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工場紹介~「林材工場」
現在、長野県の人工林のうち約55%がカラマツ林で、当社のある東信地区でも半分以上をカラマツが占めています。当社では地域材であるカラマツの丸太を受け入れ、製材し、集成材の製造・加工を行っています。
この記事では、丸太の製材から集成材にするための接着までを行っている「林材工場」をご紹介します。
林材工場(りんざいこうじょう)
当社の林材工場は、本社より約4.4㎞程離れた、車で10分程移動した場所にあります。このマップからもわかるように周りが山に囲まれた工場です。
林材工場には、
・丸太を製材する「製材棟」
・丸太を乾燥させる「乾燥室」
・ラミナの水分・強度検査、集成接着などを行う「加工棟」
があります。
ラミナとは集成材を構成する挽き板のことで板状の材のことです。
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JAS認証工場
当社の工場はJAS認証工場です。
認証番号 LT-254
認証年月日 平成27年6月25日
認証内容 F☆☆☆☆
樹種:唐松(カラマツ)
構造用集成材 使用環境C(接着剤:水性ビニールウレタン)
中・小断面の通直材
JASとは日本農林規格のことで食品・農林水産品の品質保証の規格です。 JAS法という農林物資の規格化等に関する法律に基づきつくられ、国が定めた厳しい基準を満たしたものにのみJASマークをつけJAS製品として販売することが認められています。
またJAS製品は、JAS認定事業者により、製造・販売されています。
JAS認定事業者とするには、あらかじめ登録認証機関を通し農林水産大臣に申請し、登録認証機関から、施設、生産管理、品質管理、検査などの体制が十分であると認証を受ける必要があります。また認証後も、生産管理、品質管理などの体制や実施状況などが引き続き十分であるかについて、登録認証機関の定期的な監査など行います。このように、JAS製品は厳しい認定基準を満たし、徹底した管理が行われている工場で製造されて認証内容に定められた集成材のみ、自らJASマークを表示することが認められています。
集成材には建物の柱や梁に使われる構造用集成材と、壁、床、などの内装に使われる造作用集成材があります。当社で認証されているのは構造用集成材です。構造用集成材でのJAS規格では断面の大きさ、樹種区分、ラミナの等級、積層数及び構成、接着剤の選定などの規定、ホルムアルデヒド放散量などの規定があります。
また、当社は日本集成材共済会の運営する瑕疵保証制度の登録組合員です。 日本集成材共済会とは全国を区域とする日本集成材工業協同組合員のうち 構造用集成材を生産する登録組合員で構成する団体です。当社が生産し販売する構造用集成材に瑕疵、または当社の集成材に起因して瑕疵が発生した場合、製造日より1年3か月以内に使用して完成した建物について10年間、瑕疵保証します。また瑕疵保証される構造用集成材には日本集成材共済会の「日集共済」マークが付けられています。
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工程紹介
集成材が出来るまでの林材工場での工程を紹介します。
当社の林材工場で取り扱う丸太は樹齢30~50年のカラマツ丸太です。大きさは長さ4m、末口は18㎝~34㎝までの丸太が使われています。末口30㎝の丸太1本で約200㎏もの重さになります。
末口とは丸太の細い方(空の方向)の切り口の大きさ(直径)のことです。末口は2cm単位になっています。18cmの次は20cmです。
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![画像22](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/43573177/picture_pc_d4cad7821eeefa5d725dd586f71af837.jpg?width=1200)
当社に届けられた丸太は末口のサイズにより分けられ保管されています。
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①自動製材機で丸太の製材
まず集成材のもととなるラミナを製造するため、丸太の製材を行います。
製材とは丸太を製材機械で角材や板に加工することです。
製造する集成材の板幅に合わせて適正な大きさの丸太をフォークリフトで 自動製材機(製材ライン)に投入します。
![画像28](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/45907913/picture_pc_8e8afd51bda8d62d5e834e723d6b92d1.png?width=1200)
![画像27](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/45907887/picture_pc_93fe07df3150f7e0bb60761392d9f839.png?width=1200)
投入された丸太はコンベアを流れ、まず皮がむかれます。
![画像17](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/41382190/picture_pc_1f8979d9e7118fc129559fc1719bff86.jpg?width=1200)
その後、丸太の周りを帯鋸で切断して四角いブロック状にし、そこからさらに丸鋸で切断しラミナになります。自動製材機では、出来るだけ多くのラミナを切り出せるよう丸太のサイズに合わせて刃の位置の調整を行い、歩留まりを上げています。
歩留まりとは、原材料に対する製品の出来高率を指す言葉で、原材料や素材など材料の量に対して得られた実際の製品生産総量を表します。
![画像5](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/40829509/picture_pc_cf3362ecdd41d7b75d9c283e74b52993.jpg?width=1200)
![画像18](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/43404027/picture_pc_208ec2388efd22f2e0ae069eb4f94952.jpg?width=1200)
![画像6](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/40829888/picture_pc_5c1f61500f30995d06ba1d5268453803.jpg?width=1200)
切断されたラミナは自動桟積み機に入り、桟積みされた状態で出てきます。桟積みして間隔をあけることにより次工程の人工乾燥をすべての板にまんべんなく行うためです。
②バイオマスボイラーを使用したラミナの中温蒸気式乾燥
桟積みされたラミナは次に中温蒸気式乾燥を行います。 強度が高い一方でカラマツは非常にクセがあり、螺旋状に繊維が育つため、ねじれなどの狂いが生じやすく、また、ヤニが多いのが特徴です。そんなクセのあるカラマツを安定した木材にするためにはこの乾燥の工程がとても重要となります。
乾燥の工程でねじれが生じないようにコンクリートの重りをのせ、乾燥機に投入します。
投入されたラミナは6日間の乾燥スケジュールに基づき乾燥を行います。
まず、ボイラーの熱を利用して乾燥機の中を80~85℃に上げていき、6~8時間かけてラミナを蒸煮し、ヤニの脱脂を行います。その後、ヒーターの熱を一定で、湿度を下げていきます。急な温度変化で割れが生じないよう湿度と温度の差を徐々に広げていき、高低差30℃程に達したらその差を徐々に戻し、最後に水蒸気をラミナにあて水分を含ませて乾燥機から出します。
乾燥機から出たラミナは倉庫内で養生を行います。養生を行うことにより、含水率の高いラミナは徐々に放湿し、過乾燥のラミナは吸湿して一定の含水率へと安定します。
このように乾燥の工程をしっかりと丁寧に行うことでカラマツ素材を活かし、安定した高品質な木材の製造を心掛けています。
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また、当社の乾燥機はバイオマスボイラーにより稼働しています。
バイオマスボイラーとは再生可能な天然のエネルギーを使用したボイラーのことです。加工の際に出た端材や丸太の皮を燃焼させ、生じた熱を利用して水蒸気を発生させて、その水蒸気を利用し乾燥機を稼働させています。
このように当社では貴重な資源である丸太の端から端まで自社で利用し、100%有効活用しています。
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![画像27](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/43635640/picture_pc_17b23b55ce1dd65000f9d43cb301cf20.jpg?width=1200)
③マイクロ波水分センサーを使用したラミナの含水率検査
人工乾燥が終わったラミナは加工棟に運ばれマイクロ波水分センサーで含水率(木材の水分量)を量ります。JAS規格で含水率15%以下の決まりがあります。含水率が15%を超えたラミナについては再度乾燥を行います。
マイクロ波水分センサーとは電波の周波数において短い波長をラミナ全体にかざして、電波により、ラミナの水分量を計測しコンピューターにデータを送り含水率を測定する機器です。
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④グレーティングマシンを使用したラミナの強度検査
含水率をクリアしたラミナは続いて強度測定の工程に入ります。
グレーティングマシンという機械では1200㎜間隔に測定する支点があり、長さ方向に流れていき51mm間隔で曲げヤング係数を測定し、ラミナの強度等級区分を行います。
![画像26](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/43635248/picture_pc_43ceedaedb0d41e688ee4cb258d31c16.jpg?width=1200)
曲げヤング係数とは、たわみ量と発生する反力から導き出され、木材の変形を表します。ヤング率、弾性係数とも呼ばれ、数字が大きいほど強度があります。
JAS規格では曲げヤング係数により強度別に等級が決められており、当社ではL80,L100,L110,L125,L140の5段階に分け、強度等級区分を行っています。
強度等級ごとに異なる色のスプレーが自動で吹き付けられ、色分けされます。色分けされたラミナは手動で材面の目視検査を併用して同じ色ごとに仕分していきます。
![画像23](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/43620099/picture_pc_f2a9d513ba917c4c24d05776b82de79e.jpg?width=1200)
⑤ラミナの縦繋ぎ(フィンガージョイント)
強度別に分けられたラミナは次にラミナ同士を縦繋ぎし、製品の長さにより4~6mの1枚のラミナへと仕上げていきます。
まず大きな節があり使用できない部分などをカットし、ラミナの端を下の写真のようにジグザグにカットします。
![画像12](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/40834713/picture_pc_1e431bd6421ed46aba09ebd34994b560.jpg?width=1200)
次にカットした面に接着剤を塗布します。
林材工場では水性高分子イソシアネートと呼ばれる接着剤を使用します。 水性高分子イソシアネートはホルムアルデヒドを放散がなく接着層は透明です。
![画像13](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/40835127/picture_pc_668469827ebfaa3b4ceda12019a33dfb.jpg?width=1200)
接着剤がついたラミナはジグザグの接合面同士で繋げます。繋ぎ合わさったラミナを製品の長さ4~6mにカットし油圧式コンポーザで圧力をかけより強く接合していきます。
この接合方法はフィンガージョイントと呼ばれています。
フィンガージョイントとは木材の木口をジグザグ形に切削し、端面同士を接合する方法で両手を組み合わせて指を組んだ形に似ていることから「フィンガージョイント」という名が付けられた接合方法です。木材の接合面をジグザグに加工することで、接着面積が多くなるため、安定した強度を保つことができます。
製品の長さ4~6mになったラミナはモルダーとよばれる機械に通し、表面を滑らかに整え、1枚のラミナの完成となります。
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![画像28](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/43637850/picture_pc_dd486809ba0e09e3d25972c3c4a6a540.jpg?width=1200)
⑥集成材接着
工程は最終段階に入ります。
表面を整え完成したラミナに水性高分子イソシアネート系接着剤をつけ、 ラミナ同士を重ね、回転式プレス機に入れます。
![画像14](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/40837303/picture_pc_191006f74847ab7ddeb04097401432cb.jpg?width=1200)
![画像15](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/41050506/picture_pc_a57cfd23f145df81a11ad84019a9dd39.jpg?width=1200)
JAS規格では、どの強度等級のラミナをどのように配置し集成材にするかによって規格が分けられており、製造する規格の集成材に合わせてラミナの構成を変えて、製造しています。
当社で製造しているのは、対象異等級構成集成材と同一等級構成集成材です。対象異等級構成集成材は、異なる強度のラミナで構成されます。 外側に最も高い強度のラミナを配置します。内側にいくにつれて強度の低いラミナを対象的に配置させ接着させます。主には梁などに使用します。
同一等級構成集成材は、同じ強度のラミナだけを使い接着します。こちらは主に柱などに使用されます。
![画像29](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/43640073/picture_pc_d6cbfac083be095bb4ba1b6be7014681.png?width=1200)
引用:日本集成材工業協同組合
https://www.syuseizai.com/laminate03
プレスが1回転すると夏場で60分、冬場で70分しっかりと圧力がかかります。すると集成材の完成となります。
![画像16](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/41381963/picture_pc_2b26f86851aedec1ca49a1a991208195.jpg?width=1200)
以上が集成材が出来るまでの工程です。
まとめ
林材工場では丸太を受け入れ製材し、丁寧な乾燥を行い、カラマツ素材を活かして、より強度の高い集成材を製造しています。
当社では、工場の見学が可能です。
ご希望の方はmaruko@saito-mokuzai.co.jpまでお問い合わせ下さい。
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