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儚くて美しい物語り

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儚くて美しい世界ってどうしてこんなに魅力的なんだろう。
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赤い金魚と僕の物語り

風が止み、夕焼けが空を染める頃、静かな町の一角に佇む古びた家。 早くに両親を亡くし、姉は嫁ぎ、広い家にただ一人。生きるために生きている。三十路を目前にし、僕は考えることを諦めていたそんな人生について向き合っていた。金魚鉢の前に座り、水槽の中で穏やかに泳ぐ「金魚」に話しかけて。それは、投影していたのかもしれない。金魚鉢で飼いならされる金魚と僕を。 姪っ子がお祭りで手に入れたその金魚は、飼い猫を理由に僕のもとへと託された。とても小柄で泳ぎ方が少しだけ変な真っ赤な金魚。定期的に水

狐の嫁入り

晴れ渡る空にひそやかに落ちる雫 光と雨の境界線、映るは狐の嫁入り 人間に姿を見られてはならない たった一つの掟 姿を見られたなら、その身は霧と化し、 永遠に消え去る運命 風が木々の間を通り抜け、静寂を破ることなく、葉がささやく 湿った大地の香りが漂い、足元の影を静かに包み込む 狐たちは風のように森の奥深くへと逃れ 誰の目にも届かぬ影となる 雨はその秘密を守るため、 細やかな絹の糸がヴェールのように降り続け 全ての悪を洗い流す 日はその力を分け与えるため、 黄

星を運ぶ猫

大きな猫がやってきて、彼のひとふみで 静かな世界がふわりと揺らぎだす 瞬く間に、石の欠片が空に舞い上がり 世界は小さな星々で満ち溢れた 美しく輝く石はただの石ではなく 遠い記憶のかけらに感じた 時を超え、未来へと繋がる光の道しるべ 猫の歩みは、変わることの恐れを吹き飛ばし 新たな始まりを告げていた 振り返り、猫は微笑むと その大きな姿は小さな猫へと戻る けれど、世界には今も輝く星の欠片が散りばめられ 変化の中で見つけた美しさが、永遠に息づいている あとがき 猫が通る道に

夢の灯を持つリリイと夢を食べるドリアン

リメイク版です 短い動画も制作しました youtubeにて公開しています 併せてごらんください ・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。 夢の灯を持つ妖精リリイと、夢を食べる魔法使いドリアンがいました。 リリイは美しい夢を人々に与える存在として崇められ、ドリアンはその夢を食べてしまう存在として嫌われていました。リリイは人々に希望を与え、輝かしい未来を夢見させ続けていましたが、ドリアンはそんなリリイのことをよく思っていませんでした。 世界ではリ

雲の上の夢

そこは真っ白で何もない空間 空気も色も花もない 私は無から生まれる ならばどうしようか 何を選び、何を作り 私を作っていけばいいのだろうか 私は安心が欲しい 今日の事も忘れてしまえるくらい 私は私のままでいいんだって そう、安心させてほしい だから私は、大きなテディベアを 無の空間に、ぽつんと置きたい。 彼はいつも優しくて話を聞いてくれて、 私を安心させてくれるから。 寝るときは抱き着いて寝たい。 次に、大きな木を一本。 そこにはたくさんの鳥や動物がやってきて、 美し

心の温度差

寝てる間に息も、人生も、世界も そして心も停止しますように そう願わずにはいられない 息を止めてみる この世のつながりからの解放を祈って。 体の重みを全身に感じる 私は、世界で一番遅い速度で 目を閉じる そうすれば、おのずと人生も 止まっていくだろう とても辛い時間を乗り越えた先には 何が待っているのかなんてわからないけど ゆっくり幕を閉じるだろう そのまま、世界も止まってしまえばいいのに そうすれば、私が存在する意味も 何もかもが無になって 刹那的永遠を手にすることが

白妙色の想い

白い彼岸花よ、 なぜ君は白く生まれたか? 色を忘れたのか 色なんていらなかったのか その美しさは、 私の心を打つけれど、 白妙色の中に 秘めた痛みを宿しているようだ 色を失った空の下、 君はどうして静かに咲いているの? その花びらは無音で、 私の内側をそっと見つめているよう。 色を忘れた世界で、 君は何を見つめ、 何を思っているの? その白さの中に、 私の心の空虚な影が映り込む 白い彼岸花よ、 どうか教えて、 なぜこの瞬間、 君がこんなにも美しく、 そして切なく感じる

透明な君と不透明な僕

こちらの「見えない彼女と見える僕」のリメイクです! 。.。・.。*゚+。。.。・.。*゚+。。.。・.。*゚+。。.。・.。*゚+。。.。・.。*゚+。。.。・.。*゚+。。.。・. 僕は僕としてこの世界があって、 この世界に流れる風は、どこまでも冷たい。 幾千の星々は、そんな僕にでも微笑んでくれるけど 朝になれば結局、泡のように消えてなくなっていくんだ。 霧の中、見えない存在たちが僕の周りに潜んでいる。 かつての夢を抱いたまま、形を失い、 空を漂い彷徨っていて、願いを僕

道なき森と僕らの物語

※物語は全て無料で読めます😊 木が生い茂り、来るものを拒む森。 ここは一体どこなんだろう。 どうして僕はこんなところにいるんだろう。 僕は何度も自分に問いかける。 足元の落ち葉を踏むたびに、 過去の誰かの冷たい言葉が、頭の中こだまする。 『君はいつも間違っているんだ』 『誰も君を必要としてない』と。 それらの言葉が、僕を森に引き戻し、 何度も何度も僕を傷つける 「こんな森にいる理由なんて、もうとっくに忘れてしまった。どこに行きたかったのかすら、忘れてしまったよ」 果て

¥100

レンズの先

同じものを見ているはずなのに 写真にすると世界が違った 私の見る世界は現実的で そこにある物が当然映るのだけど 彼女が映し出す世界は、幻想的で美しかった 同じものなのに、儚かった 同じ夏空を見上げては 「キレイな空だね」って言うと彼女は 「私には、ちょっと切なく見える」って答えが返ってくる。 私の目が捉えるのはただの青、 無垢で広がる空が、私の視界にはただの空虚として映る。 けれど、彼女の目が捉えた空は、 夢の中に広がる青さの中に 深い海の底のような静けさを孕み、 それ

消える、夕空

昨日まであんなに輝いていた 君の笑顔は、今は遠い夕空のようだ 夏の匂いとともに風が運ぶ、 あの時の笑い声も、汗ばむ手のひらも 全部、淡いオレンジに染まって溶けていく 夏の夕空を見て、寂しく感じた 昨日始まったような夏が もう終わってしまいそうだから 君の笑顔は夏の青い空のようで 君の優しさはまるで白い雲 僕はその空が好きだった 秋が近づく夕空を見ると 君の笑顔が消えていくようで 少し苦しいな 夕空が消えるたびに、僕は焦がれる 消えゆく空の彼方には、 もう手の届かない思