リガンド分子事件:全範囲に専用実施権を設定した時の特許権者の差止請求権行使の許否
特許権者は、その特許権について専用実施権を設定したときであっても、当該特許権に基づく差止請求権を行使することができると解するのが相当である。
特許法100条1項の文言上、専用実施権を設定した特許権者による差止請求権の行使が制限されると解すべき根拠はない。
また、実質的にみても、専用実施権の設定契約において専用実施権者の売上げに基づいて実施料の額を定めるものとされているような場合には、特許権者には実施料収入の確保という観点から、特許権の侵害を除去すべき現実的な利益があることは明らかである上、
一般に、特許権の侵害を放置していると、専用実施権が何らかの理由により消滅し、特許権者が自ら特許発明を実施しようとする際に不利益を被る可能性があること等を考えると、特許権者にも差止請求権の行使を認める必要があると解される。
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