類がある)や、腕全体を使うスタッカート、その他いろいろな奏法がある
・曲の性格や表現したいことによって、使い分ける
・基本の奏法はそんなに大きく変わらない。大まかに言うと
下半身を安定させて座り〜肩甲骨から腕を動かし〜なめらかな連携をもって〜指先を媒体として〜鍵盤に伝える
という点では、同じです。ただ、少しずつ各部位の使い方、バランスや割合を変えるということです。
・この曲にふさわしいのはどんなスタッカート?どんな音、どんな表現?ということを動画でお話しています。
〈打鍵のポイント〉
これはとくに、わたしのような、大柄ではない女性や、学生さんが弾くときも意識されると良いことでしょう。
ベートーヴェンのソナタは、大形式であることや、オーケストラを想定した響きで書かれていることもあり、スタッカートであっても豊かな響きがほしいですよね。
スタッカートだとどうしても指先だけではじいてしまったり、硬くハネようとしてきつくなって響きが止まってしまったりしやすいですが、その場にふさわしい響きを保って、打鍵する必要があります。
(動画は3本まとめて紹介します)
2. 和音の各音の響きや役割を分析して考え、それを音にしていく
これはスタッカートに限らず、曲全体、もしくは部分部分で演奏を考えていくときにかならず必要なことです。
シンプルな手順です。ただし、とても奥が深いです!
・和声分析する(難しければ、大まかにでもOK)
・和声の進行がどのようになっているか?を考える
・そのための音の役割やバランスなどを考える
・スタッカートでもそれを実践する
これだけなんですが、果てしなくむずかしいです。
ですが、なんとなく「スタッカートだ!」と思ってチャカチャカっと弾いてしまうのとは全然ちがう演奏になるでしょう。
次の項目も大切なので、ぜひ続けてお読みください。
3. 手の中にリズムを持つ、生み出す
手の中に、と書きましたが、実際は体の中心であったり、自分の中のリズム、鼓動、動きであったり。
また、音そのものが、弾力やリズムをもつ音であるということです。
具体的には、次のことがポイントです。
・拍子感や曲のキャラクターが持つリズムを知る
・この曲の場合4分の3拍子。「1,2,3…」の心地よく軽妙なリズム感や、オモテ拍、ウラ拍の関係性。(ウラ→オモテが大事!)
・弾力のある音とは?単音でもリズムを感じる音って?
・はずむこと、短く音を切ること=リズムの良さ、ではない。
・曲によって、場面場面によって、リズムの感じ方は異なる(当たり前ですがいちおう書きました)
音楽の3要素=リズム・メロディ・ハーモニーですが、どの項目も同じく重要で、同じく奥が深いです。
ただわたしの体験上、リズムを意識して、体感して、音楽の中に生み出すというのはもしかしたらいちばん難しかったり、ポイントをにぎっていたりするのでは?と思うことが多いです。
西洋独特のリズム感ということもあるのでしょうね。
けっこう意識しないと、「リズムの魅力が感じられない演奏」になりやすいです…
動画では2楽章、4楽章にも少しだけ触れています。
ここまでのポイントを動画にまとめました
それでは、今回のスタッカートの演奏について、ここまで書いた内容をもとに、解説&演奏動画にまとめていますので、ご覧ください。
動画②ポイント1. おもに体の使い方と打鍵について
動画③ポイント2. 和声分析をスタッカート演奏に生かす
動画④ポイント3. 手の中にリズムを生み出し、生き生きとした拍子感のあるスタッカートを(第2,第4楽章も少しだけ紹介しています)
それぞれ、6分〜7分半の動画です。
動画②ポイント1. おもに体の使い方と打鍵について
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