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突然“パパ”になれない夫に絶望しないために、妊娠期の妻にできること〜臨月家出録〜

早いもので息子は3歳になった。
息子が泣いただけでオロオロしていた私も、ママ4年目に突入したということになる。(驚き)

毎日、働いてるか飲んでるか寝ているか、で“家庭的”とは縁遠く「子供もニガテ」と悪びれもせず公言していた私が”ママ”できているのは、紛れもなく夫のおかげである。 

毎朝7時から子供と遊び、朝食を作り、身支度をさせ、食器を洗い、保育園まで送る。

我が家で今これをやっているのは、パパだ。

しかしそんな夫も、妊娠期から「超パパ」していたわけではない。私の倍稼ぎ、3倍働き、10倍仕事が好きな人だった。(厳密には今もそう)

今回は妊娠期から出産まで、妻と夫がどんな感情の元、どんな行動変容に至るのかを(妻目線で)記録したい。

※このnoteでは、「妻から夫へ働きかける産前コミュニケーション」について紹介しているけれど、これを読んだプレパパさんに置かれましては「奥さんが提案してくるの待ってれば良いってことか!」とはならないで欲しいです。つわりが辛い妊婦さんや激務女性はそんなことやっていられないと思います。

二人目のつわりが思ったよりしんどい私より

1.妊娠初期の「私ばっかり…」な妻vs変わる実感などまだない夫

妊娠3ヶ月。妊娠の喜びも束の間、隔週の通院がしんどくなりはじめる。

仕事は休まねばならず時間ばかり拘束され、数分間の診察のたび諭吉が飛んでいく。友人の誘いはすべて断り、体調も悪い。

妊娠はとても嬉しいけど、なーんかだんだん「私ばっかり…」になり始め、変わらず自由に過ごしている夫が恨めしくなる時期だ。

身体に変化があるのはママだけで、パパが実感なんてわかないのは当然ー。と頭では分かりつつ、少しは先のこと意識して欲しいなぁと悶々としていた。

変化は「妻の身体」から。待っていても変わらない

そもそもこの時は夫婦の財布が別で、産婦人科への通院費が「私の通院費」としては私の財布から飛んでいっていたことも不満だった。

子どものこと=2人のこと。だけど、この時点ではまだ妊娠は「妻の身体の変化」でしかない

これを「夫婦の変化」にするためには、物理的に変化のない側の夫サイドのアクションをただ待っていても始まらないのだ。

それに気がつかなかった私は、

「言わなくても分かるでしょ!」

「分からないのは私への愛や、父親になる覚悟がないからでは?」

と本気で思い悩み、泣いていた。(すでに片鱗を見せているホルモン変化による情緒)

せっかくの2人の時間、喧嘩をするのがイヤで話し合いを避けたくもなるけど、私たちはもう「カップル」ではない。夫婦だ。そして来年には母になり父になる我々。今後40〜60年一緒に生きていく(ことをちょい前に誓った)はず。

これはキチンと話し合いが必要だ。不満やストレスに思っていることは伝えて、改善方法はチームで模索せねばならないな?
でないと産後私たちは、夫婦ではなく「ATMと家政婦」になってしまうな?

というあるある危機を感じ、背筋が寒くなった。

目的達成のためのコミュニケーション

「育児」は2,30年かける人生の一大プロジェクト。面倒でも意識のすり合わせが必要だ。

話し合うに当たり「私ばっかり考えてる……」とかも言っていられない。着々と私のお腹の中では開発が進んでおり、リリース日は遅延できないからだ。

妻は新人でありながら、開発も進行管理も行い、夫のマネジメントもせねばならない。とんだスタートアップである。経験者採用したい。

「妊娠・赤ちゃんについて分からない?ならなぜ調べない?^^」

「仕事においては満点の主体性isどこ?^^」

夫をガンッガンに追及したくなる気持ちを飲み込み、夫の気持ちに余裕のありそうな隙を見計らっては何度も価値観すり合わせにトライした。

その時は、面倒がられても良い。合意に至らなくても良い。ただし、相手の至らなさを非難する場にならないように注意したい。

互いの希望や譲れない点を双方が認識して、落とし所を見つけるのが目的だ。

「育休は男性も取る時代」なんて一般論を引き合いに出すのは、目的達成のためには間違っていた(言って盛大に話が横道にそれ、揉めた)。

妊娠も出産も育児も夫婦の問題であること、役割分担を望んでいることを少しずつ伝えて、

できること・できないことは何なのか?
やりたいこと・やりたくないことは何なのか?
を相互共有できればOK。

2.一緒に悩んでほしい妻vs結論だけ聞きたい夫

パートナーに何を望むかは具体的に

この時期、夫は変わらぬ生活をしている中で、自分だけ突然生活が変わり(お酒どころかお寿司も食べられなくなる)これからの人生ずっとこうして我慢を強いられるのか?と悲観的になりやすい。

理解のない夫に絶望するだけでなく、このタイミングで自分からコミュニケーションを取っていかねば、理解の溝は本当に一生埋められないものになってしまうだろう。

▼この時私が提案したこと
・夫婦の財布を一緒にしたい
・妊婦健診は一緒に来て欲しい
・産後育休は取らなくて良いけど、定時帰宅を目指してほしい

▼決まったこと
・健診費用はワリカン
・健診は一緒に行く(土曜予約にする)
・産後、週3は定時で帰れるように頑張る

完全に要望が聞き入れられたわけではないけれど、話し合う前より断然良くなった。

相談できる人がいない問題

妊娠6ヶ月。
安定期に入り、仕事の引き継ぎをし始めるあたり。
休みに入ることが現実を帯び、産休育休のさらに後「職場復帰」について考えるようになる。

妊娠の話がセンシティブな話題になりかねない(※)昨今。相談相手もおらず、いわゆる「保活」や職場復帰の時期について一人では抱えきれなくなった私は、

「9月復帰なんだけど保育園空いてるかな?」
「保育園の良し悪しって、どうやって調べるんだろう?」
などと夫に都度相談していた。

そんな時言われたのがこちらのセリフ。
「自分のことなんだから、1人で勝手に考えて。やって欲しい結論だけ言ってよ。そこからやる/やらないを考えるから」

つ、冷た!他人事感が凄まじいな!
タスク分担だけじゃなくて、壁打ちくらいさせてよ!?
しかも依頼してもやらないパターンすらあるわけ!?
となる私。

この時は悲しいを通り越して若干引いてしまい、更なる夫婦の危機を感じた。

(※)妊娠の話がセンシティブな話題になりかねない…人知れず長期の不妊治療に取り組んでいたり、流産経験などで子供を諦めたという女性は多いです。親からの結婚のプレッシャーに悩んでいたり、子供の投稿を見るだけで憂鬱になるという人も。友達・女性同士だからといって、妊娠/出産に関してはオープンに話せるものではなくなってきています。

3.ライフプランからキャリアプランを立てる妻vs真逆の夫

まだ見ぬ課題を予測し、対策したい

ちょっと話はずれるけど、女性は人生の中で何度か強制的に生活が変わり、「生き方」まで変化を強いられるタイミングがある。

数年後の生活(出産や育児)を見据えて、早い段階から逆引きでキャリアプランも立てねばならない

性別で括りたくはないけど、10ヶ月間の妊娠がないという意味で、男性は逆のケース=キャリアプランからライフプランを立てる人が多いと思う。なので「仕事が落ち着いたら結婚〜」とか言いがち。(落ち着かないよ仕事は)

子をもうけることの多い20代後半〜30代は、仕事が楽しくなってきた時期でもある。それは男も女もそんなに変わらない。

「4年後に子どもが欲しいから、5年後には大きな仕事関われなくなるな。じゃあチャレンジ(転職)するなら今かも?」なんてキャリアの考え方する男性は、なかなかいないんじゃないだろうか?

それだけでちょっとうらやましい。

幸い私は仕事を最大の生きがいにはしていないタイプだったけど、これまでの人生を働くことに捧げ、自分の価値を仕事で発揮してきた女性にとって妊娠出産は、何て酷なんだろうと思う。

(もちろん子の誕生は余りある幸福ももたらすけれど、「だから全て犠牲にして良い」ことにはならない)

そんな背景から、女性はまだ見ぬ課題に対してあれこれ悩む傾向にある。と思う。

保育園に通わせるのは、ママの都合?

話を戻すと、
この時「保活」に関して私自身も勘違いをしていたので、夫とコミュニケーションを取るのが遅くなってしまった。

心のどこかで、というか完全にこう思っていた。
「本当は、ママは子どものそばにいるべきで、それができないのは“私のワガママ”なのだ」と。

その罪悪感から、子どもを保育園に通わせるのは私の問題で、私が考えて私が解決しなければならない。と思っていた。

だから保活の何もかもを自分で調べたし、役所に行くことも、見学も私が調整して、難しいことは夫に「お願い」しなければならないと思っていた。

そして話すたびに解像度が違いすぎて落胆し、ヒシヒシと感じる他人事感に憤っていたのだ。(認可保育園と認可外の認証保育所と認証もされてない認可外保育園の違いなんて、超頑張らないと分からない)

タスク切り出しで依頼するのもミッション遂行ためのひとつの正解だけど、勝手に悩んで勝手に考えて行動し、一緒に考えてくれない!と憤ってしまう状態は、健全とは言えない。

こちらのコミュニケーションにも課題があるなあと感じた出来事だった。

課題発見から一緒にはじめよう

これを機に、何でも先回りして調べて一旦悩む!というのはやめた
「こうなんだって!ああなんだって!」と自身も受け売り状態の課題を、相手が自分ごと化してくれる可能性は限りなく低い。

人間、一緒に考えて自身で作り上げたものにしか、主体性なんて持てないのだ。

多少行き当たりばったりにはなってしまうが、同時に「やべ!どうしよう!」を経験してから、一緒に調べ、タスク分担する方式にシフトした。
(我が家はタスク切り分けを私がして、どちらをやるか夫に選んでもらうスタイル。逆でも良いと思う)

これが結構うまく回っている(多分)。事前に色々考えたところで、実際その通りに行くことなんてこの4年ほとんどなかったので。夫のおかげで無駄に悩むことは限りなく減った。

▼この時私が提案したこと
・出産後の役所手続きはパパにお願いしたい
・復帰パターンどれが良いか判断してくれ
・保育料はワリカン

▼決まったこと
・役所手続きはOK、保育園見学はママ頼む
・復帰パターンExcelにまとめてくれたら見る
・保育料を考えるとワリカンは面倒。財布一緒にしよう!

〜夫婦共同財布最初に提案したじゃんか!?〜

4.出産臨戦態勢の妻vs分かっていても行動変容には至らない夫

「妊娠・出産」を甘く見ていると感じる

(めちゃくちゃ長くなってしまった……産前編はこれで最後です)

夫の会社は飲みニケーションが盛んな会社なので、妊娠後期になっても夫はコンスタントに週1回午前5時帰宅をしていた。
(コロナ禍に入り我が家には平穏が訪れた)

門限云々は置いておいて!(うちの門限は2時)
私(趣味=お酒)がお酒我慢しているのに!とかも置いておいて!!

飲み会も仕事のうち、それは理解できる。
でも!毎週!朝まで!吐くほど飲むのは!!妊婦のケアより大事な仕事では!!ないと!!思いま!!す!!!

元気そうに見えて、夜は寝苦しいし、たまにお腹は張る(カチカチになってこのままどうにかなってしまうのでは?ってなる)し、一人で家にいるのは不安でたまらない。

連絡など当然取れない夫。
もし、突然具合が悪くなったらどうしよう。
タクシーも呼べないくらいお腹痛くなったら?
急に破水したら?
夫が家にいても、泥酔していたら?

大きな不安は、そのまま大きな怒りポイントへコンバートされます。

正産期の朝帰り、そして「探さないでください」

妊娠9ヶ月も終わりに近づいたある日、朝5時に帰宅した夫。
泥酔して気がついたら居酒屋で寝ていたらしい。

大きなお腹の妻を家に放置して…こんな絵に描いたような怒られて然るべき夫、いるかー?と思いつつ少し叱ると「ごめんごめん、う…気持ち悪い」と言って布団にくるまって、寝た。

これは…あかん……。産後、乳飲児を抱えてまた同じことをされたら、確実に夫婦ジ・エンドである

今のうちに何とかしなければ…
冷静に少しでも反省して欲しかった私は、寝ている夫を置いて家出を敢行した。

書き置きを残し、何も言わず朝6時に

会社へ行った。(真面目)

形式上は家出。(反省の言質取るまで行先を知らせず、夕方まで姿を消した)が、実質ただの出社。

夫への不満と怒りを仕事にぶつけつつ、オフィスに誰もいないので超仕事が捗る。必ずしも実家に帰る必要はないので、これはオススメしたいです。(眠すぎて14時に退勤した)

▼この時私が提案したこと
・飲み会しばらく禁止
・二次会行く時(24時越える時)は連絡入れる
・必ず電話に出られるようにして(何かなければかけないけど)

▼決まったこと
・お酒は3杯まで
・長引くときは連絡入れます
・電話は必ず出る

落とし所甘いな〜

5.そんな2人の目線がようやく合ったのは?

家出の10日後だった。

なんと予定日よりも3週間早く息子が爆誕した。リリース日、遅れることはあっても早まる想定はしていなかったので相当焦りました。

夫はその日も飲みに行く予定でした(臨月の妻がいる男性社員を飲み会にアサインする会社よ…)が、前もって連絡をくれていたおかげで「もしかして、これ陣痛かもしれない」を伝えられ、急きょ帰宅してもらうことができました。

家出していなかったら、夫が泥酔帰宅した時には産まれていた可能性がある。家出して良かった…(?)

そして、飲み会がない日も終電までは働いていた夫は、産後毎日20時帰宅を目指す最高パパに変貌したのでした。

**

このnoteを書くにあたって夫と話したが、このコミュニケーションを何一つ覚えていなかった。逆にすごいな。

話し合って喧嘩ばかりいたら、家に帰ってきたくなくなっちゃうかも><とか心配していた私に教えてあげたい。全部忘れるから大丈夫だよって。

でも結果として、話し合ったことは今も「生き」だし、何かあれば一緒に悩みタスク分担をしてくれている。(子どもが風邪を引いた時、どっちが対応するか問題などもありつつ、都度話し合っている)

子どもが3歳になって、あの時パパと話をしていて良かったなと心から思います。飛ぶような速さで過ぎていく毎日で、今から「タスク分担しない?」なんて話すのはめちゃしんどいと思う。(やるに越したことないけども)

ずっと一緒に過ごしたいと思った人だから、この先の数十年のために、常に話し合うことを諦めたくないなという記録でした。


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