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紫の葉
佐佐木政治 1956年10月5日からのノート「詩集 青い枯れ葉」より
ぼくの詩をていねいに清書してくれた人。
その人は今何処にいるだろうか。
私の目の前に開げられている一冊のノートに
あの人の美しい文字が踊っている。
私はそれを開げるたびに美しい匂いを感ずる。
それを開げるたびに氷のように透明な紫の光を感ずる。
あらゆるものから遠ざかり そこにぼくらがいることを感ずる。
私の内部に 紫の光の葉が キラキラ輝きながら
落ちてくるのを感ずる。
世界のどこにいようと はっきりとそれが私をさし示す。
その人の文字の美しさの中にある形は
もうどこにいってもありはしない。
昭和31年、当時25歳の文学青年が書いた詩です。
A5サイズの大学ノートはすっかり色褪せ、日に焼けています。
彼の文字とともに紹介していきます。
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