見出し画像

ゲームで学び、ゲームを学ぶ(15)-「3対3」のゲーム④ディフェンスの課題2

前回に続き、「3対3」のゲームにおけるディフェンスの課題をサーブに焦点を当てて具体的な例を挙げています。オフェンス側の攻撃参加の「準備」を不十分にすることと「選択肢」を減らすことを念頭におくと、意図が見えてきます。

相手の攻撃参加の「準備」を不十分にし、「選択肢」を減らすには? 問2

図1はA選手とB選手が矢印の方向に攻撃参加したいと仮定した場合です。守備力は同程度、攻撃力はB選手の方が高いので、B選手に出来るだけ良い状態で攻撃されたくないという設定です。さて、どのような返球(サーブ)が効果的でしょうか。

図1

仕掛け1 B選手側の奥を狙う

A選手がレセプションで対応したものの、A選手が攻撃参加できなくなった。このとき、B選手は十分な助走の準備はできたけれども、助走を始めるタイミングなどが調整しにくい場所からのレセプションになり、攻撃に参加できるが不十分な状況になる。または、B選手にレセプションをとらせて攻撃参加を遅らせる、もしくは出来なくする(図2)。

図2

仕掛け2 A選手の前方を狙う

A選手が取りに行かせ、A選手の攻撃参加をなくし、B選手に限定させる。B選手が無理に取りに行けば、A選手の助走コースを防ぐことも起こり得るので、両選手とも攻撃参加を不十分なものにできるかもしれない(図3)。

図3

仕掛け3 コートのど真ん中を狙う

A選手にレセプションを受けさせ態勢を崩せば、B選手の助走コースを塞ぎ、準備を不十分にする。また、A選手の攻撃参加も難しくなる。もしくは、A選手を生かすためにB選手が1本目をとりにいったことで、B選手は十分な準備ができなくなってしまう(図4)。

図4

問2でも仕掛けを具体的に3つあげましたが、単純にサーブのスピードよりもコースを狙うことで達成できることです。サーブの速度を高め、得点率や効果率を高めようとするとミス率も大きくなる傾向があります。サーブはミス率を減らしつつ、効果率をあげることを期待したいので、サーブの単体の練習ではないことも視野にいれておく必要があります。

 最後に前提として、このような練習方法が成立するのは、相手がどんな攻撃を仕掛けてくるか、ローテーションごとに誰が優先して打ってくるか等の話題がチームにあることです。つまり、相手のレセプションアタック局面で相手選手がどのような配置で、どのようなルートで攻撃を仕掛けたがっているかに興味がいくことです。大切なのは、単にアタッカーだけに着目することではない、ということです。それを想定すると3対3のシンプルな状況において、様々なケース(前衛・後衛の数を変えたり、セッターの位置を変えたり)を学習していくことに大きな意味を見出せるはずです。そのような学習の繰り返しが6対6に活きてきます。つまりは相手を観察するポイントを学ぶことになります。

次回からは「4対4」の特徴と課題について解説していきます。

▶︎縄田亮太のプロフィール

いいなと思ったら応援しよう!

ONES
バレーボールに関する記事を執筆しています。バレーボーラーにとって有益な情報を提供することをコンセプトにしています。