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深夜にニヤけてしまった『ブルース・ブラザーズ』

夏休みの深夜。

もはや人生で1番最強かもしれない時間に、私は人生で初めて「ブルース・ブラザーズ」を見た。

シュールで、かわいくて、カッコよくて、何よりも、音楽が最高だ。


オープニングから、スタイリッシュで無駄のないビジュアルの兄弟はコミカルに動き出す。

黒のハットとスーツに身を包み、黒いサングラスでボロボロのパトカーに乗り込む。

ここでの会話も、とにかくセンスが良い。

語呂が良くて、全てのセリフが落語?であるかのような。


引きが多めのカメラワークが、全体を通して多く使われる。

あとは何よりエキストラの多さである。

「人がゴミのようだ」と日本のサングラス代表の彼は言ったが、まあそんな感じとも言える。

なんか、沢山の人がわぁーっと行動するのを引きの画で見ると、それだけでコメディ的な雰囲気が完成するのだ。

それと同時に、演劇っぽさも出てくる。

ミュージカル感??的な何かが演出されるのだ。

これだから、映像というのは面白い。

とにかく、「ブルース・ブラザーズ」は全体を通して一貫して、コミカルで演劇っぽい作品だった。


次に、兄弟は自身らも育った、孤児院のために奮闘することになる。

彼らの孤児院は、納税額を納めることが出来ず、取り壊されてしまうという危機に瀕していたのだ。

不真面目な反抗期のような兄弟が、泥棒の兄弟が、かつての“バンド”を再結成し、音楽でお金を稼いで、孤児院の納税をしてやろう、というのが本作のストーリーである。

兄弟はかつて共にバンドを組んでいた仲間たちを集め始める。


「ブルース・ブラザーズ」では、誰しもが聞いた事のあるポップ・ミュージックが使われている。

そう、とにかく曲が良い。

どの曲が出てくるのかは、是非とも本作を鑑賞して確かめて欲しい。

ポップな曲調で、シュールな映像で、サングラスの兄弟のクールさがかわいくって、不思議な調和が取れている。

バランスが取れているのが不思議。

こういった点は、監督の力量が試される部分だと思う。

なんだろう、とにかく、ずっとニヤッとしながら見てしまうんだ。

友達と見ていたら爆笑していたかもしれない。

でも、クスッとするか、ニヤッとする、という方が合っているような、そんな笑いがずっと傍にある。

それがなぜだかすごく心地良かったりする。

個人的には、夏の夜にぴったりだった。


あとはなんと言ってもカーチェイス。

どのシーンでも気がついたらカーチェイス。

待てど暮らせどカーチェイス(?)。

途中からコメディ版「ワイルド・スピード」でふか?これ?って言いたくなるくらい。

途中からじゃないな、初めからです。

段々車とか街がおもちゃに見えてくるくらい、とにかく派手にぶちかましていきます。

でも、カーチェイスシーンって大体運転するキャラクターの表情には緊迫感があるはずだ。

しかし、あの兄弟の表情はほとんど変わらない。

何ならちょっと余裕すら感じる。

そのちょっとだけゆるい2人の空気感が、作中の激しいカーチェイスシーンを和ませていく。

それと同時に、さっきの最強の音楽陣が、和ませつつも画を盛り上げていく。

ちょっと「ルパン三世」的なコミカルさを感じる。

そんな感じが面白くて丁度いい。


それと、「STAR WARS」ヲタクとしては、麗しいキャリー・フィッシャー様のご活躍がとにかく嬉しい。

いやうん、美しい。

登場シーンで突然の美女に、「えっ!?!!」って声が出ました。

全盛期のビジュアル最強、メンタル最強、パワー最強のレイア姫が飛び出してきたかと思った。

彼女がすごくいい味を出してる。

彼女が出てきたら、大体場面が転換する。

どっかーーんと大きな1発をぶちかまして、しれっと兄弟が生還して次へGO!っていうのが続く。

そういう“お決まり”的な流れを1本の映画作品の中に作ってしまうのも、隠れた脚本の技術力が伺えてとても良い。

もはや一種の趣すら感じてくる。

いつもこちらの想定の斜め上から来る彼女の攻撃が、愛おしくて好きだ。


おまけみたいになってしまったけれど、後半にかけてのバンドの演奏シーンは圧巻だ。

ブルース・ブラザーズの公演、私も行きたい。

もう刑務所入ってもいい。

聞きたい。

って思えるくらいには楽しそう。

80年代のミュージカルにしかないパワフルさって、何なんだろう。

ポップでキュートで、でも強い意思が伝わってくるようなパワフルさと、眩しすぎる輝きが、時代とスクリーンを超えて来る。

60年代の日本映画にも、同じような力強さを感じているが、やはり80年代の洋画は“伝説”だ。

個人的には、アメリカの映画黄金期は80年代だと思っている。

「ブルース・ブラザーズ」は、黄金期のミュージカルの象徴とも言えるだろう。

でも、本作の良いところは、ニヤッとさせられるところなんだ。

熱い思いが、ぐっと伝わるとかそういうんじゃなくて、とにかく丁度いい。

重すぎず、軽すぎない。

私達にかかる丁度いい負荷に、快感すら覚える。

それが、ニヤッと、に繋がる。


あなたも、夏休みの夜には、「ブルース・ブラザーズ」を見て、ニヤッとしてみてはどうだろうか。



【作品】
・「ブルース・ブラザーズ」(1980)

Filmarksより

【著者紹介】
sai¦女子大生による映画紹介🎞

映画ヲタク歴10年。
大学で映画を研究している女子大生。
最も好きな作品は、『STAR WARS ep.2』。
1940年代〜様々な国の作品を鑑賞しています。

Instagramにて、毎日映画を紹介中です。
プロフィールのリンクから、ぜひご覧下さい!

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