西園寺

代々木ゼミナール化学講師/化学(専門職含む)・数学・生物・数的処理・自然科学を指導:塾・医専・資格学校勤務/開成高卒・東大理学部化学科卒・元 化学部(サークル活動)

西園寺

代々木ゼミナール化学講師/化学(専門職含む)・数学・生物・数的処理・自然科学を指導:塾・医専・資格学校勤務/開成高卒・東大理学部化学科卒・元 化学部(サークル活動)

最近の記事

記事の予告

今月はあまりnote記事を書く時間がありませんでしたが、このあと書こうとしている内容がいくつかあります: 慶應医学部の化学史研究(2)  高校化学と錯体 来年度について 医学部予備校それぞれ 生物学を高校化学で捉えるシリーズ 京大化学について 生活に密着した化学 科学哲学の読書感想文 化学の基礎概念 上ほど書けていて、下ほどあまりかけていない状況です。上2つはあとちょっとを調べるのにまあまあ手こずっている感じです。 あとはホームページを作り直していて、そ

    • クロマトグラフィー(大学入試編)

      化学基礎の教科書では最初の方に書いてあるのが、物質の分離法についてです。最初に習うときはまだ物質に馴染みがないのであまりちゃんと理解できなくて大丈夫です。ある程度他の単元をやってからまた学び直せば良いので、とりあえず最初の時点では「世の中の物質は混合物は多いけれども、化学では(理論面でも実験面でも)分離して純物質として考える・扱う方がラクなので今後は混合物を分離したものとする」というメッセージが伝われば良いと思います。 クロマトグラフィーとは?クロマトグラフィーは物質の分離

      • 慶應医学部入試問題の化学史研究(1)

        慶應医学部では毎年化学史にまつわる問題が出題されています。(私自身は具体的にどなたが化学史に強いかは知らないけれども)出題者の一人は化学史に関心がある/詳しいのは間違いないです。 今回は慶應医学部の化学史にまつわる問題を紹介していきます。 ※トップ画はゲイリュサックの肖像画です。 2024年入試大問1 窒素の歴史 これは私もよく説明する話ですが、ハーバー・ボッシュ法は人類の歴史においてかなりの革命をもたらしています。「空気からパンを作る」方法とも言われるように、空気の約

        • 共通テスト化学でちょっとでも高得点を取りたい

          共通テストは年々重要性が増してくる印象があります。センター試験と比べてかなり難しくなっています。ここでは「現時点の点数から⚪︎点アップ」に必要な勉強について説明します。 60点まで教科書内容をちゃんとおさえる 60点までは教科書内容をどれくらい身についてくるかで決まります。この点数以下しか取れていない場合はアウトプット不足ではなくインプット不足なので問題集をガンガンやることはあまり得策ではありません。教科書またはもっと読みやすい参考書、あるいは授業を通じてしっかりインプッ

          有機化学:最低限おさえるべき内容

          根本-     イオン結合性の物質は、イオン式を覚えて、それを元に化学式が書けるか -     共有結合性の物質(有機化合物など)は、結合の手の数を考えているか -     化学反応式は両辺の原子の数が揃うように書いているか -     化学反応式は化学反応の原理・分類を考えているか -     有機化学では不飽和度を最初に考えているか -     有機化合物で炭素数に注意を払っているか おさえないといけない項目-     異性体(構造異性体・立体異性体)の意味の違いがわか

          有機化学:最低限おさえるべき内容

          コロイドってつまらない?

          コロイドはマイナー分野で面白くないと思っている大学受験生も少なくないと思いますが、実は面白いです。 日常と科学のハーモニーなのです。 コロイドとは10^(-9) 〜10^(-7) mの粒子のこと。 この大きさについて実感を持ってもらうため、ここで原子の大きさを考えてみましょう。原子の大きさは約10^(-10) mです(0.1 nm, 1Åと同じです)。よってコロイドの粒径は原子の粒径の、10〜1000倍です。個数は体積に比例し、体積は長さの三乗に比例するので、コロイドは約

          コロイドってつまらない?

          「生物/生命とは何か?」をテーマにした入門的な本の紹介

          生物とは何か, つまり生物の定義って何でしょうか?生物と生命の違いって何でしょうか? そうした疑問に答えてくれそうな本の中で私が読んだことがある本をいくつか簡単に紹介します。 ゆかいな生物学―ファーンズワース教授の講義ノート後半の内容は他の本の方が良いと思いますが, 最初の章だけでも必見です。「バイクは生物である」という主張を反証していく過程でさまざまな新しい問いが生まれたり, 生物とは何かを試行錯誤して面白おかしく探っていったりする感じが良いです。 生物と無生物のあいだ

          「生物/生命とは何か?」をテーマにした入門的な本の紹介

          化学に関する疑問点を質問できるフォーム

          【中学生・高校生・高卒生】あまりにも根源的な質問すぎて学校の先生に聞くのも恥ずかしい場合に質問を投げてください。多分こういう根源的なものこそ意外と大事になってきます。 例 「原子とは何か?」「原子と分子の違いは何ですか?」「なぜこのような反応式だとダメなんですか」など 【大学生・社会人】日常的に思っている化学に関する疑問点を質問できる良い機会だと思いますので是非質問を投げてください。 【注意点】※個人の空き時間でやっているため、質問の回答には少し時間がかかると思います(

          化学に関する疑問点を質問できるフォーム

          書きたい本についての話

          割と明確に書きたい本のアイディアはいくつか持っているので、今後は仕事を詰めすぎず、執筆に費やす時間を増やしていきたいと思っています。 ・今年2月末に初めて本のアイディア(とサンプルページ)を某出版社に提出して先日二次審査は通過したとの連絡はいただきました。企画書等も初めて書いたのでどの程度魅力が伝わったかはわからず、最終審査まで残るかどうかもわかりません。ただ前衛的なアイディアなので通らなくても、じっくり練り直していつかは出す目標です。 ・医学部専門予備校でプリントとして

          書きたい本についての話

          【2024代ゼミ標準化学】シラバス(詳細)

          ※ 西園寺担当の新潟校月曜5,6限の授業の話です。 ※ ざっくりしたことのみを知りたい場合、配布プリントor初回授業の説明をご参照ください。このnoteはプリントや対面で説明しない詳細について説明します。 勉強の流れ・予備校の授業では、予習→授業→復習のサイクルが大切です。 ・解説する問題の順番は変えずに授業します。毎週第一集・第二集それぞれ演習問題2個ずつ予習してください。 ・積み上げの科目(化学だけではなく数学などもそうだと思います)は前回の内容を踏まえたうえで次回の内

          【2024代ゼミ標準化学】シラバス(詳細)

          高校化学で出てくるカタカナの名前の意味例(2)

          この記事の続きです。 ABS((分岐鎖)アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム)=Alkyl Benzene Sulfonates LAS(直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム)=Linear Alkylbenzene Sulfonate ナフタレン=ナフサnaphtha由来 ベンゼン=benzoin「安息香」 安息香酸が元 TNT(2,4,6-トリニトロトルエン)=(2,4,6-)tri「3つ」+nitro「-NO2」+tolueneトルエン ヘキサクロロシクロヘキサン

          高校化学で出てくるカタカナの名前の意味例(2)

          定番の化学の参考書・問題集について(2024年2月末公開)

          ※ 原則, 塾・予備校の先生, 学校の先生のように身近で教えている先生の言うことに従う方が良いと思います。特に, 塾・予備校の場合はテキストを用いていると思うのでまずはそれをしっかりやるのが大切です。 ※ 問題集の良し悪しというよりは, どちらかというと使っている人が多い参考書・問題集の使い方に関する注意です。これ見てこういう場合はこれを選ぶと良いみたいなのが ※ 自分のクラスの生徒で別途参考書・問題集使いたいけど, もう少しお薦めは何か, 自分には合うのはどれかなどの話を聞

          定番の化学の参考書・問題集について(2024年2月末公開)

          次年度の抱負メモ

          ① なるべく面白く 勉強をやるというと「つまらないものを強いられてやる、つまらないものでも頑張るのが大切、必要に迫られてやる」という印象が強いけれども、個人の信念としてはなるべく「勉強はおもしろいので勝手にやるもの」というふうな状態にできたらと思っています。そうすると受験終わった後でも継続的に勉強するし、生涯を通じて学んでいくかなと思います(大人になってから学んでいかない人たちが若い人たちを害したり自分自身が損したりするのかなというのが一つの意見)。 方向性としては「知

          次年度の抱負メモ

          2時間で高校化学を教える

          大学受験以外でもある種の試験(例 公務員試験)では高校内容の化学が出題されるため, その講師を務めることがあります。文系大学生だと「理系科目に時間をかけたくない」という考えを持っていることが多いため, 表題のように2時間で高校化学を教える機会があります。 今回は2時間で高校化学を教える際に私が扱っている内容を紹介します。 教える内容の方針① 試験対策・頻出事項 これは講師として当然でしょう。試験を軸にして話を広げていくという方針にすると, 短い時間でも受講者の満足度は高

          2時間で高校化学を教える

          2024東大化学を解いた感想

          過去の東大関係の記事はこちらから↓ ※問題・解答 自体は予備校のサイトで上がっているのでそちらをご覧ください。なお, 今年度は(代ゼミではなく医学部予備校が出している)解答速報にも参加したので, その解答を読んでも大丈夫です。 ここから先に書くのは母校の化学の入試問題を解いた結果, 化学科卒で現在予備校講師をしている僕がどう思ったかと言う"個人的感想"です(難易がどうと言う話も少ないです)。 第1問I実験的な問題。構造決定問題はパズルみたいな感じで紙と鉛筆があればできる

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          高校化学で出てくるカタカナの名前の意味例(1)

          プラスチック=plastic「可塑性の(形を変えることができる)」 クロマトグラフィー=chroma「色(ギリシャ語)」+tography「記録/描く(c.f. photography)」 オゾン=ozone「匂いのあるもの(特異臭; c.f. odor)」 アイソトープ=周期表でiso「同じ」+tope「位置(c.f. utopia)」 パーセント=per「〜あたり(/)」+cent「100」 メスフラスコ(注 英語だとvolumetric flask)=mess「測定(ド

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