見出し画像

汗かけ恥かけ文をかけ

◇今回のタイトルは渡辺道治先生の著書からとったものです。『汗かけ恥かけ文をかけ。』(東洋館出版)は教師としての力量形成をテーマに書かれたものです。教師向けの書籍ではありますが、正直職業や年齢は関係ないだろうと思います。

 学びとは事後的に生じるものですが、学ぼうとする・伸びようとする姿勢や己の未熟さを自覚して生きることの大切さはあると思います。そのマインドセットとして①汗かけ②恥かけ③文をかけなのです。


1.汗をかく

 今年の夏もえらい暑いのでちょっと出歩いただけで汗をかきますよね。当たり前ですが、生理的な汗ではありません。笑

 ただ、熱量によって発汗作用が働くことには変わりありません。この熱量と言うのはちょっとした心がけ一つで変わるものだと思っています。

 例えば、渡辺先生は「質量転化の法則」について次のように述べています。

授業も同じで、作業になっている限りうまくならない。でも稽古になるとうまくなるんです。じゃあ、作業になくて稽古にあるものは何かといったら、一つは目的意識だと私は思うんです。(略)
 授業も同じで、ただ単に流している限り、それは作業でしかないので質には転化しないんですけど、意図的に視線の止め方を磨いていこうとか、褒め言葉の種類を今回の授業では増やそうとか、リズムテンポを前回よりもよりよいものにしていこうとする。そこに目的意識とお手本があるかないかによって質に転化するかどうかが大きく分かれると思うんです。

『汗かけ恥かけ文をかけ。』渡辺道治(東洋館出版)

 おそらく若手の先生はそもそも作業として流すことすら困難だと思うので必死に授業をするとは思うんです。が、この目的意識がざっくり、ぼやけているが故に伸びないということはありうるかもしれません。万事をうまくいくようにするのではなく、「ここだけは」と目的意識を先鋭化する、ある意味で捨象することが大事なんだろうと考えます。

 これは子どもたちにも同じことが言えそうです。例えば、「マット運動で後転だけはできるようになりたい」とか「1回の授業で1回は発表するぞ」とか何でもいいんです。よく「めあて」とか、体育であれば「自己の能力に適した課題」なんて言葉を使ったりするのですが、そういうものをもって学習に臨む。ただ何も考えずにマットの上で試技を繰り返すより、ICT端末で自分の技の出来栄えをチェックしたり、上手な友だちの真似をしてみたり、試行錯誤を繰り返す、このフェーズこそ伸びゆくポイントなのです。

2.恥をかく

 年をとればとるほど人前で恥をかきたくなくなるものです。守りに入ってしまうというか、チャレンジ精神はどこかへ置いてきてしまったかのように。なので、経験を重ねるほどここに焦点化するべきだと考えます。

 矢面に立つ機会を増やす。研究授業を引き受ける、やったことのない仕事や分掌を引き受ける。いくらでもあると思います。意図的に負荷をかけることには覚悟がいります。「やるって言わなきゃよかった」と何度も思ったことがあります。決して無理する必要はありません。途中で音を上げることも恥をかくことの一つだと思えば。

 子どもたちにはあまり恥をかかせないようにという雰囲気があるかもしれません。もちろん傷つけるわけにはいきません。チャレンジすることは失敗すること、間違えることのよさや価値づけを十分にしてあげることで子どもたちが自らすすんで一歩漕ぎ出そうすることが大事です。そのような支援を心がけたいものです。

3.文をかく

 私はこのnoteに夏休み期間中だけですが、毎日書くことをここ数年やっています。また、日頃は学級通信を発行し、自分の思いや子どもたちの様子を保護者に届けようと文章を書くようにしています。

 学級通信は最早日記のようなものです。習慣化すると苦ではなくなるでしょう。それこそ質量転化の法則が生きていきます。

 子どもたちにとってみればどうでしょうか。日記や作文はかなり嫌われている課題の一つだと思います。中には好きな子もいますが。
 書かないと書けるようにはならないとも思います。もちろん型を示したり、テーマを絞ったり、視写から始めたり、いろいろな支援・方法があるので自分も子どもも文を書くことにこだわってみるとよいでしょう。

 おすすめは振り返りジャーナルです。一年間続けるだけで、みるみる文量が増えたり、内容の濃いものが書けたりするようになります。


◇文を書くことも書かせることも、恥をはくことも意識していないとできません。結局伸びゆこうとする心、学ぼうとするマインドを子どもだけでなく大人も持ち続けることが大切なのだと感じます。

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?